らぶてぃ

古葉レイ

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らぶてぃ15

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「ぁっ、すごっ、きっ、ぐぅ」
「声っ、出す、なっ」

 先生が何かを言う。声が頭に届かない。馬鹿になる。あたし、馬鹿になっちゃう。
 先生のが、ゆっくりとあたしの中を出入りしてくる。あたしはその度に声を押し殺す。お尻に力が入らなくなって、ついに頭を床に落とす。
 あたしは先生に全体重を押し掛けられる。窮屈で切なくなる。

 動けなくて、苦しい。苦しくって、先生だけになる。
 あたしの感じる全てが、先生だけになる。

「せんっ、せぇ」

 あたしの呟きに、無重力が全身を突き抜ける。先生の手があたしの頬を撫でて、先生のが更に体積を増した気がした。
 あたしは満たされる。

「ぁっ、うぁっ、ああっ」

 先生のすごいので満たされる。あたしがすごくなる。先生でいっぱいになる。

「あ、あ、いいよう、きもちいいよう」
「ああ。柔らかいぞ、お前の」

 先生が笑い、あたしは照れた。
 今にも飛びそうな意識の中で、あたしはされていく。足先からお尻から腰から、先生の刺激であたしはむちゃくちゃにされていく。

「せんせ、いきそ」
「俺もだ、あき」

 あたしの呻きに、先生が応えてくれた。
 先生の腕に指を添える。先生の腰が、あたしのお尻を叩く。
 ぱん、ぱんと濡れた音がした。

「いぐっ」
「うっ」

 あたしと先生が同時に呻いて、身体から全部の力が抜け落ちる。

「いっ、いくぅぅううっ」
「くぅっ」

 あたしの中で、先生が跳ね続ける。先生のを股で感じながら、あたしは瞼を閉じて嗚咽を漏らす。今にも泣きそうな目元を手のひらで覆い、必死に声を押し殺す。
 床の上であたしは震えた。

 先生のはまだ、あたしに入ったまま。
 あたしのお尻と股は痙攣し続ける。先生の嗚咽が、微かに聞こえた。

 胸が、ときめいた。

「はぁっ、はぁ」

 零れそうな涙を手のひらで押さえながら、あたしは思う。

 渡さない。
 先生を、他の誰かになんて絶対に絶対に絶対に、渡さないっ。

 ○○○

「せんせ、テスト終わったら部屋、行っていい?」
「駄目だ」

 車のネオンが、前から後ろに抜けていく。赤色、黄色、青色の光がきらきらと点滅していて、車のライトが信号のように見えた。

 あたしは車の助手席に居座っていた。
 
 美術室を後にしたあたしは、途中まで徒歩で帰路についていた。人気のないところで先生の車が来て、あたしはそれに乗り込んだ。

 先生はあいかわらず、飄々としていてどこか冷たかった。
 けれどあの、数学の教科書を見てしまった以上、その冷たさに違う見方を見出してしまった。先生って、結構、いい人なんだなあと。
 
 あたしの為にこっそり勉強して、教えるポイントまで考えてくれていたんだ。たぶん凄く勉強したわけじゃなくて、思い出す程度なんだろうけれど。
 先生の気持ちが、素直に嬉しい。

「教師の部屋に生徒が来るなんて非常識だろ」
「誰にも見られないように行くから」
「駄目ったら、駄目だ」
「噂が立つから?」

 あたしはつい、そう聞いてしまう。先生が嘲笑う。

「そうだ」
「うまくするからっ」

 車の運転中、前を見ていてあたしを見てくれない先生は、何だか怖い。先生のチラ身は、あたしの心を弱くする。
 だんだん、我儘になっている自覚はある。あたしは、贅沢だ。
 ハンドルを握る先生が、小さく、零すような溜息を吐く。

「部屋、あんま片付いてないんだよ」

 と、男事情がここで浮上。

「は?」
「いや、だから汚いんだよ。片付いてなくて」

 先生が呟き、溜息を吐いた。酷く、子供っぽいいい訳だった。

 あたしは呆気に取られ、言葉を失った。

「それだけ?」
「嫌がる理由としちゃ充分だろ。そもそも、噂がどうのこうの言うなら、これもまずいだろ。でもお前を一人で帰らせる方が嫌だから、送ってるんだ」
「う」

 先生に言われて、あたしはやっぱり言葉を失う。そりゃ、そうですよね。噂とかだけで言うなら、そもそも、この送るのだってまずいよね。
 じゃあ、本当に部屋を見せたくないだけ?
 あたしはじっと先生の横顔を見る。先生が軽く目を伏せた。あ、恥ずかしがってる。
 あたしは俯き、ふと名案に思い至る。

「じゃあ、あたしが片付けてあげる」
「それじゃ意味ないだろ、馬鹿」

 先生が笑って、ハンドルから手を離した。信号が赤だった。煙草を咥えて、あたしに目配せして箱に戻した。別に、いいのに。

「えー、いいじゃん。生徒に部屋掃除してもらうとか、ちょっとよくない?」

 あたしの失笑に、先生がこつんと、あたしの頭を叩いた。軽い、お叱りだった。

「痛い」

 先生が、暗がりの中で小さく、本当にささやかに、照れた。


 うわ。
 先生、照れてる。

「女に自分の汚い部屋見られて喜ぶ男なんていねーよ」

 それは少し、先生らしくない言葉だった。あたしという生徒ではなく、彼女を前に、彼氏がやんわりと照れていた。
 あたしは、何だか胸がいっぱいになった。

「おんな……?」
「あれ、お前男だっけ?」

 なんて、先生に笑われた。
 いや、違うし。違うの、誰よりも知ってるのお前じゃん、とか思った。

「テスト、頑張ったらな」
「っ、へい」

 先生の言葉に、あたしは頷く。成績がいい、じゃなく頑張ったらな、か。先生の言葉を頭の中で三度、思い返す。

 うわ、それってだから。
 頑張れば、いいってことで。駄目と言われていないに等しいわけで。

「でもテスト、明日で終わりだけど」
「だから明日、頑張れって事だよ。特に、数学な」

 先生の言葉が、何とも子供っぽくて、にやけてしまう。

 これが、あたしの好きな人なんだ。
 あたしが愛し、恋する男性なんだ。

「帰り、飯食ってくか?」
「わーい。でも、おとーさんに怒られないかな」
「……とりあえず、着替えた方がいいか」
「それってまた、新しい服買うってこと?」
「しょうがないだろう? 安物な」

 先生が呻き、あたしが笑う。先生は肩を竦めながら、どこか楽し気に見えた。
 そんな大人な、先生が好きだ。

「最初の日みたいにお蕎麦がいい」
「残念、今日の気分はラーメンだ」

 先生が笑い、あたしは素直に「へーい」と返事した。
 あたしの恋は止まらない。たとえこれが病気でも、治るまでの恋だとしても。あたしは止める気は全然ないんだ。猪突猛進。鉄は熱いうちに打て。

「ラーメン、チャーシュー入れていい?」
「小食なお前が食えるならな」

 もちろん遠慮なんてしてらんない。
 思ったら、即行動。それが乙女の、恋事情。

「残したら食べてね」

 そう言ってあたしは笑った。先生は肩を竦めて無言の返事を返してくれた。

 ついでにあたしも、食べていいからね。
 そんな言葉を心で告げた。
 言ったら恥ずいなーと思った。

「どうした?」
「んーん」

 先生の横顔を見る特権を噛み締めながら、あたしはだから思うんだ。

 命、短し恋せよ乙女。
 だから恋せよ、乙女のあたし!

《終わり》
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