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第7章(2)ディアスside
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しおりを挟む「ぜひ、お会いしたいですね」
「え?」
「マオ様がお世話になった方ですし、私も一度お会いしたいなと思いまして。
その際にその方が作るオムライスのレシピを教えて頂けたら、いつでも作って差し上げられますしね」
そう言って私もこのお店のオムライスを一口拝借。
トマトの酸味と甘みが程よいバランスのケチャップライスに、スプーンで切り込みを入れれば半熟の中身がとろけ出す玉子。
このオムライスだって充分に美味しい。
これよりも上の品を作り出せるなんて、余程の料理の腕の持ち主か……。
あるいは、食べる側の好みをとても理解している人物かと頭を過ぎった。
ーーまさか。
私の知る限り、”マオ様”が今まで食事らしい食事をしている姿を見た者など今日までいない筈。
ましてや「美味しい」なんて台詞、聞いた事がない。
マオ様にオムライスをご馳走した人物は、以前のマオ様ーヴァロン様ーと接触があり、好みを把握している?
そんな考えが頭に浮かんで、先程まで喜びを感じていた感情が曇る。
もし読みが正しく以前からマオ様を知る者が近付いているのならば、私は全力で引き離さなくてはならない。
今のマオ様に過去を思い出させるような存在がうろついているとシャルマ様に知れたら、大変な事になると予想出来るからだ。
調べてみよう。
過去も今も、本当の自由のない主人のプライベートまで監視するような事はしたくないが……。
それが、私に出来る精一杯の”護り”だった。
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