王子殿下! 心の声で丸分かりです!

ルイス

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4話 ラークス・コルド第四王子殿下 その1

「いいこと? ラークス様はとても気難しいと噂なの」

「はい……それは聞いたことがございます」


 ラークス・コルド第四王子殿下……コルド王国の王位継承権は4番目になっている人物だ。長身の二枚目で、剣術の才能もあるお方だと聞いている。ただ、基本的には無口な為に、色々な噂が流れていたりする。

 怒らせると斬られるとか、本人にとっては不名誉な噂もある。そんな噂を聞いていて、私は貴族社会の闇は相当に深いと感じていた。

 でも……シャロン姉さまがラークス王子殿下と繋がりがあるのは意外だった。シャロン姉さまも身分としては私と同じはずなのに……。

「シャロン姉さま、どういう経緯でラークス王子殿下とお知り合いになったのですか?」

「なにって……以前のパーティーで貴方を紹介して欲しいと、本人に言われたのよ。貴方はその後すぐにフィリップ様と婚約したから、なかったことにはなっているけれど」

「ああ……そういう経緯があったのですね」

「ええ」


 だから今回の第四王子殿下とお会いする機会も、スムーズに作れたというわけか。

「それにしても……どうしてラークス様は、私なんかと接触を考えていたのでしょうか?」


 寡黙な印象が強いせいで、どうしても不安は消せなかった。


「本当に分かっていないの?」

「ええ……まあ」

「レミリム、貴方を紹介して欲しいと言って来たのは、ラークス様だけではないのよ?」

「えっ、そうだったのですか……?」


 シャロン姉さまは普通に頷いている。心の声を聞くまでもなく、真実を言っている表情をしていた。


「ええ、そうよ。貴方、自分が結構モテることを知らないでしょう?」

「え、ええ……知りませんでした……」


 まあ、紹介して欲しいと言って来た方々が、私と付き合いたいという趣旨なのかどうかは別として……そんな事実があるのなら、多少は期待してしまう。私もフィリップ様のことなんか、すぐにでも忘れたいしね。


-------------------------


「ラークス・コルド王子殿下……お初にお目に掛かります。ナーヴァ伯爵家の次女、レミリムと申します。本日はお忙しい中、貴重なお時間を作っていただきありがとうございました」

「ああ……」

「……」


 私と姉さまはその後、ラークス王子殿下の私室に招かれた。部屋の大きさは私達の部屋とは一線を画している。流石は王家……。

 肝心のラークス王子殿下は噂通りの寡黙さだった。さらにお顔は二枚目だけれど、背が高く大きい身体をしているので、怖さが増している。私はラークス王子殿下の機嫌を損ねないように、と考えるので必死だった。

 失礼なことを言ってしまったら、それこそ雷が落ちるかもしれない……そんな怖さが確かにあったからだ。でも、私とは違って、姉さまは平然としている……それどころか、笑みを零しているような。


(レミリム嬢にシャロン嬢か……まさか、私などの為に来てくれるとは……ああ、マズいぞ。なんと答えれば良いのかわからない……レミリム嬢からも怖い存在として認知されるのだけは、避けたいのだが……)


 ラークス王子殿下の心の声が聞こえて来た……その内容は、意外だったと言わざるを得ない。ラークス王子殿下の心の声を一足早く聞いていたから、シャロン姉さまは笑っていたのね。

 自然と私の緊張感も緩んでいた。相手の心の声を聞ける能力って便利ね本当に。
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