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第6章(4)アカリside

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「ママ~!みてみて~!」

「きれいなの~!」

子供達の声にハッとして、二人が指差す空を見上げる。

するとそこには……。
七色に輝く虹が、私達を見下ろしていた。


「……リディア、さん」

空に架かる美しい光を瞳に映しながらその名を呟くと、私の中に蘇る想い出。

いや。
リディアさんが私に託した、想い。


彼女は、ヴァロンの傍に居たくても居られなかった。
”死”という自分ではどうしようも出来ない理由で別れ、彼を諦めたのだ。


”自分で出来ない事を、アカリちゃんに託しちゃってごめんなさい。
どうか、よろしくお願いします。”


リディアさんの願いを思い出して、自分は何をしているのだろう。と、目が醒める。

私も、ヴァロンも、まだ生きている。
この世界で、同じ空の下で、生きているのだ。
ほんの少し手を伸ばせば、手の届くところに彼はいる。


せっかく生きてまた会えたのに、私がここで諦めてしまったら全てが終わってしまう。

遅過ぎる事なんてない。
何も行動を起こしていないうちから恐れて、諦めていては駄目なんだ。と……。


子供達の事を考えれば、不安が拭いきれないのは事実。

でも、私は決して一人ではないのだと。
ヴァロンと過ごした時間の中で築きあげた絆が……。

ううん。
何よりも彼の人徳が、私の力になって助けてくれる。


「……あれ?」

「もしかして、アカリ……さん?」

私を呼ぶ、声。
懐かしい声に向ける視線の先には、紺色の制服に身を包んだ金髪の姉弟ーー。


「レナ……っ。レイッ……」

再会した瞬間。
小さな力でも、集まればどんな強大な壁にもぶつかっていけるのだと……。
奇跡を起こせるのだと思った。
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