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10章:リアは考える
Ⅱ
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屋敷の掃除がひと通り終わった頃には、空も暗くなっていた。
仕事が終わったあと、侍女さんたち全員は使用人部屋のロビーに集まって明日の大まかな仕事内容を確認することになっている。
40人くらいの侍女さんたち全員が集まって並んだ頃、侍女長であるロリアさんが前に立って話し出した。
「皆さん、お疲れ様です!明日は、今日屋敷内掃除担当だった人達は洗濯と庭掃除。今日洗濯と庭掃除だったものは屋敷内の掃除担当をよろしくお願いします。そして明日は、マリアンローズ夫人がお茶会に参加しますので、そのお見送りをします。では、明日もよろしくお願いします!!解散!」
ロリアさんの合図で皆さんそれぞれ部屋に戻っていく。
私もなんだか疲れたのでそそくさと部屋に戻った。
自分の部屋の扉を閉めたあと、その場に蹲った。
「やっぱり気になるよお。ルーシャ様・・・なんで、睨んだんだろう。」
無意識のうちになにかしたのかもしれない。
だけど、今日はルーシャ様がお城から帰ってくるまで会っていない。
じゃあ、お城で何かあったのかなー?
でも、そんなこと聞いたら、なんで気になるのか聞かれるかもしれない。
もしかしたら、深堀しすぎて嫌われちゃうかもしれない。
ふと、私の脳裏にエリンさんの言葉が響いた。
『あくまでお嬢様と侍女。身分が違うんだから、馴れ馴れしくするのはあまり好ましく思われないから気をつけた方がいいのよ。』
『そう思うのは自由よ。でも、好ましく思わない方だっている。それは覚えておくのよ。』
「馴れ馴れしくするのは・・・あまり好まれない。」
ぽつり脳裏で響いた言葉の1部が口からこぼれる。
・・・・・・ルーシャ様は馴れ馴れしく・・・仲良くするのは、身分に差がある人とは仲良くなりたくないのかもしれない・・・。
もしかしたら、お城に行って、そんなことに気づいてしまったのかもしれない。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・私とは、もう、お話したくないのかもしれない。
・・・でも、私は、ルーシャ様と仲良くなりたい。
・・・沢山お話して、それから、スノードロップ畑を咲かせて、1番最初に見せたい。
不可能だったことができるって分かったら、きっと、たぶん、もしかしたら、勇気になるかもしれないって思うから。
でも・・・ルーシャ様からしたら、余計なお世話かな・・・?
昨日の折り紙も、もしかして、迷惑だった?
・・・・・・ううん!喜んでくれてた!!
大切にするって言ってくれた。
「・・・・・・・・・うううぅ。どうすればいいのぉ。」
人間関係がこんなに難しいなんて思わなかった。
人と人との気持ちに差があるなんて思わなかった。
どうすれば、どうすればルーシャ様と仲良く、そして、運命を変えられるのか・・・分からない。
分からないよ・・・。
何も出来ない、分からないことが悔しい。
自然と涙が出てきた。
「・・・ズッ・・・グスッ・・・どうすればぁ・・・いいのかなぁ・・・グスッ」
顔を疼くめて鼻をすする。
汚いけど、誰もいないからいいや。
それに、きっと、誰も来ない。
コンコンコンッ
そう思った瞬間、扉がノックする音が聞こえて、肩がビクッと上がった。
涙を拭って、扉から離れて返事をする。
「ど、どちらさまですか?」
「・・・ルーシャよ。リア、入っていいかしら?」
私は、扉から聞こえた声と名前に驚愕した。
仕事が終わったあと、侍女さんたち全員は使用人部屋のロビーに集まって明日の大まかな仕事内容を確認することになっている。
40人くらいの侍女さんたち全員が集まって並んだ頃、侍女長であるロリアさんが前に立って話し出した。
「皆さん、お疲れ様です!明日は、今日屋敷内掃除担当だった人達は洗濯と庭掃除。今日洗濯と庭掃除だったものは屋敷内の掃除担当をよろしくお願いします。そして明日は、マリアンローズ夫人がお茶会に参加しますので、そのお見送りをします。では、明日もよろしくお願いします!!解散!」
ロリアさんの合図で皆さんそれぞれ部屋に戻っていく。
私もなんだか疲れたのでそそくさと部屋に戻った。
自分の部屋の扉を閉めたあと、その場に蹲った。
「やっぱり気になるよお。ルーシャ様・・・なんで、睨んだんだろう。」
無意識のうちになにかしたのかもしれない。
だけど、今日はルーシャ様がお城から帰ってくるまで会っていない。
じゃあ、お城で何かあったのかなー?
でも、そんなこと聞いたら、なんで気になるのか聞かれるかもしれない。
もしかしたら、深堀しすぎて嫌われちゃうかもしれない。
ふと、私の脳裏にエリンさんの言葉が響いた。
『あくまでお嬢様と侍女。身分が違うんだから、馴れ馴れしくするのはあまり好ましく思われないから気をつけた方がいいのよ。』
『そう思うのは自由よ。でも、好ましく思わない方だっている。それは覚えておくのよ。』
「馴れ馴れしくするのは・・・あまり好まれない。」
ぽつり脳裏で響いた言葉の1部が口からこぼれる。
・・・・・・ルーシャ様は馴れ馴れしく・・・仲良くするのは、身分に差がある人とは仲良くなりたくないのかもしれない・・・。
もしかしたら、お城に行って、そんなことに気づいてしまったのかもしれない。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・私とは、もう、お話したくないのかもしれない。
・・・でも、私は、ルーシャ様と仲良くなりたい。
・・・沢山お話して、それから、スノードロップ畑を咲かせて、1番最初に見せたい。
不可能だったことができるって分かったら、きっと、たぶん、もしかしたら、勇気になるかもしれないって思うから。
でも・・・ルーシャ様からしたら、余計なお世話かな・・・?
昨日の折り紙も、もしかして、迷惑だった?
・・・・・・ううん!喜んでくれてた!!
大切にするって言ってくれた。
「・・・・・・・・・うううぅ。どうすればいいのぉ。」
人間関係がこんなに難しいなんて思わなかった。
人と人との気持ちに差があるなんて思わなかった。
どうすれば、どうすればルーシャ様と仲良く、そして、運命を変えられるのか・・・分からない。
分からないよ・・・。
何も出来ない、分からないことが悔しい。
自然と涙が出てきた。
「・・・ズッ・・・グスッ・・・どうすればぁ・・・いいのかなぁ・・・グスッ」
顔を疼くめて鼻をすする。
汚いけど、誰もいないからいいや。
それに、きっと、誰も来ない。
コンコンコンッ
そう思った瞬間、扉がノックする音が聞こえて、肩がビクッと上がった。
涙を拭って、扉から離れて返事をする。
「ど、どちらさまですか?」
「・・・ルーシャよ。リア、入っていいかしら?」
私は、扉から聞こえた声と名前に驚愕した。
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