9 / 23
8話 制裁の開始 その2
しおりを挟む
「ランドール・イクサバ参りました」
「イリス・サブラビッチ、同じく参りました……」
「ようこそお出でくださいました」
元婚約者のランドールと、昨日、派手な喧嘩を繰り広げた相手イリス……ランドールはともかく、イリスはとても怯えている。私の顔を見るなりしかめっ面をしていたけれど。
ランドールとイリスなんかに丁寧な挨拶をしてほしくはないけど、ここは礼儀とばかりにお父様がお辞儀をしている。
「イグリオ殿、この度はどうされたのかな? この私を呼びつけるとは……」
あれ? 王子殿下のことはランドールは知らないのかしら? そっか、表向きはお父様が呼んだことになっているのね。イリスは事情を把握しているから無口になっているけれど、事情を知らないランドールは横柄な態度を取っているし。
ちなみに兄上は奥で待機している。まずは、ランドールから直接言葉で話させる狙いがあるみたい。
「本題がどういうものかはご存知のはず。我が娘、アリシアとの婚約破棄についてになります」
「やはりそのことか」
「書簡などでは既に連絡をもらっておりました。しかし、とても納得いく回答は受けておりませぬ」
「随分と上からの物言いだなイグリオ殿。たかが伯爵家系にしては思い上がりも甚だしいぞ?」
「……ふっ、たかが伯爵と来ましたか」
「……」
うわ……既にランドールは無事に帰ることができないのが決定してしまったような……でも、これも兄上たちの作戦なので、私は黙って見守ることにした。イリスが先ほどから無口なことを、少しは変に思わないのかしら?
まあ、ランドールとイリスは別々に呼ばれているから、ここまで彼女の様子は見てないし仕方ないか。
「ところで、こんな入り口で話をするつもりか? ん?」
ランドールは悪びれる様子もなく私に視線を合わせながら話した。ニヤニヤと勝ち誇った表情が気に食わない。それからイリスに目を向ける。やはり彼女の変化には気づいていないわね。イリスの肩を持つ気なんてないけど、ある意味可哀想かも。
「失礼しました。それでは応接室にご案内いたします。どうぞ、お入りください」
「うむ」
「……」
ここからは私が案内役になる。ランドールとイリスの二人をコムラータ家の屋敷の応接室に連れて行った。婚約破棄から、まだ大した日は経っていない。なのに、ランドールの態度はまるで別人みたいだった……人ってこんなに簡単に変わるもの? ううん、これがランドールの本性ってことよね。
私は応接室に二人を案内し、客人用のソファに座らせた。そして、その対面に私とお父様が座る。婚約破棄の言い訳……ランドールはどんな失態を見せるのかしらね。
「イリス・サブラビッチ、同じく参りました……」
「ようこそお出でくださいました」
元婚約者のランドールと、昨日、派手な喧嘩を繰り広げた相手イリス……ランドールはともかく、イリスはとても怯えている。私の顔を見るなりしかめっ面をしていたけれど。
ランドールとイリスなんかに丁寧な挨拶をしてほしくはないけど、ここは礼儀とばかりにお父様がお辞儀をしている。
「イグリオ殿、この度はどうされたのかな? この私を呼びつけるとは……」
あれ? 王子殿下のことはランドールは知らないのかしら? そっか、表向きはお父様が呼んだことになっているのね。イリスは事情を把握しているから無口になっているけれど、事情を知らないランドールは横柄な態度を取っているし。
ちなみに兄上は奥で待機している。まずは、ランドールから直接言葉で話させる狙いがあるみたい。
「本題がどういうものかはご存知のはず。我が娘、アリシアとの婚約破棄についてになります」
「やはりそのことか」
「書簡などでは既に連絡をもらっておりました。しかし、とても納得いく回答は受けておりませぬ」
「随分と上からの物言いだなイグリオ殿。たかが伯爵家系にしては思い上がりも甚だしいぞ?」
「……ふっ、たかが伯爵と来ましたか」
「……」
うわ……既にランドールは無事に帰ることができないのが決定してしまったような……でも、これも兄上たちの作戦なので、私は黙って見守ることにした。イリスが先ほどから無口なことを、少しは変に思わないのかしら?
まあ、ランドールとイリスは別々に呼ばれているから、ここまで彼女の様子は見てないし仕方ないか。
「ところで、こんな入り口で話をするつもりか? ん?」
ランドールは悪びれる様子もなく私に視線を合わせながら話した。ニヤニヤと勝ち誇った表情が気に食わない。それからイリスに目を向ける。やはり彼女の変化には気づいていないわね。イリスの肩を持つ気なんてないけど、ある意味可哀想かも。
「失礼しました。それでは応接室にご案内いたします。どうぞ、お入りください」
「うむ」
「……」
ここからは私が案内役になる。ランドールとイリスの二人をコムラータ家の屋敷の応接室に連れて行った。婚約破棄から、まだ大した日は経っていない。なのに、ランドールの態度はまるで別人みたいだった……人ってこんなに簡単に変わるもの? ううん、これがランドールの本性ってことよね。
私は応接室に二人を案内し、客人用のソファに座らせた。そして、その対面に私とお父様が座る。婚約破棄の言い訳……ランドールはどんな失態を見せるのかしらね。
応援ありがとうございます!
2
お気に入りに追加
5,049
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる