BOX・FORCE

hime

文字の大きさ
45 / 85
第2章 七魔編-七魔団結成-

[第1話:Devils]

しおりを挟む



『…本部正面、7つのNAMELESS反応…。かなり強力なエネルギー反応です!総員、戦闘配置!』



日本特殊防衛組織『BOX・FORCE』の本部、新宿にある都庁の真裏に建てられたその建物の館内放送が、サイレンと共にけたましく響いた。

「何!?7つの"NAMELESS"反応だと!?」

彩科院は通信に向かってそう叫んだ。

『…はい…。そして、たった今分析完了…。えっ…ひっ…人型ですっ!…というより…人間の生命反応が89%っ…!』

通信員の時水 維智郎ときみず いちろうは、時折戸惑いながらも状況説明をした。

「…ちっ…"四神ししん"以外にもいたって事かよ…。全部隊、本部正面玄関に集合っ!現場対応を行う!」

彩科院は焦りながら通信に叫んだ。


BOX・FORCEの全部隊が本部正面玄関に集合すると、向かい側に見覚えのある黒いローブ姿に、フードを深く被った7つのの人影があった。

「…貴様ら…NAMELESSかっ…?」

彩科院は全部隊の先頭に立ち、7つの人影に向かってそう言った。

「…彩科院隊長…。いや、彩科院 鬼介さいかいん きすけ、か。」

7つの人影の真ん中にいる人物は、そう言うと両手に刀のような武器を手にして姿を消した。

「…へぇ、あなたが"BOX・FORCE"を。こりゃ面白い。」

その声と共に、一瞬にしてその人物は彩科院の目の前に姿を現した。
そして、二本の刀を思いっきり彩科院に振るった。
彩科院はそれを、"裁馬刀シェバーエピー"で受け止める。
その勢いで、その人物のローブのフードが外れた。

その人物の姿に、BOX・FORCE一同は驚きの表情を隠せなかった。

「…貴様…、樫間 紘紀かしま ひろき…。」

樫間は刀を強く握りしめ、ニヤリと不敵な笑みを浮かべた。

「…どうも。てっきり、"BOX・FORCE"は自然消滅したと思ってたけど…あんたがトップとはね…。」

樫間はそう言うと、再び姿を消した。
そして次の瞬間、数メートル後方に退いた。

「日本特殊防衛組織『BOX・FORCE』、ね…。守ってみろよ。我々"七魔団しちまだん"に潰されねぇようになぁ…!」

樫間はそう言うと、またも姿を消し、一瞬にして彩科院の目の前に現れ、彩科院を蹴り上げ飛ばした。

(…何っ…!?こいつのスピード、以前とは別人のように速くなっている…。)

樫間に蹴り飛ばされた彩科院は、体勢を立て直し、刀を構えた。

(…いや…違う。こいつのスピードが速くなってると同時に…。)

彩科院が何かに気づいた瞬間、樫間は彩科院の背後に現れた。

「…"アスモレウス"の特殊能力…それは"速度変化"さ…」

ニヤリと笑いそう言うと、樫間は彩科院の背中に足を振り下ろした。

「…ぐはっ…。」

彩科院はそのまま勢いよく地面に叩きつけられた。
そこには、かつての樫間 紘紀の姿はなく
2本の刃を構え、黒いオーラを滲みだす
"四神"の"ヴァリアル"を思わせるシルエットであった。
しかし、その姿はまるで"悪魔"そのものだ。

「…やるぞ。相手が誰であれ、俺たちの目の前にいるのは、俺たちの"敵"だ。」

矢島は一同に喝を入れ、武器を構えた。

「…邪魔はさせないよ。」

樫間と共にいたローブ姿の1人が、攻撃を仕掛けようとする矢島の間合いに入ってそう言った。

矢島がその攻撃を"猪突槍"で受け止める。
攻撃の勢いで、ローブが捲れると
またもその人物に驚かされた。

「…チャン…リーフォン…。」

弁髪だった襟足は、ツインテールのように2つに分かれ、右目の下に爪痕のような模様を施したチャン・リーフォンが矢島の相手であった。

「…俺は樫間に付くよ。樫間は、俺たちを正しい方向に導いてくれる。」

チャンはそう言うと、矢島の首筋を狙って手刀を繰り出した。
矢島は間一髪でチャンの手刀を"猪突槍"で抑えた。

「…どうなってんだよ、一体…。」

矢島は冷静に相手をするも、戸惑いを隠せない。

「…BOX・FORCE…。まずはこの組織を"壊滅"させることが我々の目的だ。」

チャンに、これまでの慈悲の感情などと言ったものは存在していないかのように見えた。

すると、チャンの首筋に大きな鎌の刃が当てられた。

「リーフォン。そこまでだ。」

チャンの背後に、身長160cm弱ほどの人影が現れ、その手にはチャンの首筋を狙う鎌の肢が持たれていた。

「…すまない。」

チャンが口を慎むと、その人影は鎌をクルクル回して自分の身元で構え直した。
回転の風力により、その人影のフードが外れると、銀髪の幼い少年の顔が現れた。

「…さぁ、紘紀さんが決めるよ。」

銀髪の少年は、目の前の矢島から視線を逸らし、樫間と彩科院の戦闘に目をやった。

「…白牙はくがっ!」

その瞬間、"七魔団"のうちの1人が叫びながら銀髪の少年に近づいた。

白牙と呼ばれた少年が向かいくる方向に目を向けると、第3真隊のスミレ・エレーナが、攻撃を仕掛けてきていた。
少年に近づいた七魔団の1人は、スミレの振り降ろしたヌンチャクを、両手に持つトンファーで抑えた。

「…元フランスの軍人さんでしたっけ?殺気がダダ漏れよ?さてはあなたビッ…」

ヌンチャクとトンファーのぶつかる衝撃で、七魔団の1人の姿が露わになった。
彼女は羊のような天然パーマのブロンドヘアを靡かせ、メイクの乗った目を鋭くしながらスミレを見ていた。
七魔団の女性団員がスミレに向かってそう言い切る前に、スミレはその女性団員に向かって勢いよく踵を振り下ろした。

しかし、スミレの攻撃は女性団員によって防がれた。

「…ダメダメ。気が早いわ。…もっとじっくり、ゆっくり、楽しみましょ?」

女性団員は、スミレを弾き飛ばすと笑みを浮かべてそう言った。

「…この女…」

スミレは強く歯を食いしばった。
その表情から、悔しさが溢れ出ていた。



一方、激しく交戦し続けている樫間と彩科院_

彩科院は、樫間の予想外の攻撃に押されていた。

「…貴様がどんな力を手に入れたかは知らないが…我々に攻撃する以上、貴様は敵だ。」

彩科院は、"裁馬刀"を樫間に向けてそう言った。

「…元よりそのつもりだけど?」

樫間はというと、余裕の表現を見せていた。

そこへ、彩科院の背後から樫間に向かう人影が現れた。
その手に持たれた刀と、樫間の持つ刀がぶつかり合う。

「…かっしー…どう言うつもり?」

刀から雷を溢れさせながら、迅雷寺は樫間に問いかけた。

「…どうもこうも、これが現実さ。」

樫間は、迅雷寺の攻撃を片手一振りで退けた。
すると、樫間を黒い大きな手のようなオーラが包み込んだ。

「…紘さんは…やらせない…。」

そのオーラの元には、小柄な人影があった。
その人物は、静かにそう呟いた。

「大丈夫だ、緋彩ひさや。俺はやられはしないよ。」

樫間は、その小柄な人影に優しく言った。

「これより我々は、日本特殊防衛組織『BOX・FORCE』の壊滅及び
副本部長”クリスティーナ・パンダ”を、抹殺する。」

樫間がそう宣言すると、7人の人影は煙のように姿を消した。
去った後の場所を見ながら、BOX・FORCEの面々は各々に思いを口にした。

「『BOX・FORCE』の壊滅…。」

矢島はチャンにやられそうになった首筋を抑えながら、自分に言い聞かせるようにそう呟いた。

「…パンダ副長の抹殺だと…?樫間の奴…何考えてやがる…。」

彩科院は、樫間から受けた攻撃の痛みを感じながら、顔をしかめて言った。


これは樫間による、真実と陰謀に対する
長く厳しい戦いの幕開けとなった…。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

冴えない建築家いずれ巨匠へと至る

木工槍鉋
ファンタジー
「建築とは、単なる箱を作ることではない。そこに流れる『時』を設計することだ――」 かつてそう語り、伝説の巨匠と呼ばれることになる男も、かつては己の名前に怯えるだけの冴えない二級建築士だった。 安藤研吾、40代。独立したものの仕事はなく、下請けとして「情緒のない真四角な箱」の図面を引き続ける日々。そんな彼が恩師に教えられた座標の先で迷い込んだのは、昭和初期を彷彿とさせる、魔法のない異世界だった。 現代の建築知識、そして一釘一釘を大切にする頑固大工との出会い。 「便利さ」ではなく「住む人の幸せ」を求めて、研吾は廃村に時計台を建て、水路を拓き、人々の暮らしを再生していく。 異世界で「百年の計」を学んだ研吾が現実世界に戻ったとき、その設計は現代の建築界をも揺るがし始める。 これは、一人の男が仕事への誇りを取り戻し、本物の「巨匠」へと駆け上がるまでの、ひたむきな再建の記録。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

背徳のミラールージュ(母と子 それぞれが年の差恋愛にのめり込んでいく鏡写し)

MisakiNonagase
恋愛
24歳の市役所職員・中村洋平には、自慢の恋人がいた。2歳年上の小学校教師、夏海。誰もが羨む「正解」の幸せの中にいたはずだった。 しかし、50歳になる母・美鈴が21歳の青年・翔吾と恋に落ちたとき、歯車は狂い出す。 ​母の恋路を「不潔だ」と蔑んでいた洋平だったが、気づけば自分もまた、抗えない引力に引き寄せられていた。  その相手は、母の恋人の母親であり、二回りも年上の柳田悦子。 ​純愛か、背徳か。4年付き合った恋人を捨ててまで、なぜ僕は「彼女」を求めてしまうのか。 交差する二組の親子。歪な四角関係の果てに、彼らが見つける愛の形とは――。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

愚者による愚行と愚策の結果……《完結》

アーエル
ファンタジー
その愚者は無知だった。 それが転落の始まり……ではなかった。 本当の愚者は誰だったのか。 誰を相手にしていたのか。 後悔は……してもし足りない。 全13話 ‪☆他社でも公開します

処理中です...