侯爵様に婚約破棄されたのですが、どうやら私と王太子が幼馴染だったことは知らなかったようですね?

ルイス

文字の大きさ
15 / 60

15話 大きな罪 その1

「クラウス卿、もう一度聞くが……貴殿はオルカスト王国から独立し、貴族絶対主義の国家である公国を作り出そうとしていた。その国で公爵と名乗り、その為にメリア王女を骨の髄まで利用するつもりだったのだな?」


 フューリの言い方が色々と盛られている気はするけど。それに骨の髄までの利用ってなんだかいかがわしい……。


 完全に濡れ衣であるビクティム侯爵は首を勢いよく左右に振っていたけれど、周囲のビクティム派と思われる貴族達は、意外にも懐疑的になっていた。少なくとも、フューリに反抗的な声は聞こえてこない。


「本当にクラウス卿が公国の樹立を考えていたのか……?」


「信じられない……」


「しかし、よくよく考えれば、以前に現在の王家に対する不満を漏らしていたような」


 憶測やビクティム侯爵の過去のちょっとした言動を深読みする流れになって来ている。おそらくこれも、フューリの計算通りに違いない。周りの貴族達に懐疑心を持たせ、自らの主張を事実に近づけようとしているのかもしれない。


 いや、そうじゃないわね。


「ダンテ兄さま、フューリ王太子殿下の狙いはおそらく、周りを動揺させることにありますよね?」

「そうだな……明らかに先ほどまでとは雰囲気も違っているし、それが最初の狙いだろう。私としては、メリア王女が味方なことに驚いたが……」


 それは私も驚いてはいる。でも、なんとなくフューリとの会話で味方であっても不思議ではないと思えてはいた。



「王太子殿下……ご冗談はやめていただきたい……! 周囲の者達にも影響を与えることでございますので……」

「出来心では済まんのだがな、本来は。メリア王女との婚約を私や陛下に黙っていたことは」

「そ、それは……私の不手際でございました。お詫び申し上げます……」


「……」


 フューリの顔つきが変わっている。素直に謝罪しているビクティム侯爵への態度ではないと、周りは思うかもしれない。でも、それにもきっと意味があるのだろう。


「不手際、か。つまりは偶々忘れていただけ……故意ではなかったと?」

「も、申し訳ありません……その通りでございます……!」

「では、レオーネとの婚約破棄についても、一時的な不手際ということかな?」


「そ、それは……!!」


 フューリの拳は自然と握りしめられていた。彼の気迫はなんというか……今にも、ビクティム侯爵に殴り掛からんばかりの勢いを持たせている。


「真実の愛に目覚めたそうだな、クラウス卿……メリア・デルトーイ王女との政略結婚が真実の愛、なのかな?」


「……ぐぐぐ!」


 ビクティム侯爵は答えられない。それどころか、フューリと目すら合わせようとしていない。おそらくは、合わせる勇気がないんだろうけど。こちらが本題……とばかり、フューリの攻撃は続く。


 いつの間にかフューリは、周辺の貴族達も味方に付けているかのようだった。


感想 61

あなたにおすすめの小説

病弱を演じる妹に婚約者を奪われましたが、大嫌いだったので大助かりです

克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」「ノベルバ」に同時投稿しています。 『病弱を演じて私から全てを奪う妹よ、全て奪った後で梯子を外してあげます』 メイトランド公爵家の長女キャメロンはずっと不当な扱いを受け続けていた。天性の悪女である妹のブリトニーが病弱を演じて、両親や周りの者を味方につけて、姉キャメロンが受けるはずのモノを全て奪っていた。それはメイトランド公爵家のなかだけでなく、社交界でも同じような状況だった。生まれて直ぐにキャメロンはオーガスト第一王子と婚約していたが、ブリトニーがオーガスト第一王子を誘惑してキャメロンとの婚約を破棄させようとしたいた。だがキャメロンはその機会を捉えて復讐を断行した。

令嬢たちの華麗なる断罪 ~婚約破棄は、こちらから~

櫻井みこと
恋愛
婚約者である令嬢たちを差し置いて、ひとりの女性に夢中になっている婚約者たち。 その女性はあまりにも常識知らずだったから、少し注意をしていただけなのに、嫉妬して彼女をいじめていると言いがかりをつけられる。 どうして政略結婚の相手に、嫉妬などしなければならないのでしょう。 呆れた令嬢たちは、ひそかに婚約破棄の準備を進めていた。 ※期間限定で再公開しました。

【完結】男装の麗人が私の婚約者を欲しがっているご様子ですが…

恋愛
伯爵令嬢のグラシャは同じ女学校のシルビアと婚約者で侯爵家のアシュレイが両想いであるという噂を耳にする。シルビアは彼の幼馴染、しかもその長身と整った顔立ちから『男装の麗人』として人気を集めている。 お互いが想い合っているなら潔く身を引こう、心に決めたグラシャはアシュレイを呼び出し別れを告げようとするが…… 「俺が君を手放すと、そう思っているのか?」 勘違いした令嬢と不器用な婚約者がある噂をきっかけに急接近?!ざまぁ要素あり、基本溺愛系です。 ※ノベルバでも投稿しております。

価値がないと言われた私を必要としてくれたのは、隣国の王太子殿下でした

風見ゆうみ
恋愛
「俺とルピノは愛し合ってるんだ。君にわかる様に何度も見せつけていただろう? そろそろ、婚約破棄してくれないか? そして、ルピノの代わりに隣国の王太子の元に嫁いでくれ」  トニア公爵家の長女である私、ルリの婚約者であるセイン王太子殿下は私の妹のルピノを抱き寄せて言った。 セイン殿下はデートしようといって私を城に呼びつけては、昔から自分の仕事を私に押し付けてきていたけれど、そんな事を仰るなら、もう手伝ったりしない。 仕事を手伝う事をやめた私に、セイン殿下は私の事を生きている価値はないと罵り、婚約破棄を言い渡してきた。 唯一の味方である父が領地巡回中で不在の為、婚約破棄された事をきっかけに、私の兄や継母、継母の子供である妹のルピノからいじめを受けるようになる。 生きている価値のない人間の居場所はここだと、屋敷内にある独房にいれられた私の前に現れたのは、私の幼馴染みであり、妹の初恋の人だった…。 ※8/15日に完結予定です。 ※史実とは関係なく、設定もゆるい、ご都合主義です。 ※中世ヨーロッパ風で貴族制度はありますが、法律、武器、食べ物などは現代風です。話を進めるにあたり、都合の良い世界観ですのでご了承くださいませ。

そんなに妹が好きなら死んであげます。

克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。 『思い詰めて毒を飲んだら周りが動き出しました』 フィアル公爵家の長女オードリーは、父や母、弟や妹に苛め抜かれていた。 それどころか婚約者であるはずのジェイムズ第一王子や国王王妃にも邪魔者扱いにされていた。 そもそもオードリーはフィアル公爵家の娘ではない。 イルフランド王国を救った大恩人、大賢者ルーパスの娘だ。 異世界に逃げた大魔王を追って勇者と共にこの世界を去った大賢者ルーパス。 何の音沙汰もない勇者達が死んだと思った王達は……

【完結】愛とは呼ばせない

野村にれ
恋愛
リール王太子殿下とサリー・ペルガメント侯爵令嬢は六歳の時からの婚約者である。 二人はお互いを励まし、未来に向かっていた。 しかし、王太子殿下は最近ある子爵令嬢に御執心で、サリーを蔑ろにしていた。 サリーは幾度となく、王太子殿下に問うも、答えは得られなかった。 二人は身分差はあるものの、子爵令嬢は男装をしても似合いそうな顔立ちで、長身で美しく、 まるで対の様だと言われるようになっていた。二人を見つめるファンもいるほどである。 サリーは婚約解消なのだろうと受け止め、承知するつもりであった。 しかし、そうはならなかった。

公爵令嬢 メアリの逆襲 ~魔の森に作った湯船が 王子 で溢れて困ってます~

薄味メロン
恋愛
 HOTランキング 1位 (2019.9.18)  お気に入り4000人突破しました。  次世代の王妃と言われていたメアリは、その日、すべての地位を奪われた。  だが、誰も知らなかった。 「荷物よし。魔力よし。決意、よし!」 「出発するわ! 目指すは源泉掛け流し!」  メアリが、追放の準備を整えていたことに。

幼い頃に魔境に捨てたくせに、今更戻れと言われて戻るはずがないでしょ!

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 ニルラル公爵の令嬢カチュアは、僅か3才の時に大魔境に捨てられた。ニルラル公爵を誑かした悪女、ビエンナの仕業だった。普通なら獣に喰われて死にはずなのだが、カチュアは大陸一の強国ミルバル皇国の次期聖女で、聖獣に護られ生きていた。一方の皇国では、次期聖女を見つけることができず、当代の聖女も役目の負担で病み衰え、次期聖女発見に皇国の存亡がかかっていた。