夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】

☆リサーナ☆

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第26章(2)アンナside

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幼い頃の自分を、思い出した。
私だって小さな頃は、両親が生き甲斐だった。誰だって、きっとそう。

それなのに私は、我が子ヴァロンを疑った。
リオが自分の元から去ってしまったように、いつかこの子も私の前から居なくなるだろう、と……。

でも、一緒に生活している日々と、何より私の能力ちからで分かった。
ヴァロンは本当に、こんな母親なのに私を慕ってずっと共に在りたいと願っている。私が元気に、笑顔になる為ならば何だってするつもりだ。


……そして、未来が見えた。
今は純粋なヴァロンの想いが、その美しさ故に自らを滅ぼしていくさまを……。
綺麗なこの子が、このままだと私のせいで悪魔のようになってしまう未来を……。
私とリオ、2人から二重に天使の血を受け継いでいるヴァロンの能力ちからは更に計り知れない。いつか目覚めるであろう一族の能力ちからを使って、この子は兄以上の支配者になってしまう。


だから、離さなきゃ。
この子が私に失望する程に酷い事をして、この執着心を削いで、自らの為に生きられるようにしてあげなきゃ。


自分がそう思えるようになったら、リオが何故突然私達に冷たくなり、離れていったのかも分かった。
リオにも視えたんだ。このまま一緒に居たら、私達がどんな未来みちを辿る事になるのか……。
だから彼は、私達の為に身を引いたのだ。

ヴァロンのお陰で、私はもう一度リオを信じられるようになったの。そしたら、私の能力ちからはますます強力なものになっていった。
年齢を感じさせない、この頃から変わらない容姿も、おそらくその一つ。

魔女ーーー。

そう兄に言われていた事も、あながち間違ってはいないだろう。
この能力ちからは私からしたら呪いに近いと思った。見た目が変わらないという事が永遠の命という結果に結び付くとは限らないが、この先間違いなく私を孤独へと導く事だろう……。


けれど、良い事もたくさんあったわ。
一つ目は、ヴァロンが産まれてくる以前……。前世を、知る事が出来た。
この子は前世も今と変わらず優しくて、自分の事よりも他人を大事にして、たった一人の女の子の為に自分の全てを捧げて、その生涯を終えていた。
そしてその女の子に再び巡り逢う為に、今世が過酷な人生だと知りながらも……私の元に産まれてきた。
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