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第6章(4)アカリside
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…………。
「まぁ~ま!げんき、ないないなの?」
「!……ヒカル」
港街の広場の片隅。
屋根付きの休憩スペースに座っていた私に、心配そうな表情のヒカルが問い掛けてきた。
子供達のお迎えに行ったらすっかり雨は止んでいて、二人に今日保育所で作った竹トンボで遊びたいとせがまれて、ここにきた。
けど、ずっと上の空だった私。
これではいけないと思って首を横に振りながら微笑み、息子の頬を優しく撫でる。
「ヒカル~!もういっかい、とばすよ~!」
「……ママは大丈夫よ。
ほら、お姉ちゃんと遊んできなさい?」
私が答えてヒナタの方へ行くよう背中を押すと、ヒカルはコクリと頷いて駆けて行った。
「最後に、って思ったのに……。完全にミスっちゃったなぁ」
少し離れた場所で遊ぶ子供達を見つめながら、私は小さく呟く。
もう寂しくならないように、未練を残さない為に、ヴァロンとの最後の時間を望んだ。
”すごく美味しいです。
今まで食べた物の中で、1番!”
あの言葉が聞けただけで充分だと思ったのに、彼は泣いた。
あの涙が持つ意味の全てが解る訳じゃない。
けど、今の生活が幸せだから故に流れた涙じゃない事くらいは解る。
そして、それだけで私には彼を忘れられない理由になるの。
ヴァロンは、私の前で泣いてくれた。
束の間だけど、私を頼って甘えてくれた。
まだ、私に出来る事があるのではないかと思う。
都合の良い、解釈。
そうかも知れない。
結局、自分の諦め切れないヴァロンへの想いを正当化する理由を探しているだけなのかも知れない。
ーーでもね。
そんな私の背中を、押してくれる人がいたの。
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