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5章:ルーシャの戸惑い
Ⅰ
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綺麗な青空が広がり、午後のティータイムにも丁度いい時間帯。
マリアンローズ家自慢の庭園の一角にあるガゼボの中には、テーブルと椅子が2つセッティングされていた。
周りには侍女たちはいない。
そして、テーブルを挟んで向かい合って座っているのは、ルーシャと今日侍女見習いとして紹介されたリアだった。
しかし、暖かな日差しと穏やかな庭園とは裏腹に、2人の空気は穏やかなものではなかった。
ルーシャはリアを観察するようにじっと見つめ、リアはその視線に冷や汗をダラダラ流しながら、カチンコチンに固まっている。
そんな状況で言葉が交わされることはなく、20分が経過していた。
そもそも何故、侍女見習いであるリアがルーシャと共に同じ席に座っているのかと言うと、それは、30分前に遡る。
❀.*・゚✧̣̥̇ ❀.*・゚✧̣̥̇ ❀.*・゚✧̣̥̇ ❀.*・゚✧̣̥̇
握手を交わしたルーシャとリア。
傍から見れば、侍女見習いと屋敷の令嬢としてのただの挨拶より少し穏やかな光景だ。
そして、もちろんルーシャとリアはこれで解散だと思っていた。
しかし、ルーシャの父であるアルファードは違った。
2人の様子を見て、ある計画を企てた。
アルファードはルーシャのことが心配だった。
何故ならルーシャは、アルファードと同じつり上がった目をしており、何度かお茶会に参加させたが、公爵家という家柄とその容姿で怯む者が多く友人と呼べる者が親の目から見てもいなかった。
しかし、怯むことなく握手をしたリアを見て、この子とならルーシャは良い友人関係を築けるのではないか・・・と思った。
そして、アルファードは2人の肩に手を置いてにっこりと笑って言った。
「では、今からルーシャとリアの2人でお茶会をしようか。」
アルフォードからの提案にリアは固まり、ルーシャは驚いた顔をしていた。
もちろんルーシャは断ろうとした・・・だが、アルファードはこうと決めたら何がなんでも変えようとはしない。
それは、ソルトとの婚約のことで身に染みて分かっていたので断ることをルーシャは早々に諦めた。
そして、冒頭に至るというわけだ。
アルファードの計画・・・それは、ルーシャとリアでお茶会をして親睦を深めることだった。
❀.*・゚✧̣̥̇ ❀.*・゚✧̣̥̇ ❀.*・゚✧̣̥̇ ❀.*・゚✧̣̥̇
流石に(このまま黙っていても良くないよね?それに、すごく、見てくるよぉ~!)と、ルーシャに見られすぎて顔に穴が開きそうなったリアは勇気を振り絞って口を開いた。
「あ、あのっ!な、な、なにか私についてますか?」
吃りながらも聞いたリアに、ルーシャは見続けるのをやめて少し目を逸らした。
「・・・・・・貴女は、なんなんですの?」
数秒の沈黙の後、ルーシャはそう言葉を口にした。
唐突なルーシャの質問に、リアはキョトンとする。
「えっとー・・・・・・クレセント家の次女です!あとはー、マリアンローズ家の見習い侍女で、ルーシャ様のお世話係にもなった者ですね!」
リアは数秒考えたあと、当たり障りのないことを言った。
リアの答えにルーシャは一瞬眉を顰める。
「・・・・・・・・・そう、ですわね。・・・ええ、まあ・・・こんなこと言っても、流石に分からないはずよね・・・。じゃあ、なんて言えば・・・。」
顰めたあとは、ぶつぶつと下を向いて独り言を言い始めたルーシャ。
そんなルーシャにリアは首を傾げていた。
そして、数秒後になにかを思いついたような表情をして、ルーシャの方へぐいっと前のめりになった。
「そうだ!あのあの!ルーシャ様!私、ルーシャ様のこと知りたいので、もしよければお互いに質問のしあいっこしませんか?」
キラキラした表情をして食い気味言ったリアに、独り言を呟いていたルーシャは、リアの突然の言葉に口を開けて驚いた。
マリアンローズ家自慢の庭園の一角にあるガゼボの中には、テーブルと椅子が2つセッティングされていた。
周りには侍女たちはいない。
そして、テーブルを挟んで向かい合って座っているのは、ルーシャと今日侍女見習いとして紹介されたリアだった。
しかし、暖かな日差しと穏やかな庭園とは裏腹に、2人の空気は穏やかなものではなかった。
ルーシャはリアを観察するようにじっと見つめ、リアはその視線に冷や汗をダラダラ流しながら、カチンコチンに固まっている。
そんな状況で言葉が交わされることはなく、20分が経過していた。
そもそも何故、侍女見習いであるリアがルーシャと共に同じ席に座っているのかと言うと、それは、30分前に遡る。
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握手を交わしたルーシャとリア。
傍から見れば、侍女見習いと屋敷の令嬢としてのただの挨拶より少し穏やかな光景だ。
そして、もちろんルーシャとリアはこれで解散だと思っていた。
しかし、ルーシャの父であるアルファードは違った。
2人の様子を見て、ある計画を企てた。
アルファードはルーシャのことが心配だった。
何故ならルーシャは、アルファードと同じつり上がった目をしており、何度かお茶会に参加させたが、公爵家という家柄とその容姿で怯む者が多く友人と呼べる者が親の目から見てもいなかった。
しかし、怯むことなく握手をしたリアを見て、この子とならルーシャは良い友人関係を築けるのではないか・・・と思った。
そして、アルファードは2人の肩に手を置いてにっこりと笑って言った。
「では、今からルーシャとリアの2人でお茶会をしようか。」
アルフォードからの提案にリアは固まり、ルーシャは驚いた顔をしていた。
もちろんルーシャは断ろうとした・・・だが、アルファードはこうと決めたら何がなんでも変えようとはしない。
それは、ソルトとの婚約のことで身に染みて分かっていたので断ることをルーシャは早々に諦めた。
そして、冒頭に至るというわけだ。
アルファードの計画・・・それは、ルーシャとリアでお茶会をして親睦を深めることだった。
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流石に(このまま黙っていても良くないよね?それに、すごく、見てくるよぉ~!)と、ルーシャに見られすぎて顔に穴が開きそうなったリアは勇気を振り絞って口を開いた。
「あ、あのっ!な、な、なにか私についてますか?」
吃りながらも聞いたリアに、ルーシャは見続けるのをやめて少し目を逸らした。
「・・・・・・貴女は、なんなんですの?」
数秒の沈黙の後、ルーシャはそう言葉を口にした。
唐突なルーシャの質問に、リアはキョトンとする。
「えっとー・・・・・・クレセント家の次女です!あとはー、マリアンローズ家の見習い侍女で、ルーシャ様のお世話係にもなった者ですね!」
リアは数秒考えたあと、当たり障りのないことを言った。
リアの答えにルーシャは一瞬眉を顰める。
「・・・・・・・・・そう、ですわね。・・・ええ、まあ・・・こんなこと言っても、流石に分からないはずよね・・・。じゃあ、なんて言えば・・・。」
顰めたあとは、ぶつぶつと下を向いて独り言を言い始めたルーシャ。
そんなルーシャにリアは首を傾げていた。
そして、数秒後になにかを思いついたような表情をして、ルーシャの方へぐいっと前のめりになった。
「そうだ!あのあの!ルーシャ様!私、ルーシャ様のこと知りたいので、もしよければお互いに質問のしあいっこしませんか?」
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