夢の言葉と失われた追想【続編④】

第１０章（１）アランside

１-２

【2月25日】

「……そうか。
では、マオは予定通りに事を進めているのだな？」

「はい。
予定通り、と言いますか……。正直、予定以上ではないかと」

移動中の車の中で、私は資料を片手に部下から仕事の報告やらを聞く。

マオこと、夢の配達人ヴァロンが私の元に帰ってきて10日程過ぎた。
人質に取った奴の妻を返す条件で、私が今回突き付けた難題の数々。
ハッキリ言ってさすがの奴でも計画通りにいかない、と読んでいたが……。

まさかこれ程までに、順調に進めていくとはな。
余程人質の女が効果を発揮しているとみえる。

私は資料をシートに置くと窓の外に目をやり、まもなく到着する別荘の外観を見つめた。


「それで、人質の方はどうなっている？大人しくしているか？」

「は、それが……」

この先の計画を遂行する為にも、人質に何かあっては困る。
そう思った私の問い掛けに答える部下は、少し言葉を濁らせた。

……
…………。