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第2章 七魔編-七魔団vsBOX・FORCE-
[第16話:Cladem defensionis]
しおりを挟むそれは、2年前。
NAMELESS"四神"との死闘を繰り広げる
数日前のある日_
第2部隊"リリィ"の隊員が共同生活する家。
日が空高く上がる頃、部屋を出て眠そうに階段を降りた咲波は、寝巻き姿のままリビングへ行った。
「…おはよぉ~…って、聡ちゃんだけ?」
リビングにあるソファーに腰掛けていたのは、隊長の蒼松 聡悟である。
「おう、おはよう。愛花。
洸は早朝からトレーニングに出かけたっきりだ。」
蒼松は咲波の方を振り向きそう言った。
言い終わると、向きを戻して何かをじっと見ていた。
「…何してるの?」
咲波は、蒼松の背後から近づくと
手元で何かを弄る蒼松にそう言った。
「…ああ。これは、"緊急遠隔SOS装置"を作ろうと思ってな。」
蒼松はそう言うと、咲波に自慢げにそれを見せた。
「何に使うの?」
咲波は右耳に髪をかけながらそう聞いた。
「…愛花と洸が、無事に"四神"と戦える様に…だ。」
蒼松の口調は、真剣だった。
咲波は驚いて蒼松を見た。
彼の視線は、真っ直ぐ手に持つそれに向けられていた。
「…洸にも後で渡す。何かあったら、これを押すんだ。俺が助けに行く。」
_
(…聡ちゃん…!)
咲波は、何度も何度も脳裏でそう叫んだ。
そしてあの日、蒼松が渡した"緊急遠隔SOS装置"のボタンを、何度も押した。
ふと、咲波は背後に迫る何かを感じた。
「…聡ちゃ…。」
遅かった。
背後に感じていたのは、"悪魔の腕"の右腕であった。
江神は咲波を捉えると、強く握って離さなかった。
「…人質には丁度いいだろう。」
江神は静かにそう呟いた。
「…終わったか?江神。」
道影がそう言って近づいてきた。
その手には、"巨大ハンマー"はなく、両手をズボンのポケットに突っ込みながらノソノソと歩いてきた。
「…人質を捉えた。」
江神はボソッとそう言った。
「あぁ?そんなのいらねぇだろ。こんだけボコボコにしてんだぜ?俺ら。」
道影はそう言って、屋敷の辺りを指した。
綺麗な日本庭園であったその屋敷は、土壌工事の最中のように荒れていた。
「…こっちも終わったぞ。」
そう言って2人に近づいてきたのは、堀崎であった。
「炎のボクサーは潰した。もしかしたら死んだかもしれないが、まあどちらでもいいだろ。」
堀崎はそう言った。
その手から既に"悪魔の弓"はなく、堀崎もまた、両手をズボンのポケットに入れながら歩いてきた。
「…んじゃあ、このまま"BOX・FORCE本部"に攻め込みますか。」
堀崎、道影、江神の3人の姿は、
彩科院邸から一瞬にして姿を消した。
_
BOX・FORCE本部_
「…第1真隊…3隊員の反応が消えました…。」
時水 維智郎は、声を震わせながらそう言った。
本部情報通信チームは、混乱していた。
「…なんだと?彩科院隊長たちがやられた?」
時水の言葉を聞いて、1人の男が現れた。
彼は情報通信チームの総司令、天原 礼耶である。
BOX・FORCE創設時から通信部門を担っている、数少ない古株スタッフである。
「天原総司令っ!…たった今、彩科院邸付近に強い反応を示していた、各隊員の反応と
対峙していたと思われる3つの"NAMELESS反応"も消失しました…。」
情報通信室では、50人ほどのスタッフが物凄い速さでコンピュータを操作し、各地の様子を確認していた。
『時水くん…いや、時水副司令。それは本当ですか?』
情報通信室に、通信が入った。
以前にも聞き覚えのある声であった。
「あっ…実村総医長、お疲れ様です。
たった今、情報通信チームが解析したデータがありますので、救護治癒チームの方に転送します!」
時水の会話の相手は、時水と同期入隊の実村 萌奈美であった。
彼女は先の大戦の後、BOX・FORCE本部に新設された"救護治癒チーム"の総医療長に就任された。
同じく、時水も入隊時そのまま"情報通信チーム"の副司令官にまで昇格していた。
『ありがとう、時水副司令。こちらでも、負傷隊員の受け入れと搬入体制急ぎます。』
そう言って、実村は通信を切った。
「…何やら大変な事になってきたな。」
情報通信チームの全員が、声のする方へ振り返った。
その男は、情報通信室の厳重な警備を突破して現れた。
「…んだよ、新崎。ビビらせんなよな。」
天原は男に向かってそう言った。
彼の名は、新崎 英である。
彼は諜報員チームの総司令官であり、天原と同じ創設時からのスタッフである。
「とりあえず、パンダ副本部長に連絡だ。
これ以上、被害を拡大させない為にも急げ!」
新崎は、情報通信チームにそう指示した。
「諜報部隊も幾つか派遣して、敵の情報を手に入れる。情報の随時解析と共有、頼んだぞ。天原。」
新崎はそう言い残して、情報通信室から姿を消した。
「…わーってるよ、新崎。職務は全うする。」
天原は、頭を掻きながらそう呟いた。
「第2、第3真隊にも至急連絡!"七魔団"と名乗る連中の襲撃に備えよ。とな!」
天原の掛け声で、情報通信室が一斉に慌ただしくなった。
_
「…樫間…紘紀…か。」
男は一言、そう呟く。
手に持つワイングラスの中で、香り引き立つ赤ワインがユラユラと揺れていた。
「…まあ、何の問題もない。そろそろこちらも動き出すとしようか。」
高そうな椅子に深く腰掛けていた男だったが、
目の前の机にワイングラスを置くとゆっくり立ち上がった。
「…"悪魔"が相手なら、こちらは"天使"を用意したまでだ。」
_
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