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第一章
第1話 怒りの無職司書
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司書という職業をご存知だろうか?
学校の図書館をはじめ、市立図書館などの本を大量に保管する場所で働く人気の職業である。
あるときは学生や研究者から求める資料についての相談をうけ、またある時は読書と親しむための企画を作り上げるといった業務をこなす、まさに本のエキスパート。
そう、けっして本の貸し出しを手続きするだけ職業ではないのだ。
だが、この司書という仕事……この令和の時代において、そのほとんどが非正規雇用であることをご存知だろうか?
すなわち、給料がとてつもなく安いのだ。
おそらく、自給に換算すればコンビニのバイトにすら圧倒的敗北は免れない。
ともすれば、生活保護すらもはるかに下回るだろう。
司書の資格が国家資格であるにもかかわらずである。
そんな中、俺……白井 俊樹は勤め先である高校の保護者たちからこう言われたのだ。
「司書って、ただ本の貸し出しをするだけでしょ?
給料が高すぎるんじゃない?」
お前ら……司書を、国家資格を何だと思ってる!?
あと、俺はお前らの奴隷でもロボットでもない!!
さすがに限界であった。
その場で退職を宣言し、先ほど俺は辞表を出してきたばかりである。
え? 学生たちが困るだろうって?
じゃあ生徒の利便性って、俺の命より尊いの?
これ以上給料が下がったら、生きてゆけないんですが。
いまの給料でも、憲法第二十五条『すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する』が守れないことはどう思ってらっしゃるのでしょう?
結局のところ、世の中は金です。
今の給料でも、すでに人が人らしく生きていける限界を下にぶっちぎってるんですよ。
つまり、憲法違反ですね。
この時点で、俺はこの地獄から逃げ出す権利があると思います。
……とはいえ、仕事がなくなったのなら次の仕事を探さなくてはならない。
働かなければ、結局人は生きてはゆけないからね。
両親はすでに他界し、大学の授業料と引き換えに親戚から縁をきられた俺には、養ってくれる家族なんていないんだし。
とはいえ……どうやって次の仕事を探そうか?
とりあえず、本屋によって新刊でも買い込んで、荒れた心を落ち着かせるのが先か?
俺がそう思った瞬間であった。
スマホから着信音が流れる。
音からすると、新着のメールが届いたらしい。
「……え? マジかよ」
いつもの癖で無意識に内容を確認し、俺は思わず間抜けな声を漏らす。
そこにかかれていた内容が、正規の職員として司書の募集をしている図書館があると書かれていたからだ。
差出人は古い知り合いである。
ずいぶんと懐かしい……おそらく五年以上は連絡を取り合ってない相手だが、なんで今頃連絡をよこしたのやら。
早速詳しい話を聞こうと電話をかけるが、勤務中なのかいつまでたってもつながらない。
仕方が無いな。
時間をおいて電話をかけなおすとして、とりあえずメッセージの内容をもう少し確認しよう。
勤務先は智乃神図書館。
私立だろうか? 聞いた事のない名前である。
面接は……うわぁ、明日じゃないか!
さっそく履歴書を書かないと。
今日は本屋にゆく時間なさそうだな……。
思わずコンビニへと走り出した俺だが、その時ふいに後ろから誰かの気配を感じた。
だが、振り向いてもそれらしい影はない。
そして結局、その日はいつまでたっても知り合いに電話がつながることはなかった。
去年携帯を買い替えたため、メールの番号がかわってしまったことを思い出したのは、それからずいぶんとたってからのことである。
学校の図書館をはじめ、市立図書館などの本を大量に保管する場所で働く人気の職業である。
あるときは学生や研究者から求める資料についての相談をうけ、またある時は読書と親しむための企画を作り上げるといった業務をこなす、まさに本のエキスパート。
そう、けっして本の貸し出しを手続きするだけ職業ではないのだ。
だが、この司書という仕事……この令和の時代において、そのほとんどが非正規雇用であることをご存知だろうか?
すなわち、給料がとてつもなく安いのだ。
おそらく、自給に換算すればコンビニのバイトにすら圧倒的敗北は免れない。
ともすれば、生活保護すらもはるかに下回るだろう。
司書の資格が国家資格であるにもかかわらずである。
そんな中、俺……白井 俊樹は勤め先である高校の保護者たちからこう言われたのだ。
「司書って、ただ本の貸し出しをするだけでしょ?
給料が高すぎるんじゃない?」
お前ら……司書を、国家資格を何だと思ってる!?
あと、俺はお前らの奴隷でもロボットでもない!!
さすがに限界であった。
その場で退職を宣言し、先ほど俺は辞表を出してきたばかりである。
え? 学生たちが困るだろうって?
じゃあ生徒の利便性って、俺の命より尊いの?
これ以上給料が下がったら、生きてゆけないんですが。
いまの給料でも、憲法第二十五条『すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する』が守れないことはどう思ってらっしゃるのでしょう?
結局のところ、世の中は金です。
今の給料でも、すでに人が人らしく生きていける限界を下にぶっちぎってるんですよ。
つまり、憲法違反ですね。
この時点で、俺はこの地獄から逃げ出す権利があると思います。
……とはいえ、仕事がなくなったのなら次の仕事を探さなくてはならない。
働かなければ、結局人は生きてはゆけないからね。
両親はすでに他界し、大学の授業料と引き換えに親戚から縁をきられた俺には、養ってくれる家族なんていないんだし。
とはいえ……どうやって次の仕事を探そうか?
とりあえず、本屋によって新刊でも買い込んで、荒れた心を落ち着かせるのが先か?
俺がそう思った瞬間であった。
スマホから着信音が流れる。
音からすると、新着のメールが届いたらしい。
「……え? マジかよ」
いつもの癖で無意識に内容を確認し、俺は思わず間抜けな声を漏らす。
そこにかかれていた内容が、正規の職員として司書の募集をしている図書館があると書かれていたからだ。
差出人は古い知り合いである。
ずいぶんと懐かしい……おそらく五年以上は連絡を取り合ってない相手だが、なんで今頃連絡をよこしたのやら。
早速詳しい話を聞こうと電話をかけるが、勤務中なのかいつまでたってもつながらない。
仕方が無いな。
時間をおいて電話をかけなおすとして、とりあえずメッセージの内容をもう少し確認しよう。
勤務先は智乃神図書館。
私立だろうか? 聞いた事のない名前である。
面接は……うわぁ、明日じゃないか!
さっそく履歴書を書かないと。
今日は本屋にゆく時間なさそうだな……。
思わずコンビニへと走り出した俺だが、その時ふいに後ろから誰かの気配を感じた。
だが、振り向いてもそれらしい影はない。
そして結局、その日はいつまでたっても知り合いに電話がつながることはなかった。
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