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第7章(4)シュウside
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しおりを挟む『シュウが次のマスターなら、夢の配達人は安泰ね!
いいなぁ~”マスター”って、呼びたいな。
……なんて!もうその頃には、私は引退してるか!』
ヴァロンが反抗して家を飛び出す少し前、リディアはそう言った。
年齢が私達よりひとまわり上だった彼女の台詞だから、あの時たいして気には止めなかったけど……。
後から思えば、あれは”引退”=”その時、私はもうここにいない”というメッセージだったんだ。
「……。
私だって、呼んでほしかったですよ。リディアにも、ヴァロンにも……。呼んで下さいよ」
ポツリと私の口から漏れた想い。
何年経ってもあの時と変わらず、ここで三人で会えると思ってた。
私がマスターになり、ヴァロンが白金バッジになり、そしてリディアが引退していても……。
リディアの死から、少しずつ欠けていった私達三人の絆。
それでも、何とか保ってきたのその絆は……。
三年前のヴァロンとの別れから、完全に私の中で崩れてしまったのだ。
『ふざけんなッ……!!
お前に任せてた結果がこれだろッ?!
っ……もう邪魔すんなッ!!目障りなんだよッ!!』
哀しそうに、苦しそうに表情を歪ませてヴァロンはそう私に叫んだ。
家族と引き離され、リディアに続きアカリさんという最愛の人を失いかけて、どれだけ彼は辛かったんのだろう?
けれど。
ヴァロンが私を憎んでいて、本心からあの言葉を吐いた訳じゃない事は分かっている。
だって、あの状況でも彼の瞳は私には美しく映ったのだから……。
私に全てをぶち撒けた自らを責めて、傷付けて、泣いていた。
そんなヴァロンを、助けてやれなかった。
救ってやれなかった。
もう一度会えるのならば、謝りたい。
いつも何かある度、彼が「ごめん」と言ってくれたように……。
今度は私から、ヴァロンに歩み寄ってやりたい。
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