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王国の終焉
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R18作品です。冒頭数話に無理矢理、暴言など女性蔑視の表現が入ります。苦手な方は読まずにブラウザバックしてください。
本日のみ1話と2話を同時投稿しております。
☆★☆★☆☆★☆★☆
「女王として、王女である貴女に申します、ユーフェミア」
城の奥まった部屋でトルーフェル王国の女王マチルダが、まだ年若い娘である第二王女の腕を掴んで言った。ここは謁見室の隣にある控えの間。部屋の外からは怒号や剣の撃ち合う音が聞こえていたが、それも随分減ってきた。もう城が墜ちるのは時間の問題ーーーーいや、もう墜ちてしまったのかもしれない。ほんの12歳のユーフェミアにはの静けさの方がかえって恐ろしく感じられた。
「よいですか、ユーフェミア。小国とはいえ我々は王族です。たとえどんなことがあっても顔を上げなさい」
「顔を……?」
「そうです。トルーフェル王国の恥とならないよう、毅然とした態度を忘れてはなりませぬ。国はたとえ滅びても、貴女は王女。私に、国民に顔向けできないような真似をするでないぞ」
「はい、陛下」
マチルダはユーフェミアの母ではあると同時に女王だ。いや、母である部分よりも女王である割合が殆どと言ってもいいほど国のために尽くしてきた。その厳しい姿勢からも苛烈な女王として有名だ。ユーフェミアも女王としてのマチルダを見ることが殆どで、幼い頃から母親らしい様子は記憶にない。自分は娘だが臣下なのだ。その考えは根強く彼女の頭に刻みこまれている。
「だが、な、ユーフェミア」
その時ふとマチルダの表情が緩んだ。
「母としては何としてでも生き抜いて幸せになってほしい。国の面子などクソくらえだ。――――私の言っていることは相反しているだろうか。ユーフェミア……ミア、どうか幸せに、生きて幸せになっておくれ」
ユーフェミアは思わず目を丸くした。あの陛下が泣いている。自分をきつく抱きしめて、あたりかまわず泣いている。それまでたまりにたまったものがユーフェミアの涙をも押し上げてきて、たまらず母の体にしがみついた。
「お……、お母様! お母様っ!」
「ミア、私のかわいいミア」
抱きしめて髪を撫でる手は小刻みに震えている。
が、それも長くは続かなかった。
荒々しくドアが蹴破られ、鎧を着た一団の男たちがなだれ込んできた。その鎧はトルーフェルのものではない。隣国カラミシア王国のものだ。先頭の男が握る剣や鎧には赤黒い汚れがこびりついていて、ユーフェミアにもそれが何を意味するのかはわかる。マチルダの腕が痛いほどにユーフェミアを抱きしめたが、男の力には敵わず呆気なく二人は引き剥がされる。
ユーフェミアそのまま男の一人に抱えられ、住み慣れた城から連れ出されてしまった。
最後に見た城は、最早戦いの気配はなく、あちこちから薄い煙が立ち上っている。それはまるでこの瞬間に滅亡したトルーフェル王国を弔い、嘆いているようにユーフェミアには見えた。
本日のみ1話と2話を同時投稿しております。
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「女王として、王女である貴女に申します、ユーフェミア」
城の奥まった部屋でトルーフェル王国の女王マチルダが、まだ年若い娘である第二王女の腕を掴んで言った。ここは謁見室の隣にある控えの間。部屋の外からは怒号や剣の撃ち合う音が聞こえていたが、それも随分減ってきた。もう城が墜ちるのは時間の問題ーーーーいや、もう墜ちてしまったのかもしれない。ほんの12歳のユーフェミアにはの静けさの方がかえって恐ろしく感じられた。
「よいですか、ユーフェミア。小国とはいえ我々は王族です。たとえどんなことがあっても顔を上げなさい」
「顔を……?」
「そうです。トルーフェル王国の恥とならないよう、毅然とした態度を忘れてはなりませぬ。国はたとえ滅びても、貴女は王女。私に、国民に顔向けできないような真似をするでないぞ」
「はい、陛下」
マチルダはユーフェミアの母ではあると同時に女王だ。いや、母である部分よりも女王である割合が殆どと言ってもいいほど国のために尽くしてきた。その厳しい姿勢からも苛烈な女王として有名だ。ユーフェミアも女王としてのマチルダを見ることが殆どで、幼い頃から母親らしい様子は記憶にない。自分は娘だが臣下なのだ。その考えは根強く彼女の頭に刻みこまれている。
「だが、な、ユーフェミア」
その時ふとマチルダの表情が緩んだ。
「母としては何としてでも生き抜いて幸せになってほしい。国の面子などクソくらえだ。――――私の言っていることは相反しているだろうか。ユーフェミア……ミア、どうか幸せに、生きて幸せになっておくれ」
ユーフェミアは思わず目を丸くした。あの陛下が泣いている。自分をきつく抱きしめて、あたりかまわず泣いている。それまでたまりにたまったものがユーフェミアの涙をも押し上げてきて、たまらず母の体にしがみついた。
「お……、お母様! お母様っ!」
「ミア、私のかわいいミア」
抱きしめて髪を撫でる手は小刻みに震えている。
が、それも長くは続かなかった。
荒々しくドアが蹴破られ、鎧を着た一団の男たちがなだれ込んできた。その鎧はトルーフェルのものではない。隣国カラミシア王国のものだ。先頭の男が握る剣や鎧には赤黒い汚れがこびりついていて、ユーフェミアにもそれが何を意味するのかはわかる。マチルダの腕が痛いほどにユーフェミアを抱きしめたが、男の力には敵わず呆気なく二人は引き剥がされる。
ユーフェミアそのまま男の一人に抱えられ、住み慣れた城から連れ出されてしまった。
最後に見た城は、最早戦いの気配はなく、あちこちから薄い煙が立ち上っている。それはまるでこの瞬間に滅亡したトルーフェル王国を弔い、嘆いているようにユーフェミアには見えた。
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