魔物テイマー強い魔物がほしいけど癒しも必要だよね

夜風甚助

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魔物牧場に来てから今日で六日目になる日が経つにつれて馴れていく馬達とシルバーキャットに赤ちゃん達だがホース系の魔物やウルフ達は警戒心が強く未だに警戒されていた。

(明日が最終日なんだけどなぁ……)

 午前中は馬房の掃除から始まり馬の世話をした後ご飯を準備し休憩をする、短い期間ではあるがご飯の準備をなんとかこなせる様にはなった。

 赤ちゃん達に乳をあげるのも馴れていき六日間という短い時間ながらも赤ちゃん達の成長を実感出来た。魔物は成長が早い、最近ではヨチヨチと歩く様が庇護欲を掻き立てられる程だ。

 今はシルバーキャット達を世話しているのだがその時婆さんが一人の少年を連れてきた。

「ルシウス君! 今日から新人さんが入るから短い期間だけど宜しくね」

 婆さんの後ろからひょこっと顔を出す少年はまだ十二才程であどけなさが残る少年だ。人見知りなのだろう婆さんの後ろから出て来ない少年に対して優しい声で自己紹介をした。

「俺はホワイトテイマーのルシウスって言うんだ。名前を聞いても良いかな?」

 婆さんに背中を押されて覚悟を決めた少年は、シルバーキャットが群がっているルシウスを見てこの人は優しい人なのかも知れないと思い自己紹介を始めた。

「ぼ、僕の名前はヒイラギと言います……まだ十二才でテイマー協会には登録してませんが、父ちゃんの知り合いのお爺ちゃんとお婆ちゃんの所に修行しに来ました。 ルシウスお兄ちゃん宜しくお願いします」

 兄弟の居ないルシウスはお兄ちゃんと言う響きに嬉しそうにしており満更でも無いようだ。最初こそ話すのに戸惑いを感じた少年は挨拶を終えるとルシウスの頭上に居るシルバーキャットを見て微笑んでいた。

「ヒイラギ君だね、宜しくっっ! あぁ、このシルバーキャットねなんか落ち着くみたいで初日からこんな感じなんだよ一応明日が最終日だけど宜しくね」

 ルシウスはヒイラギの手を握り握手をするとヒイラギはシルバーキャットに釘付けだった。

「あの……ルシウスお兄ちゃんは魔物達に好かれてるんですね。羨ましいです……」

(最初の頃の俺もこんな感じだったよなぁ……あっという間に時間が流れるから忘れてたよ)

「そうかな? ヒイラギ君も頑張ったら同じ様に出来るよ? 頑張ろうね?」

「はいっ! 僕……頑張りますっっ!」

 婆さんは仲良く出来そうな様子を見届けるとウルフ達の世話に出掛けた。

「今日は何か作業する様に言われてるかな?」

「今日はルシウスお兄ちゃんの見学って言われました。さっき赤ちゃん達の所にも行ったんですけど可愛いですよね」

 ヒイラギは赤ちゃん達を思い出しているのか顔がトローンとふにゃけていた。

(あぁ……その気持ち分かるぞ)

「じぁ取り敢えず見ててよ! 分からない事があったらその時聞いてくれれば良いからさ」

 もう藁を燃やし終えて居たので新しい藁を敷いて終わりだった。終わった後に果物を手に取りヒイラギに渡す。

「シルバーキャットにこれをあげるんだ。顔の前に出せばキャッチしてすぐ食べ始めるからやってみてごらん」

 ヒイラギは果物を一つ手に取りルシウスの足元に居るシルバーキャットの前に差し出すとその果物を手に取り転がした後抱えるようにしながら食べ始めた。

「うわぁ……食べてるっ! 食べてるよっ! こんなしてあんなして……可愛いなぁシルバーキャットって」

 ヒイラギは興奮状態になりシルバーキャットの側で食べているのを観察している、その間ルシウスの頭上に陣取ってるシルバーキャットはルシウスの頭を猫パンチし、俺にも食わせろよ?とトントンと何回も猫パンチしていた。

「分かったよっっ! そこでそんな事しないでくれっっ!」

 ルシウスは床に果物を並べると、ゾロゾロと果物に近寄り食べ始めた。食べ方も個性があり綺麗に食べる者から食べ散らかす者迄様々だ。

「ルシウスお兄ちゃん眠ってる子はどうするんですか?」

「眠ってる子から順に藁の上に移動してあげてね」

 あって間もないが自分の弟の様に接して先にシルバーキャットを移動して見せるその後はヒイラギと一緒に全て移動させると、ヒイラギがポツリと呟いた。

「ルシウスお兄ちゃんは明日が最後で……何処か行っちゃうんですか?」

 寂しそうに元気の無い声に少し戸惑ったが自分でも此処が居心地が良いので暫くこの街に居るし、ここには顔を見せるよと伝えた。

「そうですかぁ、良かったです。また教えて下さいね?」

「あぁ、勿論さ!」

 再び握手をするとヒイラギは嬉しそうな顔をしていた。その日の仕事は終わり最終日を残す今布団の中に入っているルシウスは興奮して寝れないで居た。

(よし明日こそくじだ……何が出るかなぁ。どんな魔物でも俺は可愛がるけどねぇ……)
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