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新学期編

成瀬日和は中学生ではない

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「「本当すいませんでした!」」

教員室に俺と咲の声が響き渡る。

話は10分前に遡る。

「君たちは何をしているのかなぁ?」

「「?」」

話しかけられて一瞬体を縮めるが、時斗と咲の前に

いたのは、、、、

どう見ても中学生の女子生徒である。

「あぁ申し遅れたけど私はこの学校の教、」

「ここは篠山高校だよ?中学生には早いわ」

気を利かせた咲が校門まで手を繋いで案内する。案

外優しいところもあるのだ。

「て、ちょ、ちょっとまてぇぇぇぇ!」

と、いきなり中学生が暴れ出し、咲の手を振りほど

く。

「私はこの学校の教師だ!」

「「は?」」

涙目になった自称教師は、首にかけたネームプレー

トを見せる。たしかに成瀬日和、と書いてある。こ

れはやっちまったなぁ。

「教師を中学生扱いするとはなんのつもりだ?」

と、形成逆転の為か、幼い顔に、薄ら笑いを浮かべ

る。

それから10分、教員室での説教、つまり今に至る

のである。

「改めて、私は1年3組の新教師、成瀬日和だ」

「「は、はい!」」

成瀬先生は見た目は中学生なものの、赤い髪の毛を

ショートツインテールにしている。正直言って髪型

からして中学生だ。それに可愛い。

「と、なぜ星野くんと、川竹くんは入学式に参加し

ていないのかな?」

「「グッフォ」」

俺たちに10のダメージ、いやHPなんぼだよ!

「ていうか、先生なんで俺たちの名前知ってるんで

すか?」

「何?クラス分けの表を見ていないのか?君たちは

二人とも3組だよ?」

俺に1000のダメージ、咲はニマニマしている。す

ると咲が耳元で囁いてきた。

「忠邦様に計らってもらいました」

Oyajiiiiiiiiiiiiiii!!

それから5分入学の説明を聞いた。

「まぁ説教はこれぐらいにして、そろそろ入学式組

に合流しようか」

「「は、はい」」

いや、説教だったの?これ?どう聞いても入学説明

会だったんだけど。

その後、俺と咲と先生は教室に向かった。学校の施

設にしては随分と新しく、居心地はとても良かっ

た。3組の教室は一年生のフロアの真ん中に位置

し、1組と2組を通過する形となる。

やっとの事で3組についた俺達は、ドアを開ける。

そう!ここから俺の青春が始まるんだ。

「あ、あの人よ。このクラス唯一の遅刻者だから間

違いないわ。星野君よ」

「うわぁ、横にいる女の子達レベル高いな、お前喋

ってこいよ!」

「先生どこ?まさかの遅刻?誰か職員室まで行った

方がよくね?」

クラスはお祭り騒ぎ中だった。




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