どうやら異世界転生しても最強魔法剣士になってしまった模様

あっきー

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第1章

幕間.エイダン青年と冒険者達

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先程声をかけて来た男性に連れられて、4人は2階へと消えていった。


刹那、静かだったフロアがワァッと騒ぎ出す。


「おい!何だよさっきのアレ!!」


「嬢ちゃんが魔力流したと思ったら石がパリィィーーンって砕けちまった!!」


「あれ魔宝石よね?砕けるなんて事あるの??」


「聞いた事ないな。すごい力入れて握り潰そうとしたって傷ひとつつかないんだからな」


「あの子ってすごいんじゃない?ていうかめっちゃ美人じゃなかった?」


「一緒にいた奴らもただモンじゃ無さそうな気配だったよな…」


などと、そこかしこで冒険者達が先程の異様な光景に興奮しながら盛り上がっていた。


「おい、エイダン!ボーっとして大丈夫か?」


と、冒険者の1人が先程彼女らを対応していた男性スタッフに近寄り声をかける。


エイダンと呼ばれたスタッフは茫然自失し、口をあんぐりと開けたまま固まっていた。


「……魔宝石が砕けるなんて……嘘だろ……?」


「おーい、エイダン?しっかりしろー?」


エイダン青年の頭はまだパニックから戻って来れない。


「そもそも魔宝石は!普通の石とは違って!結晶化されて!魔力をふんだんに含んだ特別な物なんだぞ!!」


「お、おぉ……?」


凄まじい剣幕で何やら魔法石への並々ならぬ思いを目の前の彼に向かって叫ぶエイダンに、声をかけた冒険者はたじろぐ事しか出来ないでいた。


さてここでパニックになっている彼の頭の中の思考は、こうだ。


ふんだんに魔力を含んだ魔石は、それ自体に何かの属性がある訳ではないが、この世界に存在する魔法、例えば火、水、風、土に加え光や闇といった6つの属性といった、それぞれのなんらかの魔力を与える事によって、初めて効力を持つ。


単純に魔力を込められた魔石は、例えるなら火の魔石なら台所や暖炉そして路上の街頭、水の魔石なら風呂トイレなどの水廻り、火もしくは水と風の魔石で冷暖房器具……などなど、あげればキリがないほど、人々が日常生活を送る上で常用される欠かせないものだ。


故に、魔石加工師は花形職業だし、魔力研究所では日々魔石の応用展開の研究を行う部署もある。


中でもタグに使用されている色のついた結晶化された魔石は魔宝石と呼ばれる。


魔石加工師の上位互換である上級魔石加工師が時間をかけて魔石を魔法精製し、それが持つ魔力を凝縮させ硬度が高まり結晶化すると様々な色が現れる。


緑、青、赤はまだ精製されやすく比較的市場にもよく出回り手に入れやすい代物だが、金、白は希少、そして黒に至っては産出される魔石の場所が限られており超希少とされている。


結晶化された石の内部で凝縮した魔力がキラキラと光り輝く様は、その美しさから人々を魅了する代物だ。


それ故に装飾品として王族や貴族といった上流階級からも愛され、ステータスの一種となっている。


だがそもそも魔宝石自体は属性がなく、純粋に魔石自体の魔力が凝縮され結晶化された物なので、所持する事で自分の持つ魔力に馴染み更にブーストをかける事が出来る事から、あらゆる状況に対応しやすい事で各職業で多用されている。


余談だが、S級冒険者が持つタグに付いている黒の魔宝石は、はるか最果ての地にあるというこの世界の魔力の根源である"世界樹"が鎮座する麓の森からしか採集されない魔石から加工された超貴重品だ。


S級は英雄と同義。


その特別な存在と希少性から、黒の魔法石の希少性とも相まって人々からは"英雄の石"などとも呼ばれている。


ちなみに冒険者のランクの所以はこの魔法石の希少順からなぞらえたものだ。


因みに冒険者の使う魔宝石は、もし落としたり盗難されるなど紛失した場合、誰かに悪用されたり売却される事など不測の事態を考えて、先程キサギ達に説明された様に特別な魔法措置が追加加工されている。


諸々の観点から、結晶化された時点でたとえ魔力濃度が低純度でもちょっとやそっとで壊れることなどないのが定説である。


ましてや砕けるなど。


「しかも2個も!!」


自分の経験上初めての現象に、涙目のまま現実へ戻って来れないエイダンをよそに、声をかけた冒険者は「こぉりゃ駄目だ」と諦めてその場を後にし仲間と合流していった。


そんな騒動をテーブル席で寛いでいた1組の冒険者パーティが、静かに成り行きを見届けていた。


「どう思う?」


「確かにあの石が砕ける散るなんて事、今まで聞いた事無かったね……彼女、何者なんだろう?」


「そもそも本当に初心者なのか?アイツら」


「ギルド長自ら連れてったんだ。彼に会わせるんだろう。さっきのやり取りを魔法石に伝達しておいたから彼が話して迎えに来たんだろうな。……面白い事になりそうだ」
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