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最終章(1)アカリside
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しおりを挟む夢の配達人の調査員になって一度は髪をショートカットにしていた彼女だけど、今ではまた伸ばしているようで今日は艶やかな黒髪が綺麗に結い上げられている。
女の子が髪を伸ばす、その理由はきっと……。
「レナさんとレイさんからも『おめでとうございます!後日必ずお祝いに伺います』と伝言を預かっています」
「そっか、ありがとう。3月は調査員さんも忙しいもんね」
「そうなんです。でも、『ユイちゃんは娘なんだから行っておいで』って、私にはお休みをくれて。本当に優しくて……」
「ふふっ、その様子だとレイと上手くいってるのね」
「!っえ……ッ」
私の言葉に、ユイちゃんの顔は一気にボッと赤くなった。
間違いない。ユイちゃんが髪をもう一度伸ばして、前より綺麗になった理由は絶対にレイと恋をしているからだ。
私とヴァロンが離れ離れになっていた事で、レイからのプロポーズを先延ばしにしている様子だったけど……。今の表情を見ると、もう彼女達に訪れる幸せも間近なのだと悟る。
「今度はユイちゃん達の番ね!
今日の式が終わったら、このブーケはユイちゃんにあげるわ!」
「ア、アカリさんっ……」
照れながらも嬉しそうに、ユイちゃんは微笑った。
ユイちゃんが結婚して、もし子供が産まれたらヴァロンはお祖父ちゃん……。そう思うと少し複雑だけど、お母さんを亡くした時に独りぼっちだと思った私にとって、家族が増えて行く事をとても幸せな事だった。
「アカリ~!来たわよ~!!」
「!……モニカ!!」
今日の為にモニカも、旦那さんのジェイクさんも、長女ジェシカちゃんに去年産まれた長男のルカ君を連れて駆け付けてくれた。
そして……。
「失礼します。簡単な料理でしたら出来上がりましたので、こちらにお持ちしても……ーーっ!て、アカリ?!」
「ユウさん、ありがとうございます!」
白無垢姿の私を見て固まるのは、今日の為の料理補佐とケーキを担当してくれるユウさん。
ここ数年パン屋さんで店長をしていた彼だけど、その仕事をしながらいつしかパティシエになりたいという夢を抱いていたらしくて。結婚式の報告をしたら"腕はまだまだだけど、良かったらお祝いにケーキを作らせてくれないか?"って、名乗り出てくれたの。
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