虐げられ続け、名前さえ無い少女は王太子に拾われる

黒ハット

文字の大きさ
20 / 38

第20話、其の頃の帝国の様子

しおりを挟む

  此処は、ガリア帝国の帝都ザーマイだ。
帝国の中心部には、帝都を見下ろすように高い帝城がそびえ立っている。

 帝城は所々に黄金が飾られていて、今は夕日に黄金が照らされて、帝城全体が赤色を帯びた黄金に輝いて見え、その偉容を誇示していた。

  其の帝城の皇帝の間では、皇帝のワガミガィ・ダスケジュ皇帝が両側に美女を侍らせてにやけた顔で、側近たちの話を聞いているのだ。

  側近の第一将軍が。

「もう少しで5カ国の連合軍が降伏して来ると思われます。もうそろそろアスクルト王国を蹂躙する準備をしてはいかがでしょうか」

 第二将軍が。

「いや、いや、もう少し様子を見てはいかかがかな、諜報員によるとどうやらアリーナ女神の神託があり、200年ぶりに聖女が現れたらしいのですが、真かどうか調べてみてからでも遅くは無いと思います」

  第三将軍が。

「何を言うのか! 前回の戦いでは、王国に領内まで攻め込まれて、屈辱的な講和を結ばされた事を忘れたのか。あの時の屈辱を晴らして王国を亡ぼす為の準備は十分出来ている、陛下御決断を!」

  両側の美女の乳房を弄んでいた皇帝は今までのにやけた顔と違い、鷹のような冷たい鋭い目つきで。

「もう決まっている事だ、アリーナ女神を信仰するアスクルト王国を始め、アリーナ女神を信仰する国々は跡形も無く消し去り、此のムーヴ大陸の全土をガーダ武神の信徒にして帝国が此の大陸の支配者に成るのだ」

  第二将軍が慎重に、皇帝の逆鱗に触れない様に。

「陛下の言う通りに準備は整いました。いつでも陛下の命令一つで出陣は出来ますが、どうも聖女の出現が気になるのですが、陛下はどうお考えでしょうか」

  皇帝はいかにも蔑んだ目で第二将軍を見て。

「あれは、王国の茶番劇だ、本当にアリーナ女神の神託などあるものか、本当にあるのなら今頃は我が帝国は滅んでいるわい。我が帝国が益々力を付けて大陸の覇者に成る日が近づいているのが、アリーナ女神など架空の神で,いない証拠だ。1年後には帝国はこの大陸の支配者になり、わしが大陸の覇者になるのだ、分かったか」


  皇帝の間にいた側近全員が平伏して。

「ハッ!!分かりました」

  其れを見届けると皇帝は両側にいた美女を引き連れて自室に戻り二人の美女に。

「一人になりたいので下がれ」

  皇帝は一人になると溜息をつき。

「皆の手前ああ言ったが、王国に急に現れた聖女が本物だったならどんな力を持っているのか調べる必要があるな」

  と独り言を呟いたのだ。

  次の日、皇帝は歴史学者を呼び寄せて、200年前に現れた聖女の事を聞いたのだ。

  歴史学者は語り出した。

「200年前は、文献に残された記録によりますと、魔物を意のままに操る人間と魔物の混血人が現れて大勢の魔物を従わせて、人間たちに襲い掛かり、大陸の人間を殺して魔物の国を作ろうとしたらしいのです」

  そこで、学者は一息つき。

「その時にアリーナ女神の神託を受けた聖女が現れて、火の魔法と水魔法や他にも魔法を使い、魔物と人間の混血人や魔物を全滅させたと言う記録が残っています。本当にあった事なのか、それとも、アリーナ女神の権威を上げる為に作られた、多くの魔物の襲撃を撃退した事実を元にした作り話かは、昔の事なので真実は分かりません、私の知っているのは此処迄です」

  そう言うと、学者は皇帝から褒美の金貨を受け取り皇帝の間から辞したのだ。

  皇帝が一人になると静かに、帝国一の妖艶な美女でガーダ武神の巫女と呼ばれている、ソフィーナ皇妃が隣に座り。

「貴方、何を恐れているのです?貴方にはガーダ武神の加護があるのですよ。ガーダ武神の加護の元に貴方がこの大陸の支配者として君臨する事は決まっているのです。要らぬ迷いは捨て、今の帝国の軍事力を持ってすれば簡単な事です。後は貴方の決断だけですのよ」

  そう言ってソフィーナ皇妃は皇帝にしなだれかかったのでした。

  皇帝は愛するソフィーナ皇妃を抱き寄せて。

「迷ってなどいないが、慎重を期しただけだ。此の大陸の支配者になり、わしの最愛のソフィーナ皇妃そなたに全てを捧げよう」

  ソフィーナ皇妃は口元をほころばせて。

「私の愛するワガミガィ皇帝様、身に余るお言葉に感謝申し上げます。貴方にガーダ武人の神の力が宿る事を祈ります」

  こうして帝国は、ワガミガィ・ダスケジュ皇帝の決断の元、アスクルト王国に侵略することになったのである。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

男爵家の厄介者は賢者と呼ばれる

暇野無学
ファンタジー
魔法もスキルも授からなかったが、他人の魔法は俺のもの。な~んちゃって。 授けの儀で授かったのは魔法やスキルじゃなかった。神父様には読めなかったが、俺には馴染みの文字だが魔法とは違う。転移した世界は優しくない世界、殺される前に授かったものを利用して逃げ出す算段をする。魔法でないものを利用して魔法を使い熟し、やがては無敵の魔法使いになる。

虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました

たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。

転生先ではゆっくりと生きたい

ひつじ
ファンタジー
勉強を頑張っても、仕事を頑張っても誰からも愛されなかったし必要とされなかった藤田明彦。 事故で死んだ明彦が出会ったのは…… 転生先では愛されたいし必要とされたい。明彦改めソラはこの広い空を見ながらゆっくりと生きることを決めた 小説家になろうでも連載中です。 なろうの方が話数が多いです。 https://ncode.syosetu.com/n8964gh/

【完結】旦那様、どうぞ王女様とお幸せに!~転生妻は離婚してもふもふライフをエンジョイしようと思います~

魯恒凛
恋愛
地味で気弱なクラリスは夫とは結婚して二年経つのにいまだに触れられることもなく、会話もない。伯爵夫人とは思えないほど使用人たちにいびられ冷遇される日々。魔獣騎士として人気の高い夫と国民の妹として愛される王女の仲を引き裂いたとして、巷では悪女クラリスへの風当たりがきついのだ。 ある日前世の記憶が甦ったクラリスは悟る。若いクラリスにこんな状況はもったいない。白い結婚を理由に円満離婚をして、夫には王女と幸せになってもらおうと決意する。そして、離婚後は田舎でもふもふカフェを開こうと……!  そのためにこっそり仕事を始めたものの、ひょんなことから夫と友達に!? 「好きな相手とどうやったらうまくいくか教えてほしい」 初恋だった夫。胸が痛むけど、お互いの幸せのために王女との仲を応援することに。 でもなんだか様子がおかしくて……? 不器用で一途な夫と前世の記憶が甦ったサバサバ妻の、すれ違い両片思いのラブコメディ。 ※5/19〜5/21 HOTランキング1位!たくさんの方にお読みいただきありがとうございます ※他サイトでも公開しています。

一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫

むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。

ヒロインですが、舞台にも上がれなかったので田舎暮らしをします

未羊
ファンタジー
レイチェル・ウィルソンは公爵令嬢 十二歳の時に王都にある魔法学園の入学試験を受けたものの、なんと不合格になってしまう 好きなヒロインとの交流を進める恋愛ゲームのヒロインの一人なのに、なんとその舞台に上がれることもできずに退場となってしまったのだ 傷つきはしたものの、公爵の治める領地へと移り住むことになったことをきっかけに、レイチェルは前世の夢を叶えることを計画する 今日もレイチェルは、公爵領の片隅で畑を耕したり、お店をしたりと気ままに暮らすのだった

処理中です...