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第8章(4)アカリside
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しおりを挟むそうだった。
自分は夢中になると、周りが見えなくなる性格だった。
もう、普通に顔を合わせられない。
穴があったら入りたい……。
改めて思い出して、自己嫌悪に陥る。
……でも。
そんな気持ちで顔を逸らす私に、マオさんが言った。
「あ、あのっ……。
その写真、僕にも……送ってもらえませんか?」
「!……え?」
耳を疑った。
けれど、同時に思い出す。
彼はいつだって、私が喜ぶ事を、共感してくれる人だという事をーー。
ゆっくりと顔を上げてみたら……。
そこに居るのは、口元に手を当てて恥ずかしそうにしている彼。
「僕も、その写真……欲しいです。
だから、番号をっ……交換、しませんか?」
嫌な気持ちが、嘘みたいに消えていく。
私よりも顔を真っ赤にして照れながら、気持ちを伝えてくれるその姿が……。
懐かしさと愛おしさで、私をあっと言う間に幸せにしてくれるの。
「っ……はい!勿論、です!」
笑顔で頷いたら、すぐにマオさんも微笑み返してくれる。
自分が笑顔の時、大好きな人が一緒に笑っていてくれる。
たった、これだけで良かった。
何よりも尊い、幸せ。
……でも。
その幸せを手に入れる事は、簡単なようで、実は1番難しい。
そしてその現実は、常に私達に迫ってきていた。
ようやく笑い合えた私達に”忘れるな”と、言うように……。
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