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1章:ルーシャの願い
Ⅴ
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サクラの申し出に、ルーシャは一瞬怯んだもののすぐに顔を澄ませて、発言の許可を出した。
「・・・え、ええ!別に構いませんわ!私に疾しいことなどございませんもの!」
そう言って、ルーシャはそっぽを向く。
ルーシャの態度に周りの者たちは呆れ返るが、皆、サクラの言葉を一言一句逃すまいと耳を傾けていた。
「・・・・・・私は、ルーシャ様に何かを言ったとしても認めてもらえないと思い、諦めていました。ですが、ソルト殿下とミーナに助けられて気付きました。このままではいけないと・・・。私自身、守られているばかりでは情けないので、私があなたが行ったことを今ここで証言してみせます!」
強く、強く、ルーシャを見つめるサクラ。
そんなサクラの眼差しを一瞥し、嘲笑うルーシャ。
しかし、ルーシャの額にはうっすらと汗が浮かんでいた。
「私は、ルーシャ様にたくさんの嫌がらせを受けました。初めて嫌がらせを受けた日は、入学式の日です。・・・入学式の会場である講堂に向かっている時にルーシャ様と出会いました。ルーシャ様は私を見た瞬間言いました。『あなたが平民上がりの男爵家の子なんですの?まあ、見た限り間違っていることは無いと思いますわ。・・・だって、こんなにもみすぼらしいんですもの。汚い平民がこの学園に来るなんて最悪ですわ。』そう言って私の頬を叩きました。」
サクラはそれから3年間にわたる嫌がらせの数々を打ち明けた。
教科書を破かれ、噴水にぶちまけられたこと。
外を歩いていたら、泥水をかけられたこと。
ソルトと話した後には、必ず頬を叩かれ蹴られ、そして最悪な時には、噴水の中に顔を入れられ溺れかけたことなどを打ち明けた。
「これが、私がルーシャ様に受けた嫌がらせの数々です。ルーシャ様。これを聞いてもまだ、自分は注意しただけなのだと仰るのですか?私は・・・正直辛かったです。たしかに、私は貴族社会に対して無知でした。ルーシャ様が仰ることも勉強になった時もありました。しかし、時にはやりすぎというものがあります。あなたはそれをしすぎました。私は、はっきりいって何度も死にかけました。お願いします。自分のしたことを今一度思い直してくださいませんか?」
言い終わると同時に、サクラはルーシャに一礼をした。
ルーシャは、自分がやってきたことの酷さを分かっていなかった。
自分は正しいのだと思いすぎていた。
ルーシャは口を開けては閉じ、何も言えないまま顔を青ざめ俯いた。
頭の中は真っ白になり、込み上げる感情押し殺すように必死に唇を噛み締めたルーシャの体は震えていた。
そんな時だった。
「私も!私もパーティで殿下と話したあと、ルーシャ様に飲み物を頭からかけられたことがございますわ!」
サクラの証言で勇気をもらった令嬢の1人が、大きな声で言い放った。
その言葉で周りにいた令嬢達や令息達も、ルーシャから受けた嫌がらせや、ルーシャに対しての罵声などが飛び交った。
ルーシャは周りから向けられる憎悪に耐えきれず、言葉をこれ以上聞こえないよう、その場で耳を押えてへたり込んだ。
その顔は、だんだん白くなってきている。
ルーシャの瞳からは、涙が溢れて止まらない。
────私のした事はそんなに酷いことでしたの?
そう思った瞬間、ルーシャはその場で意識を失った。
ルーシャが冷たい床へ倒れてもなお、ルーシャへの罵声は止まることなくホールに響いていた。
「・・・え、ええ!別に構いませんわ!私に疾しいことなどございませんもの!」
そう言って、ルーシャはそっぽを向く。
ルーシャの態度に周りの者たちは呆れ返るが、皆、サクラの言葉を一言一句逃すまいと耳を傾けていた。
「・・・・・・私は、ルーシャ様に何かを言ったとしても認めてもらえないと思い、諦めていました。ですが、ソルト殿下とミーナに助けられて気付きました。このままではいけないと・・・。私自身、守られているばかりでは情けないので、私があなたが行ったことを今ここで証言してみせます!」
強く、強く、ルーシャを見つめるサクラ。
そんなサクラの眼差しを一瞥し、嘲笑うルーシャ。
しかし、ルーシャの額にはうっすらと汗が浮かんでいた。
「私は、ルーシャ様にたくさんの嫌がらせを受けました。初めて嫌がらせを受けた日は、入学式の日です。・・・入学式の会場である講堂に向かっている時にルーシャ様と出会いました。ルーシャ様は私を見た瞬間言いました。『あなたが平民上がりの男爵家の子なんですの?まあ、見た限り間違っていることは無いと思いますわ。・・・だって、こんなにもみすぼらしいんですもの。汚い平民がこの学園に来るなんて最悪ですわ。』そう言って私の頬を叩きました。」
サクラはそれから3年間にわたる嫌がらせの数々を打ち明けた。
教科書を破かれ、噴水にぶちまけられたこと。
外を歩いていたら、泥水をかけられたこと。
ソルトと話した後には、必ず頬を叩かれ蹴られ、そして最悪な時には、噴水の中に顔を入れられ溺れかけたことなどを打ち明けた。
「これが、私がルーシャ様に受けた嫌がらせの数々です。ルーシャ様。これを聞いてもまだ、自分は注意しただけなのだと仰るのですか?私は・・・正直辛かったです。たしかに、私は貴族社会に対して無知でした。ルーシャ様が仰ることも勉強になった時もありました。しかし、時にはやりすぎというものがあります。あなたはそれをしすぎました。私は、はっきりいって何度も死にかけました。お願いします。自分のしたことを今一度思い直してくださいませんか?」
言い終わると同時に、サクラはルーシャに一礼をした。
ルーシャは、自分がやってきたことの酷さを分かっていなかった。
自分は正しいのだと思いすぎていた。
ルーシャは口を開けては閉じ、何も言えないまま顔を青ざめ俯いた。
頭の中は真っ白になり、込み上げる感情押し殺すように必死に唇を噛み締めたルーシャの体は震えていた。
そんな時だった。
「私も!私もパーティで殿下と話したあと、ルーシャ様に飲み物を頭からかけられたことがございますわ!」
サクラの証言で勇気をもらった令嬢の1人が、大きな声で言い放った。
その言葉で周りにいた令嬢達や令息達も、ルーシャから受けた嫌がらせや、ルーシャに対しての罵声などが飛び交った。
ルーシャは周りから向けられる憎悪に耐えきれず、言葉をこれ以上聞こえないよう、その場で耳を押えてへたり込んだ。
その顔は、だんだん白くなってきている。
ルーシャの瞳からは、涙が溢れて止まらない。
────私のした事はそんなに酷いことでしたの?
そう思った瞬間、ルーシャはその場で意識を失った。
ルーシャが冷たい床へ倒れてもなお、ルーシャへの罵声は止まることなくホールに響いていた。
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