夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】

☆リサーナ☆

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第21章(2)アランside

2-2

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ピリッ……!ピリリリリーーッ……!!

「すみません、少し失礼します」

明らかに不穏な雰囲気の中、鳴り響く着信音。
上着の内ポケットに入れていたポケ電が鳴った兄上は席を立ち部屋を出て行った。

シャルマ様と二人きりになった食卓。
チラッと様子を伺うが、その時すでにシャルマ様は一度止めていた手を再び動かし食事を始めていた。
その普通さに、なんとも言えない嫌な感じを覚える。
どちらも一言も話さず、ただ食事を口に運び続ける事数分後……。


「申し訳ありません。
急な仕事が入りましたので、今日はこれで失礼します」

「……構わん。
ハンク様とミネア嬢によろしく伝えてくれ」

戻ってきた兄上がそう言うと、シャルマ様は食事の手も止めず、兄上を見る事もなく、言葉を返した。
そんなシャルマ様に兄上は一礼すると、それ以上何も言わずに部屋を出て行く。


「……。
シャルマ様、すみません。少し失礼します」

ほんの少しでも、兄上と話したい。
何故かそう感じた私は席を立つと、兄上を追って廊下に出た。


「兄上!」

「!……アラン」

背中を見付けてすぐさま声を掛けると、兄上は足を止めて振り返ってくれる。
でも、その表情は穏やかに微笑っているようなのに、どこか寂しそうで……。私は思わずこう言った。

「っ……大丈夫、ですか?」

「えっ?」

その質問に兄上が呆気に取られた表情をする。

何故こんな事を言ってしまったのだろう?
私はハッとして、すぐに言葉を続けた。

「!……あ、いえ。お疲れのように見えたので……」

「そ、そうかな?
心配してくれてありがとう、大丈夫だよ」

慌てる私にそう返して、兄上はまた微笑った。
そして……。

「アラン、アカリさんとの事。本当におめでとう。
二人が一緒になってくれるなら安心だし、すごく嬉しいよ」

私とアカリ様の事を祝福する言葉をくれた。
その言葉は上部だけではなく、兄上が本心から言ってくれていると感じ取れるのに……。私は素直に喜ぶ事が出来なかった。
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