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第1章:NAMELESS編-新宿戦-前編
[第32話:Camellia]
しおりを挟む樫間とバキオラは、激しい激闘を見せ
一度お互いの攻撃の手を止めた。
「…中々やりますね…樫間君…。」
バキオラの放ち続けた弾丸は、樫間の攻撃とぶつかる事で凍結した。
次第にそれは、右腕ガトリングまでの距離を縮めてガトリング自体を凍らせてその動きを封じた。
しかし、尚もバキオラは左腕を上げてキャノン砲を樫間に向けた。
「…その一発で、俺を殺せるか?」
樫間は、バキオラを鋭い目付きで睨み、言った。
樫間の右腕は、銃を持つのが精一杯な程血だらけになり、"氷龍装"もほとんど砕かれていた。
激しい攻撃を放つ代償は、目に見て分かる程に凄まじいものであった。
「…舐めてもらっちゃ困るよ。樫間君っ!」
バキオラはそう言うと、鬼気迫る表情で樫間を見た。
「…自然を操ろうとした人間の末路だ…しかと悔やむが良いっ!!!」
バキオラは左拳を1度、強く握りしめるとそう叫んだ。
次の瞬間バキオラが左手を開くと、とてつもないエネルギー弾が発射された。
樫間はそれをじっと見つめ、右手の銃を構えた。
そして、通信機に手をかける。
「…ジャック。やれ。」
樫間は静かにそう言うと、右手の銃の引き金を引いた。
すると銃口から巨大な氷の龍が、迫りくるエネルギー弾に向かって突っ込んだ。
「…終わりだよ…樫間ぁぁ紘紀ぃぃぃぃ!!」
バキオラは、勝利を確信した笑みと共にそう叫んだ。
しかし、すぐに何かに気づき下を向いた。
その瞬間、バキオラの砲弾型左腕を一筋の雷撃が貫いた。
「…なっ…!?」
これには流石のバキオラも、驚きを隠せなかった。
貫かれた左腕からは、砲弾が出ることはなかった。
さらにもう一弾、雷の弾丸がバキオラを襲う。
「…ちっ…。」
今度はバキオラの右腕を狙って弾丸が襲い掛かるが、これをバキオラは間一髪で避けた。
「…左腕には被弾したみたいだガ…。」
バキオラの真下の地面から、スコープを覗くジャッキーはそう呟いた。
「任せろっ!…"冥國殲"っ!」
ジャッキーの横から、リズが"矢多鴉"をバキオラに向けてそう叫んだ。
"矢多鴉"からは、無数の深緑色の弾丸がバキオラ目掛けて放たれた。
「…小賢しい…。」
バキオラは真下から狙う弾丸を避けようとするが、
ふとある事に気がついた。
「…野良ヘビはどこへ…。」
すると、バキオラの目の前に樫間が姿を現した。
「…咲波さん、GOっ!!」
樫間がそう叫ぶと、バキオラに向けて構えられた"青龍銃"に、
ヘビの形をした水の弾丸が2発、それぞれ樫間の持つ2丁の銃に命中した。
「"氷龍爆暴弾"っ!」
咲波の弾丸により、樫間の"青龍銃"は正に"水を得た魚"。否、"力を得た氷龍"。
禍々しい氷の龍が、バキオラを強襲した。
(…避けられない…。)
バキオラを、氷の龍が大きな口を開けて飲み込もうとした時…
激しい閃光と共に、氷の龍を白い巨大な砲撃が襲った。
雨雲立ち込める辺りの空に、砲撃の道筋だけ雲の切間が出来るほどの威力だ。
「…樫間ッ!」
上空に樫間の姿はなく、一瞬にして雨雲を切り裂いた事により、
空には眩しい程の虹が架かっていた。
光が収まると、そこには両腕をぶらっと下ろしたバキオラが、天を仰いで佇んでいた。
「…ふっふっふっ…ここまで出すとは思わなかった…。」
バキオラの体は依然黒いローブに包まれていたが、
そのローブは端から少しずつ燃え落ちていた。
やがて、ローブが燃え尽きると
そのバキオラの姿に、ジャッキー、リズ、咲波の3人は驚愕した。
「…おいおい…何だよあれ…聞いてねぇぞ…。」
バキオラの胸部には砲弾口が備わっており、その周囲は両膝まで真っ黒な機械的な鎧に覆われていた。
左右の脚は、これまた砲弾銃と思われる銃口の形になっている。
「…"NAMELESS"の進化の果て…人造兵器の最終形態さ…。」
バキオラの姿に、一同は驚きを隠せずにいた。
「…ふっ、まあいいでしょう。
ここまで来たら、貴様らも知っておいた方がいいです。」
バキオラはそう言うと、語り出した。
「"NAMELESS"はご存知の通り、"負のエネルギー"を核として生きる生命体。
"負のエネルギー"なんてものが、何の意味もなしに存在する事は、自然界にとって良くないことです。
しかし、我々はその役目を"人造兵器"とする事でその存在意義を成そうとしています。
我々の主人である男は、世界で最も強く、恐ろしいこの力を使って、
"武力による世界征服"を目的としています。」
バキオラの口から語られる"NAMELESS"の真の目的に、
樫間達は、只々驚くしかなかった。
「…させるかよ。」
樫間は、俯いたままそう呟いた。
"青龍銃"を握るその手は力強く、微かに震えていた。
「ほう?ならばやってみせるといい。
君たちに、"あの人"を止める事が出来るかな?」
バキオラの、樫間を見下ろすその目は
"そんなことが出来るはずがない"といった蔑んだ目をしていた。
次の瞬間、樫間の全身から青白い煙が上がり、
その姿を一瞬にして消した。
「樫間ッ!」
ジャッキーがそう叫んだ時には、樫間はバキオラの目の前に現れて左腕で強くバキオラの首を掴んでいた。
そして右手で"青龍銃"を構え、バキオラの口元目掛けて弾丸を放ち続けた。
バキオラはそれを真っ向に食らい、口元を氷によって固められてしまった。
樫間は、そのままバキオラを地面に叩きつけるように放り投げた。
「…まずイ…飲まれていルッ!」
ジャッキーはそう言うと、バキオラの落下予想地点に向かって飛び出した。
ジャッキーの言う通り、樫間は何かに取り憑かれたように一心にバキオラを攻撃している。
「おいっ!ジャック!」
リズの呼びかけも届かぬまま、ジャッキーは飛び出してしまった。
地響きが起きるほど強く地面に叩きつけられたバキオラに、樫間は両腕を踏み付け、"青龍銃"の銃口をバキオラに向けて言った。
「…その口…2度とふざけた事を言えないようにしてやろうか?ああっ?」
樫間の目は、殺意に満ち溢れていた。
「ダメダッ!ヒロキッ!"青龍銃"に飲まれるゾッ!」
ジャッキーはそう叫びながら、"鷹目銃"をバキオラに向けた。
「…邪魔すんな…コイツは俺が消す。」
樫間はそう言うと、ジャッキーに氷の弾丸を放ち始めた。
「…ぐはっ…。」
バキオラは口元の氷を噛み砕くと、呼吸を取り戻して嗚咽した。
「…仲間割れですか…呑気ですねっ!」
そう言うと、バキオラは両足を振り上げ
樫間を蹴ろうとした。
樫間は咄嗟に蹴りを避けると、バキオラは解放され、ゆっくりと立ち上がった。
そして、胸元の砲弾口に力を込め、砲弾を放つ構えに入った。
「…ふっ…ここまでやるとは想定外ですが…所詮、私には勝てない。」
バキオラがそう呟いた瞬間、胸元の砲弾口から白い光線が勢いよく放たれた。
(…やべぇ…これは確実に…。)
樫間は避けようとしたが、身体が悲鳴を上げたのか、
力が入らずにその場に膝をついてしまった。
眩しい閃光と疲労が相まって、樫間の視界は徐々にボヤけて薄くなっていく…。
すると、樫間の脳内に声が響いた。
『…君が、俺の後継者だね。』
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