夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】

☆リサーナ☆

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第21章(2)アランside

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本当に、このままでいいんですか?
"ありがとう"よりも先に浮かんだのは、そんな言葉。
するとそんな私を察したのか、兄上が遮るように話す。

「近いうちに、また会おう?何かお祝い用意しておくから!ねっ?」

そう言われて、胸が締め付けられた。
それは"真実"を知りながら、黙っている罪悪感。

ミネア嬢の見舞いと、兄上に話したい事があって病室を訪れた夜に……。

『言えばいいじゃない、みんなに……。
"僕の子供じゃありません"って、言えばいいじゃない!』

偶然聞いてしまった、二人の秘密。
その事を知りながら、私は兄上の相談に乗る事もアカリ様にその真実を伝え会わせてやる事もしていない。
クリスマスイブの夜に、アカリ様をこの手で護ってやる事こそが唯一私に出来る事だと思ったが、本当にそうなんだろうか?

妙な想いと、胸騒ぎが消えない。
これは、先程シャルマ様に対して変化を見せていたあの兄上を見たせいなのか?
今の兄上を見ていると、"何か"を思い出すんだ。


「マオ様、お車の準備が出来ました」

「!……ディアス、ありがとう。
じゃあ、アラン。またね」

「っ……!」

"何か"を思い出すーー。

ディアスに呼ばれた兄上が私の肩を叩いて去って行った時、私はハッキリと思い出した。

それは、私が自分の父リオンを最期に見た光景。
シャルマ様の手によって父が消された、少し前の感じと……とてもよく、似ていたのだ。


「……まさか。
っ……きっと、気のせいだ」

シャルマ様の目的がミネア嬢の会社をこちらに引き込む為ならば、兄上を手に掛ける筈はない。
胸に響くドクンドクンッという鼓動を落ち着かせるように、私は自分に言い聞かせた。


しかし……。
その頃、1人食卓に座るシャルマ様は今日の食事のメインディッシュである鳥の丸焼きにナイフを突き立ててこう呟いていた。

「大人しく言う事を聞いておればいいものを、父親リオンに似て私に逆らいおって……。
ーーいや。さすが、卑しいあの女の息子だな」

自分の思い通りにならないなら、消すーー。

「鳴かぬなら、殺してしまえホトトギス」


運命の神が告げていた。
この物語は、確実にクライマックスに向かっているのだと……。
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