虐げられ続け、名前さえ無い少女は王太子に拾われる

黒ハット

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第19話、ワルキュイ・ゴウマヤァ公爵一族の其の後

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 わしは、ワルキュイ・ゴウマヤァ公爵だ。

 ついこの間まではアスクルト王国では誰でも知っている権力者で、飛ぶ鳥も落とす勢いだったのだ。

 然し、今は思ってもみなかった、薄汚れて悪臭のする、罪人の入る牢獄の中だ。

 まさか、あの聖女がとんでもない魔法使いで証拠を掴まれるなどとは想像もしなかった。

 あの聖女がわしの誘拐した聖国の王女の子供だったとは驚きだ。

 聖国の王女の血筋なら何かの取引材料になり、金になるだろうと思い,子供を産んだ後の王女の母親は殺して、子供を我が屋敷の利用しない図書室に幽閉して我儘な女房と娘のストレス発散の玩具にしていたのだ。

 子供に利用価値が無い事が分かり、明日にも死にそうだったので、魔物の森に捨てさせたのだが、王太子に拾われて生き延びていて聖女になっていたとは信じられない思いだ。

 わしは何処で道を誤ったのだろうか?

 しがない子爵の3男として生まれて、将来は騎士になるくらいしか道は無かったのだが、幸いに容姿に恵まれて、王国一の美男子と褒め称えられて、令嬢たちが群がり、その中に今のわしの女房のアバァリン公爵夫人がいたのだ。

 その時18歳だったアバァリンは、わしに夢中になり父親の公爵の権力を使ってわしと結婚したのだ。

 わしには、煩くてアバァリンを溺愛してた父親の前公爵を病気に見せかけて、毒殺して公爵の地位を引きついたのだ。

 だが、アバァリンは何かに付けて入り婿の癖に私のお陰で公爵に成れたくせにと、言うので見返す為に金儲けに走り、気が付けば違法な麻薬や人身売買、その他ありとあらゆる方法で金を儲けてアバァリンを黙らせて、妾も数人持ち、我が世の春を謳歌していたのに、今は、明日にも処刑されるかも知れない罪人なのだ。

 思えば子爵の三男として騎士になり、平凡な人生を歩んでいたなら幸せだったのかも知れないと思うが、今更どうしようもないと思い、王国一の美男子より普通の男に生まれたら良かったと思うのであった。


             ~~~~~~~~~~~~~

 
 私は、公爵夫人のアバァリンだ、王国一の美男子のワルキュイを一目見て大好きになり、私を溺愛していた父親の公爵に頼み、父親は公爵の権力を使って私と結婚させてくれたのでした。

 結婚してみると、私の父親に怯えて機嫌を取るだけの男で幻滅したのだが、元気だった父親が急に体の具合が悪くなり死ぬと、夫のワルキュイは商売に手を出して成功して金回りが良くなり、私の欲しい宝石やドレスなどを好きなだけ買い与えてくれて、私はやっぱりこの男と結婚して良かったと思ったものだ。

 然し、夜に私を抱くことも無くなり、美食するためにブクブクと太り昔の美男子の面影は無くなり、若い妾を囲うので、私も負けずと若い綺麗な男を金の力でつまみ食いして、楽しんでいたのです。そんなある日に、夫のワルキュイが身重の女を連れて来て、1ヶ月後のアリーナ女神の誕生祭10月10日に女の子が生まれた。

  生んだ母親は子供が乳離れするころに何処かに連れて行かれていなくなり、最初は子供の面倒を見たのでしたが。

「おかあしゃま~、おかあしゃま~、」

 と泣き叫ぶので憎たらしくなり、殴り付けて誰も使う事の無い図書室に閉じ込めて使用人に面倒を見させていたのです。

 時々子供の様子を見に行くと、私を見て怯えるのが面白く最初は手で殴っていたのですが、手が痛いので棒や鞭で殴り始めるとストレス発散にいいので、私の子供も真似をして一緒に虐め始めたのです。

 夫がもう、あの子供の利用価値が亡くなったから、殺してしまえと言われたが、流石に自分では殺せないので、食事を与えないで死ぬのを待ったのです。

 屋敷で死なれるのが嫌なので死ぬ寸前にゴロツキたちにお金を渡して魔物の出る森に捨てさせたのでした。

 然し、その子供が運よく王太子に拾われて聖女になって、私たちを不幸のどん底に落とすとは思いもよらなかったのです。

 私は冷たく臭い牢屋の中で、悪い事はしていないのにどうしてこんな目に合うのか、

「私は悪い事はしていない! 此処から出してーー・・・・!! と叫んでいるのです」


           ~~~~~~~~~~~~~

 私は、ゴウマヤァ公爵令嬢アクティナーです。

 私は図書室に閉じ込められていた、うす汚い子供を鞭や棒で殴りつけて虐めていたが、何も犯罪なども犯していないのに虐めていた子供が聖女だったとも知らなかった。

 私は、王太子妃になる為にライバルになりそうな令嬢たちに冤罪をきせて社交界から追放してきたが、それは私が王太子妃に誰よりも相応しいと思ってした事であって、王国の為にしたことだ。

 私は、確かに此の綺麗な容姿を使い、男を次から次に変えて遊んでいましたが、悪い事はしていないつもりです。

 なのに、どうして窓もない薄暗い、ベッドは硬く悪臭のするベッドで、汚れた毛布一枚で、下の用を足すのも牢番に見えるような屈辱な思いのする牢屋に入れられなくてはならいのか、分からずにただ此処から出たくて

「もう嫌・・・!! 早く牢屋から出して・・・・・・!!」

 と叫ぶ毎日です。

 其れから数日後にワルキュイ・ゴウマヤァ公爵一族と王国を裏切った貴族たちは公開処刑されたのであった。
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