子爵令嬢でしたが真の姿は王女でした。婚約破棄した貴方は許しません

ルイス

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1話 フェリスの婚約破棄

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 私の名前はフェリス・シネスタ。子爵令嬢であり年齢は17歳だけれど、少々特殊な環境で育っている。まあ、そちらは今は関係ないのだけれど……現在、大変なことが起こっていた。

 私の婚約者であるブンド・マルカール侯爵が婚約破棄をすると言って来たのだ。


「こ、婚約破棄でございますか? ブンド様……!」

「その通りだ、フェリス。お前は所詮、シネスタ家……子爵令嬢でしかない。お前と婚約をして2カ月だが、よくよく考えればおかしなことだったのだ。私は伯爵令嬢のルーザ・オニオールと婚約することにした。お前の家と繋がりを持つよりも余程、効果的だからな。はっはっはっ」

「それはそうかもしれませんが……!」


 先ほどからこの会話が繰り返されている。ブンド様の性格を鑑みれば、子爵令嬢でしかない私よりもルーザ嬢と一緒になることを選ぶのだろう。先に私と婚約をしていたし、それは浮気になるのだから、本来であれば侯爵として信じられないことをしているのだけれど。

 彼は悪びれる様子を全く見せてはいなかった……私は婚約破棄を受け入れるしかないのだろうか?


「なんとかならないのですか? 私に至らない部分があれば改善いたしますので!」

「至らない部分は特にないな。ただ、身分的な意味と好み的な意味でルーザの方が良いと言いたいだけだ。残念だったな」

「そ、そんな……それでは……」


 それではどうしようもない。ブンド様の気持ちを切り替えることは不可能に思えてしまった……身分以外に好みでもルーザ嬢に負けているなんて。私のこの2カ月はなんだったのだろうか? こんな人に仕えて教育を受けていた期間……まったく無駄になってしまったことになる。

「残念です……ブンド様。まさかこんな形で婚約破棄をされるなんて思ってもいませんでした」

「私も同じ気持ちだフェリス。お前はなかなか美人だからな、出来れば手元に置いておきたかったが……ルーザには敵わないのだよ。はっはっはっ」

 どこまでも物扱いだ……この様子ではルーザ嬢も物として扱っている可能性があるわね。まあ、振られた私にはもう関係ないことだけれど。


「さようなら、ブンド・マルカール侯爵……」

「ああ……まあ、心配することはない。慰謝料はしっかりと払ってやるさ。子爵家は金もないだろうからな、その金を次の相手を見つける時の費用にするが良い」

「……」


 私はその言葉に答えることはしなかった。完全に小馬鹿にされている。変に言い返したところで逆効果になると思えたから。私の目からは悔し涙が溢れていた。
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