漂泊のエトランジュ

ひろたひかる

文字の大きさ
6 / 16
カリンガル編

エトランジュ、話し合う

しおりを挟む
説明回です・・・長くて済みません

*****************



 
「つまり、行方不明のニノの妹を探すために教会に来た、と」

 リアンナとニノが頷き、ジュードが難しい顔になった。三人は先ほどの場所で向かい合って座っている。教会への道かは林を深く分け入っており、あたりに人気はないので内緒話には好都合だ。

「教会にはネリーはいたのか?」
「いや、見当たらなかった。ただ――――」
「ただ?」
「私はネリーを探していることと、教会にネリーがいるかどうかは訊かなかった」
「なんで!」

 ニノが信じられないという顔でリアンナを見た。ジュードがそれに気づいてニノの肩を叩く。

「まあ待て、ニノ。リアンナ、理由は?」
「うん、説明する。なあニノ、ネリーがサイモン神父を怖がっていたと言ったよな」
「言ったよ。だから孤児院には行かなかったんだ」

 それがどうしたの? とニノが首をひねっている。

「実は私も教会に行って、なんとなく胡散臭いと感じたんだ」
「――――具体的に話してくれるか」
「ああ、だがその前にジュード、貴方のことをまだ聞いていない。私たちは話したのに、不公平だと思わないか?」

 リアンナとニノ、二人の視線がジュードに集まる。ジュードは緑色の瞳を見張り、それから肩をすくめて見せた。彼自身は優男風ではないのに、なぜだかその仕草がひどく嵌まって見えた。

「そうだな、すまない。俺がリアンナを最初に問い詰めた理由はそこなんだ――――俺は、あの教会を調べている。あそこの教会で不審な点がみつかってな」
「不審な点?」
「ああ、だがこれ以上はお互いの情報を交換といこう。うまくいけばネリーを探す手伝いも出来る」

 まっすぐに二人をみる緑色に曇りはない。
 リアンナはこれまで騎士団の第三隊長としてたくさんの人々の謀略や嘘にかかわってきた。人を見る目は結構自信がある。だから、自分の勘にかけてみることにした。

「――――私が胡散臭いと感じたのは、あそこにいた子供達を見たからだ」
「子供達?」
「うん。何というか……ちぐはぐだったんだ。教会は取り立てて豪華でも大きくもなくごく普通。外では自給自足のための野菜を作っていると神父は話していた。なのに、子供達はみんな綺麗な手をしていて、服装も比較的新しくてぱりっとしていた」
「いいことじゃないか。どこに問題が?」
「少なくとも畑仕事を日常的にしているなら手は荒れるだろうし日にも焼ける。服だってまめに洗濯しなきゃだめだから、もっと使い古し感が出てくるだろう? なのにそれがない。ということは、手荒れをするほど農作業をすることがないとか、普段から手を保護するためのクリームを使えたり、服もそこまで傷む前に新しいものを手に入れられるっていうことだ。
 ジュードさん、ここの孤児院は預かっている子供全員にそれくらいまかなえる程度に資金が潤沢なのかな? そう思ったら、サイモン神父の笑顔がひどくいびつに見えてきた」
「……」
「ひょっとしたら子供達のために他を節約して身ぎれいにさせているのかもしれない。そうなら私がサイモン神父を不審に思うのはお門違いだ。だが、何かが違うんだ――――ただの勘なんだけれど。だからネリーのことを聞けなかった。もしサイモン神父が私の考えているような後ろ暗い人物なら、私がネリーを探していると知ったらネリーを隠してしまうんじゃないかと」

 本心ではもっと最悪な状況も考えていたのだがニノの手前そこまでは口に出せない。
 ジュードがしきりにあごをいじっている。難しい顔でリアンナの考えについて思案しているらしい。

「なあ、リアンナさん。あんた、サイモン神父は何を隠してると考えている?」
「まだ推理の域だからむやみには……」

 ふむ、とまたジュードがあごを撫でた。それからおもむろに口を開いた。

「二人とも、ネリーのことは俺に任せてくれないか。二人はこれ以上あの教会に近づいちゃだめだ」
「なんでだよ! 俺の妹だぞ!」

 ジュードの言葉にいきりたったニノが大きな声を上げる。ニノとしてはいてもたってもいられないだろう。ましてやこんな小さな子だ、理屈を理解できても我慢できるかどうかは別問題だ。

「いいか、ニノ。リアンナさんの考えはそう間違っちゃいないと俺は思ってる。あの神父はどこか怪しいんだ。へたにつっつくとネリーが危なくなる可能性だってあるんだ」
「わからないよ! ただ怪しいっていうだけで、どうそれがネリーとつながってくるんだよ! 第一、ジュードさんだって充分怪しいじゃないか。何なんだよ」
「ニノ、ジュードさんはおそらくサイモン神父が悪人だと考えているんだよ」

 リアンナが口を挟んだ。ニノは「え?」とリアンナを振り返り、それからジュードをもう一度振り返った。リアンナは続ける。

「ここには騎士団があると言ってただろう? おそらくは騎士団、あるいはもっと上の部署から派遣された調査員というところか」

 ちらりとジュードを振り返るとジュードはがっくりと肩を落としてため息をついた。

「そうたやすく看破してくれるなよ……ああ、そうだ。俺はこのカリンガルの騎士団員だ」

 やっぱりな、とリアンナは肩をすくめて見せた。あの動き、物腰、場慣れしている態度。この世界の騎士団を知っているわけではないが、どこに行ってもまともな騎士という奴は共通した雰囲気を持っているのだ。特にジュードはわかりやすい。

「で? サイモン神父を調べていたんでしょう」
「そうだ。ただし、根はもっと深い。神父は氷山の一角みたいなもんだ」
「黒幕は別にいる、と?」
「そうだ。だから二人はこれ以上首を突っ込むべきじゃないんだ」

 厳しい目でこちらを睨むジュード。ニノはびくりと背を震わせていたがもちろんリアンナはどこ吹く風だ。

「それで納得できると思う? 私だってニノを危険な目に遭わせるのは心外だ。でも、いくら騎士団の人間だからといってそれで初対面の人間にはいそうですかとお任せできると思う?」
「う、だが、本当に危険なんだ」
「――――首を突っ込む突っ込まないはともかくとして、こちらは手の内を明かしたんだ。不公平じゃないか?」
「う」

 ジュードはさらに肩を落とした。

「――――いいか、本当に首を突っ込むな。そして今から話すことは絶対人に話さないでくれ」
「わかった。ニノもいいな?」
「うん、約束する」
「約束だぞ。――――このカリンガルは栄えている街でな、領主様が良い統治をしていると王家からも覚えがめでたい場所だ。だが、光があれば必ず影が出来る。特にこういう栄えている場所には仕事を求めて人が集まってくる。それは大人だけじゃない。ニノのような親を亡くした子供も、だ。これは王国の他の大きな街でも同じ現象が起きている」
「うん」
「そのはずなんだが、ここカリンガルでは極端にそういった宿無し子が少ないんだ」
「――――どういうこと?」
「いるはずのものがいない。それは誰かが宿無し子を引き取って世話をしているか、宿無し子がこのカリンガルからいなくなったということだ。だがカリンガルは王国でも有数の大きな街、宿無し子達が自分からこの街を去る理由がないんだ。念のために調べたが、近くの街で急に宿無し子が増えたという記録もない。彼らがどこにいったのか、全くわからないんだ」
「孤児院には?」
「孤児院の記録も当たったが、ごく平均的な人数や経理状況の書類があるだけで、とてもたくさんの宿無し子をひきとっているとは思えないんだ」
「で、ジュードはそれを調べていくうちにサイモン神父が怪しいというところに突き当たったんだな」
「ああ」

 教会の経理を密かに調べたところでは、孤児院の経営はかつかつのはずだった。なのにリアンナが気がついたように子供のみなりはよく、教会自体もこざっぱりとして壊れているところもない。要は「羽振りが良すぎる」のだ。

「そしてもう一つ。あの教会の孤児院から巣立っていった子供が何人もいるのだが、皆行方がわからないんだ」
「わからない?」
「あそこからは15歳になると独り立ちしなきゃいけない決まりになっているんだが、どこそこの街に働きに行くと話していた子供がその街に行った形跡がない、そんな案件がいくつもあって」
「待って待って、それはものすごく怪しいじゃない」
「怪しいな――――で、すべてを考え合わせるとサイモン神父は密かに集めた街の宿無し子や孤児院の子供達を売り飛ばしているんじゃないかという結論に達したんだ。それで領主様から直々に命を受けて俺が来た」
「直々に? 騎士団としての仕事じゃないって事?」
「――――騎士団の中に、サイモン神父の協力者がいる」




 テーブルの上には巨大な皿。その上にはうずたかく積まれた料理。パスタに焼いた肉、ゆでた野菜や芋などが皿がみえないほどに盛りつけられている。
 それがニノの目の前にでんっ、と効果音つきでその存在感を主張しているのだ。ニノはどこか恐れおののいているように見える。

「ほら、食べろ」
「食べろって言われても……」

 街へ戻ってきた三人はとりあえず腹ごしらえしようと食堂へ入った。もちろんニノの働いていた食堂ではない。「青い牡鹿亭」という、騎士団の建物に一番近い食堂だ。

「味はともかく量は多いぞ、騎士団御用達だからな」
「いいんですかい旦那、そんなこと言って。旦那の分にタバスコたっぷりかけますよ」

 店のおかみさんが笑顔で――――ただし目は笑っていない――――ジュードの前に料理を置いた。

「なんだ、ジュードは辛いものが苦手なのか」
「タバスコの辛さはだめなんだ! マスタードならいける」

 雑談をしながら食事を開始。直後に山盛りのジュードの皿がみるみるうちに空になっていく。

「さすがは肉体労働」
「その言い方やめろよ(ムグムグ)」
「ジュードのおじさん、ちゃんと口からっぽにしてからしゃべれって俺母ちゃんによく叱られてた」
「む」

 そのまま三人で黙々と皿の中身を減らし続けた。「うめえ!」と夢中で食べていたニノはさすがに三分の一も食べられなかったが、幸せそうな顔でぱんぱんにふくれたおなかを撫でている。

「さて、これからなんだが。俺は一旦報告のために騎士団へ戻らなきゃいけない。二人はどうする?」
「一回家に戻ってネリーが帰ってないかどうか確かめたい」

 それがいいだろうな、とジュードも頷いた。

「いいか、しつこいようだが首を突っ込むな。ニノの住処で待っていてくれ、また状況を報告しに行くから」

 くれぐれもと念を押され、またニノの家の場所を聞かれて店の前でジュードと別れた。

 そこからまだ賑やかな市場を横目で眺めつつリアンナとニノは川をめざす。さすがに朝ほどの活気はないし生鮮食品を扱っていたテントは店じまいをしている。が、雑貨屋なんかはまだまだ営業中だ。

「――――あ」

 リアンナはふと足を止めた。そこにはきらきら光るアクセサリーを扱うテントがあり、年配の男性がぷかりとパイプをふかしながら店番をしていた。
 アクセサリーといっても宝石を扱うような高級なものではない。色の綺麗な石をはめ込んだ金属製のレリーフが主で、どちらかというとカジュアルな品揃えだ。そして店先にはアクセサリーにはめ込まれているような色石がかごに入って売られている。

「これは……」

 リアンナは思わずかごを覗き込んだ。石はどうやらビーズに加工されているようで、いろいろな色がごちゃまぜになって入っている。

「ご主人、このビーズはいくら?」
「それかい? どれでもひとつ50ギルだよ」

 50ギル、朝のラップサンドがひとつ100ギルだったので大体推して知るべきの価格だ。リアンナはそのビーズをざらざらとかき回し二つ取り出した。一つは水色、一つはピンクのビーズだ。

「じゃ、これを」
「100ギルだよ」

 店主に金を支払いビーズを購入した。どちらも宝石のように透き通った石ではないが、色は綺麗だ。
 店を後にしてニノと二人でまた歩き出した。

(魔術のないこの世界にこんなものがあるとはなあ)

 リアンナは今買ったビーズを歩きながらちらりと見た。手の中の二粒のビーズは、大きさはどちらも小豆粒ほど。まるでリアンナの手のひらのぬくもりで眠っているようだ。だがこれは「魔石」だ。リアンナのジグムンド王国にもあった、魔力を込められる石。様々な魔術を込め、戦いの折の武器として、あるいは防衛のため、はては小さな粒ならお守りとして魔術を練り込んで持ち歩くことが出来るので、ジグムンド王国ではごく普通に流通していた。それと同じ性質をもつ石が魔術のないこの国にあるのだから不思議なものだ。
 リアンナは歩きながら再びビーズをにぎりしめてビーズに魔力を送る。するとビーズは今目覚めたというようにふんわり暖かくなった。
 リアンナの世界ではだれでも多少の魔力は持っているので、ご多分に漏れずリアンナも魔力を持っている。ただ、魔術師になれるほどの魔力量はないので、せいぜい使う魔術は生活魔術と、戦いの最中に剣に魔力をまとわせる程度の魔術だ。
 だから気休めに過ぎないかもしれないけれど。
 そう思いながらも2粒のビーズにへたくそながらも守護の魔術を練り込み、ポーチから革紐を一本取り出し適当な長さに切ってビーズに通した。

「やっぱり帰ってないか……」

 いつの間にか川までたどりついていて、先に走って家をのぞき込みに行っていたニノは肩を落として家から出てきた。その頭をぽんぽんと撫でてリアンナはニノの前にしゃがんだ。

「ニノ、これ」

 あげるよ、といいつつ水色のビーズを革紐に通しただけのペンダントをニノの首にかけた。

「え、これ」
「これはね、お守りだよ。もらってくれる?」
「――――でも、俺、リアンナとジュードにごはん食べさしてもらったりしてるし」
「ああ、別に恩を売るわけじゃないよ。私の自己満足。この首飾りにはね、私が魔術をかけたんだ。ニノを守ってくれるようにね」
「けど」
「ごめんね、腹立たしいかな? じゃあこうしよう。この首飾りをもらうかわりに、ニノはがんばって幸せになる約束を私とする。どう?」
「幸せに……」

 ニノはあぜんとしていたが、やがてふと目を落とした。

「幸せに……どうやったらなれるんだろう」

 ぽつりとつぶやき、受け取った首飾りのビーズを撫でる。

「ねえ、リアンナ。リアンナの幸せって、なに?」
「私? そうだなあ」

 リアンナは空を見上げた。曇っていた空は雲が切れはじめ、ところどころきれいな青空が覗いている。その青はリアンナの祖国で見た空の色と違い、少し緑がかった青だ。ここが祖国でないことを思い知らされるようで少しだけ胸が詰まる。
 隣にいてほしい人がいないことを思い知らされるようで。

「――――大切に思う人のそばでお互いに笑顔でずっといられること、かな」
「それって、誰?」

 ふふ、と笑ってニノの頭を撫でた。

「ねえリアンナ、その人に会いに行かないの?」

 そういったニノの目に映るリアンナはどこか寂しそうな笑顔を浮かべている。

「私はね、ニノ、その人に会いに行く途中なんだ」

 いつになったら会えるのかわからないけど、と小さくつぶやいた言葉はニノの耳には届かず空へ消えていった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

あっ、追放されちゃった…。

satomi
恋愛
ガイダール侯爵家の長女であるパールは精霊の話を聞くことができる。がそのことは誰にも話してはいない。亡き母との約束。 母が亡くなって喪も明けないうちに義母を父は連れてきた。義妹付きで。義妹はパールのものをなんでも欲しがった。事前に精霊の話を聞いていたパールは対処なりをできていたけれど、これは…。 ついにウラルはパールの婚約者である王太子を横取りした。 そのことについては王太子は特に魅力のある人ではないし、なんにも感じなかったのですが、王宮内でも噂になり、家の恥だと、家まで追い出されてしまったのです。 精霊さんのアドバイスによりブルハング帝国へと行ったパールですが…。

幼馴染の許嫁

山見月 あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。 彼は、私の許嫁だ。 ___あの日までは その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった 連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった 連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった 女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース 誰が見ても、愛らしいと思う子だった。 それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡 どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服 どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう 「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」 可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる 「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」 例のってことは、前から私のことを話していたのか。 それだけでも、ショックだった。 その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした 「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」 頭を殴られた感覚だった。 いや、それ以上だったかもしれない。 「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」 受け入れたくない。 けど、これが連の本心なんだ。 受け入れるしかない 一つだけ、わかったことがある 私は、連に 「許嫁、やめますっ」 選ばれなかったんだ… 八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。

行き場を失った恋の終わらせ方

当麻月菜
恋愛
「君との婚約を白紙に戻してほしい」  自分の全てだったアイザックから別れを切り出されたエステルは、どうしてもこの恋を終わらすことができなかった。  避け続ける彼を求めて、復縁を願って、あの日聞けなかった答えを得るために、エステルは王城の夜会に出席する。    しかしやっと再会できた、そこには見たくない現実が待っていて……  恋の終わりを見届ける貴族青年と、行き場を失った恋の中をさ迷う令嬢の終わりと始まりの物語。 ※他のサイトにも重複投稿しています。

処理中です...