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1章:ルーシャの願い
Ⅶ
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ソルトの存在を思い出したルーシャの顔は、すっかり青ざめていた。
「あ、で、殿下・・・。その、今のため息はっ!!」
ルーシャは慌ててなにかを言おうとしたが、言葉が続かず、そのまま無言になってしまう。
ソルトはそんなルーシャを見て、呆れたように笑った。
「ルーシャ。貴女のひとつの事に気を取られたら、周りが見えなくなる所は相変わらずだな。」
そう言ってソルトはしゃがみ込み、ルーシャの視線に合わせた。
「ルーシャ。ルーシャのしたことは良くないことが多かった。・・・だが、その原因を作っていたのは私だった。すまなかった。・・・私の自己満足で謝ったとしても、ルーシャは許すことは出来ないだろう。それはもちろん分かっている。だが、謝らせてくれないか。本当にすまなかった。」
ソルトは深く頭を下げる。
顔を上げたソルトは、じっとルーシャの瞳を見つめる。
しかし、ソルトを見つめ返すルーシャの瞳には、戸惑いと少しの恐怖の感情が混ざっていた。
「わ、私に今謝ったとしてもどの道私は死にますわ。それに、『謝ったからと言って今までの行動がなくなるわけではない』と仰ったのは殿下ではありませんか。・・・私に謝らないでほしいですわ。それに、私は今やただの罪人ですわ。・・・・・・あいつは言いませんでしたが、私はマリアンローズ家を剥奪されているに決まっていますわ。」
ルーシャは、下を向く。
これは、ルーシャ自身が自分のしてきたことの酷さを分かっていなかったために起きたこと。
マリアンローズ家は、これから酷い非難され続ける。
ルーシャの起こした問題のせいで・・・。
申し訳なさと後悔が、苦く、ルーシャの胸を埋め尽くす。
マリアンローズ公爵家は、これまで黒い噂とは無縁の家だった。
大好きな両親を、悲しませて、傷つける。
両親の顔が頭に浮かび、ルーシャは悔しくて涙が出そうになる。
しかし、ルーシャはなんとか手をきつく握りしめて堪えた。
・・・泣くのは、ソルトとサクラが去ってからだと、今誓った。
「・・・ルーシャ様。私はルーシャ様にされたことは許せません。・・・しかし、同時に感謝もしているんです。」
サクラの信じられないような言葉が聞こえ、ルーシャはパッと顔を上げた。
そのルーシャの顔は、驚愕して固まっている。
サクラも、ルーシャと視線を合わせるためにしゃがみ込む。
「おかしな話だとは思います。・・・けれど、ルーシャ様はやり方は良くなかったですが、貴族社会のことを私に教えてくださいました。・・・すごく役に立つことばかりで、私はこれから貴族の一員として生きることに勇気を持てたこともあったんです。・・・もちろん、傷ついたことも多くありましたし、許せない自分もいます。・・・けれど、それと同時に私の間違いを叱られることがないのだと思うと・・・不思議と少し寂しさも感じるんです。。」
本当に寂しそうに言葉を紡ぐサクラに、ルーシャは意味がわからず、訝しげに眉をひそめた。
「何を、言っていますの・・・?そんなこと言ったって・・・心の中では私を嘲笑っているのでしょう?!
何が「寂しい」って言いますの?!私は貴女に嫌がらせをしましたのよ!?恨んだり許せないのは当然ですわ!・・・それなのに、「寂しい」なんて、おかしいに決まってますわ!!!」
ルーシャは心の内を叫ぶと、なにか訳の分からない恐怖で、サクラから少し距離をとった。
「あ、で、殿下・・・。その、今のため息はっ!!」
ルーシャは慌ててなにかを言おうとしたが、言葉が続かず、そのまま無言になってしまう。
ソルトはそんなルーシャを見て、呆れたように笑った。
「ルーシャ。貴女のひとつの事に気を取られたら、周りが見えなくなる所は相変わらずだな。」
そう言ってソルトはしゃがみ込み、ルーシャの視線に合わせた。
「ルーシャ。ルーシャのしたことは良くないことが多かった。・・・だが、その原因を作っていたのは私だった。すまなかった。・・・私の自己満足で謝ったとしても、ルーシャは許すことは出来ないだろう。それはもちろん分かっている。だが、謝らせてくれないか。本当にすまなかった。」
ソルトは深く頭を下げる。
顔を上げたソルトは、じっとルーシャの瞳を見つめる。
しかし、ソルトを見つめ返すルーシャの瞳には、戸惑いと少しの恐怖の感情が混ざっていた。
「わ、私に今謝ったとしてもどの道私は死にますわ。それに、『謝ったからと言って今までの行動がなくなるわけではない』と仰ったのは殿下ではありませんか。・・・私に謝らないでほしいですわ。それに、私は今やただの罪人ですわ。・・・・・・あいつは言いませんでしたが、私はマリアンローズ家を剥奪されているに決まっていますわ。」
ルーシャは、下を向く。
これは、ルーシャ自身が自分のしてきたことの酷さを分かっていなかったために起きたこと。
マリアンローズ家は、これから酷い非難され続ける。
ルーシャの起こした問題のせいで・・・。
申し訳なさと後悔が、苦く、ルーシャの胸を埋め尽くす。
マリアンローズ公爵家は、これまで黒い噂とは無縁の家だった。
大好きな両親を、悲しませて、傷つける。
両親の顔が頭に浮かび、ルーシャは悔しくて涙が出そうになる。
しかし、ルーシャはなんとか手をきつく握りしめて堪えた。
・・・泣くのは、ソルトとサクラが去ってからだと、今誓った。
「・・・ルーシャ様。私はルーシャ様にされたことは許せません。・・・しかし、同時に感謝もしているんです。」
サクラの信じられないような言葉が聞こえ、ルーシャはパッと顔を上げた。
そのルーシャの顔は、驚愕して固まっている。
サクラも、ルーシャと視線を合わせるためにしゃがみ込む。
「おかしな話だとは思います。・・・けれど、ルーシャ様はやり方は良くなかったですが、貴族社会のことを私に教えてくださいました。・・・すごく役に立つことばかりで、私はこれから貴族の一員として生きることに勇気を持てたこともあったんです。・・・もちろん、傷ついたことも多くありましたし、許せない自分もいます。・・・けれど、それと同時に私の間違いを叱られることがないのだと思うと・・・不思議と少し寂しさも感じるんです。。」
本当に寂しそうに言葉を紡ぐサクラに、ルーシャは意味がわからず、訝しげに眉をひそめた。
「何を、言っていますの・・・?そんなこと言ったって・・・心の中では私を嘲笑っているのでしょう?!
何が「寂しい」って言いますの?!私は貴女に嫌がらせをしましたのよ!?恨んだり許せないのは当然ですわ!・・・それなのに、「寂しい」なんて、おかしいに決まってますわ!!!」
ルーシャは心の内を叫ぶと、なにか訳の分からない恐怖で、サクラから少し距離をとった。
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