侯爵様に婚約破棄されたのですが、どうやら私と王太子が幼馴染だったことは知らなかったようですね?

ルイス

文字の大きさ
17 / 60

17話 大きな罪 その3

「諦めるんだな、クラウス卿。君は彼女を……レオーネを悲しませたんだ。この罪は甚だ大きいぞ」

「フューリ王太子殿下……!」


 ビクティム侯爵はその場でフラフラとよろめいていた。誰かが支えないと、それこそ脚から崩れ落ちてしまいそうになっている。でも、彼に寄り添う人は居ない。普段ならビクティム侯爵の味方になってもおかしくない貴族達も、疑心暗鬼で彼の前に行くことが出来ないのだ。

 加えて、フューリという存在に逆らうことを敬遠している節さえある。今後の自分たちの家系のことを考えると、なかなかビクティム侯爵に寄り添えないんだと思う。あの場に居たのが私やダンテ兄さまだったらきっと、ここまでの効果は生み出せなかった。

 それどころか、周囲の貴族達からの言葉による攻撃を受けていたかもしれない。その辺りもフューリは計算してくれたのかしら……? そうだとするなら、彼には感謝しか出来ない。私なんかの為にここまでしてくれるなんて……。


「ま、待ってください! 王太子殿下……! レオーネ嬢を悲しませたことについては、本当に謝罪いたします! しかし、メリア王女殿下との関係性は嘘ではない! 私は濡れ衣だ!」

「あらあら、ビクティム様。往生際が悪いですわよ……」

「どの口が言うか……!! 貴様……!」


 どんどん素が出て来ているビクティム侯爵。完全にメリア王女に対しては敬語が消えているし……周りでパーティを楽しんでいた貴族達は、ビクティム侯爵の態度にひいているように思える。


「二兎追う者は一兎も得ず……いえ、あなたの場合はどちらも手に入らない。所詮、それがあなたの実力と言うことですわ。馬鹿なことをしでかした代償というものでしょう」


「馬鹿なことだと……? 我がクラウス家の勢力を拡大させることの、どこが馬鹿なことなのだ!? ふざけるなっ! 貴様など、レオーネと同じくそこらの貴族令嬢と変わらないではないか!! 女であるため事実上、王位継承権もない存在……子を産むだけの機械に成り下がっている分際で! よくも私を騙してくれたな!」


「まあ、怖い発言が続いておりますわ……私、このまま殴られてしまうのかしら?」


 メリア王女は大袈裟に身振り手振りで強調していたけど、その態度は平然としていた。ビクティム侯爵に対して、全く恐怖している様子を見せていない。


「それに……あなたは周囲の様子をもっと見るべきですわね。先ほどの発言……決して取り消せはしないのだから」


「ぬうっ!?」


 唸りながらビクティム侯爵は周囲に目を向ける。行き過ぎた発言、本音に対する冷たい視線がそこには流れていた。


「信じられませんね……まさかあの、クラウス家の当主ともあろう存在が、そのように女性を軽視していたとは……」

「ええ、これは由々しき事態と言えましょう!」

「クラウス卿、先ほど発言の真意をすべて暴露してもらおうか! 我々は今まで、あなたに付いて来たつもりだ! しかし、そんな態度を公共の場で行える者に付いて来たつもりなど、毛頭ないぞ!」


 ビクティム侯爵への攻撃の相手が変わっているように感じた。先ほどまではフューリだったのに、現在では周りの貴族達が直接攻撃を仕掛けている。

「侯爵殿も大変だな。果たしてこの状況をどう乗り切るおつもりなのか……」

「ダンテ兄さま、楽しんでいません?」

「ははは、何のことだ? でもまあそうだな……せっかくのパーティなんだし、楽しまないとな」


 現在はパーティの催し物とは別の方向に向かっているけれど……ダンテ兄さまはとても笑顔で観戦していた。仕方がないので、私もそれに準じることにする。
感想 61

あなたにおすすめの小説

病弱を演じる妹に婚約者を奪われましたが、大嫌いだったので大助かりです

克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」「ノベルバ」に同時投稿しています。 『病弱を演じて私から全てを奪う妹よ、全て奪った後で梯子を外してあげます』 メイトランド公爵家の長女キャメロンはずっと不当な扱いを受け続けていた。天性の悪女である妹のブリトニーが病弱を演じて、両親や周りの者を味方につけて、姉キャメロンが受けるはずのモノを全て奪っていた。それはメイトランド公爵家のなかだけでなく、社交界でも同じような状況だった。生まれて直ぐにキャメロンはオーガスト第一王子と婚約していたが、ブリトニーがオーガスト第一王子を誘惑してキャメロンとの婚約を破棄させようとしたいた。だがキャメロンはその機会を捉えて復讐を断行した。

令嬢たちの華麗なる断罪 ~婚約破棄は、こちらから~

櫻井みこと
恋愛
婚約者である令嬢たちを差し置いて、ひとりの女性に夢中になっている婚約者たち。 その女性はあまりにも常識知らずだったから、少し注意をしていただけなのに、嫉妬して彼女をいじめていると言いがかりをつけられる。 どうして政略結婚の相手に、嫉妬などしなければならないのでしょう。 呆れた令嬢たちは、ひそかに婚約破棄の準備を進めていた。 ※期間限定で再公開しました。

【完結】男装の麗人が私の婚約者を欲しがっているご様子ですが…

恋愛
伯爵令嬢のグラシャは同じ女学校のシルビアと婚約者で侯爵家のアシュレイが両想いであるという噂を耳にする。シルビアは彼の幼馴染、しかもその長身と整った顔立ちから『男装の麗人』として人気を集めている。 お互いが想い合っているなら潔く身を引こう、心に決めたグラシャはアシュレイを呼び出し別れを告げようとするが…… 「俺が君を手放すと、そう思っているのか?」 勘違いした令嬢と不器用な婚約者がある噂をきっかけに急接近?!ざまぁ要素あり、基本溺愛系です。 ※ノベルバでも投稿しております。

価値がないと言われた私を必要としてくれたのは、隣国の王太子殿下でした

風見ゆうみ
恋愛
「俺とルピノは愛し合ってるんだ。君にわかる様に何度も見せつけていただろう? そろそろ、婚約破棄してくれないか? そして、ルピノの代わりに隣国の王太子の元に嫁いでくれ」  トニア公爵家の長女である私、ルリの婚約者であるセイン王太子殿下は私の妹のルピノを抱き寄せて言った。 セイン殿下はデートしようといって私を城に呼びつけては、昔から自分の仕事を私に押し付けてきていたけれど、そんな事を仰るなら、もう手伝ったりしない。 仕事を手伝う事をやめた私に、セイン殿下は私の事を生きている価値はないと罵り、婚約破棄を言い渡してきた。 唯一の味方である父が領地巡回中で不在の為、婚約破棄された事をきっかけに、私の兄や継母、継母の子供である妹のルピノからいじめを受けるようになる。 生きている価値のない人間の居場所はここだと、屋敷内にある独房にいれられた私の前に現れたのは、私の幼馴染みであり、妹の初恋の人だった…。 ※8/15日に完結予定です。 ※史実とは関係なく、設定もゆるい、ご都合主義です。 ※中世ヨーロッパ風で貴族制度はありますが、法律、武器、食べ物などは現代風です。話を進めるにあたり、都合の良い世界観ですのでご了承くださいませ。

そんなに妹が好きなら死んであげます。

克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。 『思い詰めて毒を飲んだら周りが動き出しました』 フィアル公爵家の長女オードリーは、父や母、弟や妹に苛め抜かれていた。 それどころか婚約者であるはずのジェイムズ第一王子や国王王妃にも邪魔者扱いにされていた。 そもそもオードリーはフィアル公爵家の娘ではない。 イルフランド王国を救った大恩人、大賢者ルーパスの娘だ。 異世界に逃げた大魔王を追って勇者と共にこの世界を去った大賢者ルーパス。 何の音沙汰もない勇者達が死んだと思った王達は……

【完結】愛とは呼ばせない

野村にれ
恋愛
リール王太子殿下とサリー・ペルガメント侯爵令嬢は六歳の時からの婚約者である。 二人はお互いを励まし、未来に向かっていた。 しかし、王太子殿下は最近ある子爵令嬢に御執心で、サリーを蔑ろにしていた。 サリーは幾度となく、王太子殿下に問うも、答えは得られなかった。 二人は身分差はあるものの、子爵令嬢は男装をしても似合いそうな顔立ちで、長身で美しく、 まるで対の様だと言われるようになっていた。二人を見つめるファンもいるほどである。 サリーは婚約解消なのだろうと受け止め、承知するつもりであった。 しかし、そうはならなかった。

公爵令嬢 メアリの逆襲 ~魔の森に作った湯船が 王子 で溢れて困ってます~

薄味メロン
恋愛
 HOTランキング 1位 (2019.9.18)  お気に入り4000人突破しました。  次世代の王妃と言われていたメアリは、その日、すべての地位を奪われた。  だが、誰も知らなかった。 「荷物よし。魔力よし。決意、よし!」 「出発するわ! 目指すは源泉掛け流し!」  メアリが、追放の準備を整えていたことに。

幼い頃に魔境に捨てたくせに、今更戻れと言われて戻るはずがないでしょ!

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 ニルラル公爵の令嬢カチュアは、僅か3才の時に大魔境に捨てられた。ニルラル公爵を誑かした悪女、ビエンナの仕業だった。普通なら獣に喰われて死にはずなのだが、カチュアは大陸一の強国ミルバル皇国の次期聖女で、聖獣に護られ生きていた。一方の皇国では、次期聖女を見つけることができず、当代の聖女も役目の負担で病み衰え、次期聖女発見に皇国の存亡がかかっていた。