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最終章(3)アカリside
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しおりを挟む今日は私の25歳の誕生日。
そして、私とヴァロンの結婚式。
集まってくれたみんなと、ワイワイ盛り上がる筈だった。それなのに……。
「ヴァ、ヴァロン?
どうしたの?何か、あったの?」
突然お姫様抱っこされて、私はヴァロンに攫われ中。問い掛けても彼はチラッと私を見て微笑むだけで答えてくれない。
ここは普通ならば「もうっ!せっかくみんなが来てくれてるのに~!」と怒るべきところなのだろう。……しかし、…………。
~~~っ、もう!
何でこんなにカッコ良いのよ~~~ッ!?
初めて見る袴姿が似合っていて素敵過ぎる。
それに、昔のヴァロンのカッコ良さに今は"マオさん"の時の可愛いって雰囲気がプラスされて、もはや彼は最強だった。
以前にも増してドキドキとキュンキュンが止まらない。
きっと私は、永遠に彼に恋し続けるんだーー。
幸せな腕の中で、私はそう確信した。
そして、ふと、ある事に気付いた。
そう言えば、何だかんだ二人きりになるのって久し振りかも……。
ヴァロンが戻って来てからは毎日のように一緒に居られる夢のような日々が続いていた。が、彼が帰ってきた事が余程嬉しかったのだろう。ヒナタとヒカルが朝から晩までヴァロンにベッタリで、なかなかゆっくり二人きりになれる時間がなかったのだ。
夫婦の時間が減ってしまい寂しく感じていたが、それは親になった以上仕方のない事だと自分に言い聞かせてきた。
けれど、ジェシカちゃんやみんながいる昼間なら、きっとヒナタとヒカルが寂しがる事もない。二人きりになるのなら、まさに今は絶好のタイミングだろう。
もしかしてヴァロン、私の気持ちに気付いてて連れ出してくれたの?
そう心の中で問いかけた時だ。
「強引に連れ出してごめんな?
俺がどうしても、アカリと二人きりになりたかったんだ」
そのトドメの一言に私の胸キュンメーターはMAXになり、ヒートオーバーした。
"俺がどうしても、アカリと二人きりになりたかったんだ"、そんな嬉しい事を言われたら今まで抑えていた気持ちが弾けてしまう。
「わ、私も!っ……私もずっと、ヴァロンと二人きりになりたかった!」
やっと素直になって言えた本当の気持ち。
帰って来てくれてからも記憶が徐々に戻る度に頭痛で、苦しそうで……。それなのに、ヒナタとヒカルとの時間を大切にしてくれて、お祖父様のお仕事まで1日でも早く引き継げるよう勉強してくれて……。
これ以上ヴァロンの負担を増やしたくなくてずっと言えなかった。困らせるかも、ってずっと怖かった。
……けど、私の言葉に彼は微笑った。
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