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5話 レオンとシャンファ
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(レオン視点)
私は妻のシャンファと話をしていた。話題は当然この前、婚約破棄してやったばかりのジルについてだ。
「と、いう話なんだ…てん傑作だろう? 予言では西から魔物の大群が押し寄せるから、すぐに国境線の強化をしてくれ、と言うのだよ、あの女は」
「まあ……それは面白いわね。今の段階でも十分に強力なのではなくて?」
流石にシャンファは良く分かっている……第二夫人候補であった、ジルなどとは大違いだな。
「もちろんだ、ジルの奴に心配されるまでもなく、我が警備兵の力は非常に優秀だと言えるだろう。国境線の向こうにある国が攻めて来たとしても、互角に渡り合える程にな」
「まあ、それは凄いわね……!」
それを考えれば、たかが魔物風情にやられる私ではない。シャンファもそんな私を頼もしく思ってくれているようだ。
「でも……婚約破棄の理由はそれだけではないのでしょう? いくら何でも、それだけで婚約破棄をするには少々、弱いわ」
「それはそうだな。ジルの奴はよりにもよって、警備強化の為の資金をシャンファの無駄遣いを抑えれば、捻出することが出来ると言ったのだ。あの散財具合は異常だとな……」
「まあ……! ジルがそんなことを……!?」
「そういうことなのだ……まったく、私のシャンファを馬鹿にしおって。そういうこともあって、奴との婚約を破棄するに至ったということさ」
「……それは嬉しいわ。ありがとう、レオン」
「はははっ、気にすることはないさ。お前の為だからな」
? なんだか反応が薄いような気がするが……もっと大胆に抱き着いて、キスとかしてくれても良さそうなものなのに。照れているのか?
「警備の強化はあなたは必要ないと考えているのよね?」
「当たり前だろう? シャンファだってそう思うだろう?」
「そうね……ただ、あの子の予言、というのが少しだけ気に掛かるわ」
「予言……ジルのか」
「ええ、だって巷では少し有名なのでしょう、あの子は」
確かにそれはそうだが……シャンファは心配しているのか?
「何も心配することはないぞ、シャンファよ。お前は今まで通り、贅沢な暮らしをしていれば良いさ。金のことなら心配するな。私の家系は優秀だからな」
「……ええ、ありがとう」
今日のシャンファはやけに反応が薄いな。まあ、こういうこともあるか。少しだけ寂しくなってしまうがな……。
「そう言えばレオン、こんな話を知っているかしら?」
「何の話だ?」
「辺境地の領主が身勝手であった為に、その周辺を包囲されてしまい、完全に孤立状態……最悪はその部分だけ切り離されてしまったという話」
「な、なんのことを言っているんだ……?」
「いえ、なんでもないわ」
シャンファの口調は穏やかだったが、どこか真に迫るものでもあった。さっきの話は冗談なのか? それ以上、彼女がその話題をすることはなかったが……。
私は妻のシャンファと話をしていた。話題は当然この前、婚約破棄してやったばかりのジルについてだ。
「と、いう話なんだ…てん傑作だろう? 予言では西から魔物の大群が押し寄せるから、すぐに国境線の強化をしてくれ、と言うのだよ、あの女は」
「まあ……それは面白いわね。今の段階でも十分に強力なのではなくて?」
流石にシャンファは良く分かっている……第二夫人候補であった、ジルなどとは大違いだな。
「もちろんだ、ジルの奴に心配されるまでもなく、我が警備兵の力は非常に優秀だと言えるだろう。国境線の向こうにある国が攻めて来たとしても、互角に渡り合える程にな」
「まあ、それは凄いわね……!」
それを考えれば、たかが魔物風情にやられる私ではない。シャンファもそんな私を頼もしく思ってくれているようだ。
「でも……婚約破棄の理由はそれだけではないのでしょう? いくら何でも、それだけで婚約破棄をするには少々、弱いわ」
「それはそうだな。ジルの奴はよりにもよって、警備強化の為の資金をシャンファの無駄遣いを抑えれば、捻出することが出来ると言ったのだ。あの散財具合は異常だとな……」
「まあ……! ジルがそんなことを……!?」
「そういうことなのだ……まったく、私のシャンファを馬鹿にしおって。そういうこともあって、奴との婚約を破棄するに至ったということさ」
「……それは嬉しいわ。ありがとう、レオン」
「はははっ、気にすることはないさ。お前の為だからな」
? なんだか反応が薄いような気がするが……もっと大胆に抱き着いて、キスとかしてくれても良さそうなものなのに。照れているのか?
「警備の強化はあなたは必要ないと考えているのよね?」
「当たり前だろう? シャンファだってそう思うだろう?」
「そうね……ただ、あの子の予言、というのが少しだけ気に掛かるわ」
「予言……ジルのか」
「ええ、だって巷では少し有名なのでしょう、あの子は」
確かにそれはそうだが……シャンファは心配しているのか?
「何も心配することはないぞ、シャンファよ。お前は今まで通り、贅沢な暮らしをしていれば良いさ。金のことなら心配するな。私の家系は優秀だからな」
「……ええ、ありがとう」
今日のシャンファはやけに反応が薄いな。まあ、こういうこともあるか。少しだけ寂しくなってしまうがな……。
「そう言えばレオン、こんな話を知っているかしら?」
「何の話だ?」
「辺境地の領主が身勝手であった為に、その周辺を包囲されてしまい、完全に孤立状態……最悪はその部分だけ切り離されてしまったという話」
「な、なんのことを言っているんだ……?」
「いえ、なんでもないわ」
シャンファの口調は穏やかだったが、どこか真に迫るものでもあった。さっきの話は冗談なのか? それ以上、彼女がその話題をすることはなかったが……。
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