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15話 大きな罪 その1
「クラウス卿、もう一度聞くが……貴殿はオルカスト王国から独立し、貴族絶対主義の国家である公国を作り出そうとしていた。その国で公爵と名乗り、その為にメリア王女を骨の髄まで利用するつもりだったのだな?」
フューリの言い方が色々と盛られている気はするけど。それに骨の髄までの利用ってなんだかいかがわしい……。
完全に濡れ衣であるビクティム侯爵は首を勢いよく左右に振っていたけれど、周囲のビクティム派と思われる貴族達は、意外にも懐疑的になっていた。少なくとも、フューリに反抗的な声は聞こえてこない。
「本当にクラウス卿が公国の樹立を考えていたのか……?」
「信じられない……」
「しかし、よくよく考えれば、以前に現在の王家に対する不満を漏らしていたような」
憶測やビクティム侯爵の過去のちょっとした言動を深読みする流れになって来ている。おそらくこれも、フューリの計算通りに違いない。周りの貴族達に懐疑心を持たせ、自らの主張を事実に近づけようとしているのかもしれない。
いや、そうじゃないわね。
「ダンテ兄さま、フューリ王太子殿下の狙いはおそらく、周りを動揺させることにありますよね?」
「そうだな……明らかに先ほどまでとは雰囲気も違っているし、それが最初の狙いだろう。私としては、メリア王女が味方なことに驚いたが……」
それは私も驚いてはいる。でも、なんとなくフューリとの会話で味方であっても不思議ではないと思えてはいた。
「王太子殿下……ご冗談はやめていただきたい……! 周囲の者達にも影響を与えることでございますので……」
「出来心では済まんのだがな、本来は。メリア王女との婚約を私や陛下に黙っていたことは」
「そ、それは……私の不手際でございました。お詫び申し上げます……」
「……」
フューリの顔つきが変わっている。素直に謝罪しているビクティム侯爵への態度ではないと、周りは思うかもしれない。でも、それにもきっと意味があるのだろう。
「不手際、か。つまりは偶々忘れていただけ……故意ではなかったと?」
「も、申し訳ありません……その通りでございます……!」
「では、レオーネとの婚約破棄についても、一時的な不手際ということかな?」
「そ、それは……!!」
フューリの拳は自然と握りしめられていた。彼の気迫はなんというか……今にも、ビクティム侯爵に殴り掛からんばかりの勢いを持たせている。
「真実の愛に目覚めたそうだな、クラウス卿……メリア・デルトーイ王女との政略結婚が真実の愛、なのかな?」
「……ぐぐぐ!」
ビクティム侯爵は答えられない。それどころか、フューリと目すら合わせようとしていない。おそらくは、合わせる勇気がないんだろうけど。こちらが本題……とばかり、フューリの攻撃は続く。
いつの間にかフューリは、周辺の貴族達も味方に付けているかのようだった。
フューリの言い方が色々と盛られている気はするけど。それに骨の髄までの利用ってなんだかいかがわしい……。
完全に濡れ衣であるビクティム侯爵は首を勢いよく左右に振っていたけれど、周囲のビクティム派と思われる貴族達は、意外にも懐疑的になっていた。少なくとも、フューリに反抗的な声は聞こえてこない。
「本当にクラウス卿が公国の樹立を考えていたのか……?」
「信じられない……」
「しかし、よくよく考えれば、以前に現在の王家に対する不満を漏らしていたような」
憶測やビクティム侯爵の過去のちょっとした言動を深読みする流れになって来ている。おそらくこれも、フューリの計算通りに違いない。周りの貴族達に懐疑心を持たせ、自らの主張を事実に近づけようとしているのかもしれない。
いや、そうじゃないわね。
「ダンテ兄さま、フューリ王太子殿下の狙いはおそらく、周りを動揺させることにありますよね?」
「そうだな……明らかに先ほどまでとは雰囲気も違っているし、それが最初の狙いだろう。私としては、メリア王女が味方なことに驚いたが……」
それは私も驚いてはいる。でも、なんとなくフューリとの会話で味方であっても不思議ではないと思えてはいた。
「王太子殿下……ご冗談はやめていただきたい……! 周囲の者達にも影響を与えることでございますので……」
「出来心では済まんのだがな、本来は。メリア王女との婚約を私や陛下に黙っていたことは」
「そ、それは……私の不手際でございました。お詫び申し上げます……」
「……」
フューリの顔つきが変わっている。素直に謝罪しているビクティム侯爵への態度ではないと、周りは思うかもしれない。でも、それにもきっと意味があるのだろう。
「不手際、か。つまりは偶々忘れていただけ……故意ではなかったと?」
「も、申し訳ありません……その通りでございます……!」
「では、レオーネとの婚約破棄についても、一時的な不手際ということかな?」
「そ、それは……!!」
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「……ぐぐぐ!」
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