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新学期編

川竹咲は時斗と一緒にいたい

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真立雪がかけて行った方向を見て俺は反省した。

「悪いことしちまったな」

折角の青春チャンスを無駄にしてしまった。同じ高

校だし後で一応声掛けとかねぇとな。

「てゆうか、とりあえずあの子が走って行った方向

に向かってみるか」

そう言って俺は彼女がかけて行った方向へ走ってみ

る。

結局俺が学校に着いたのは集合時間の20分後だっ

た。当たり前なのだが、人っ子一人いない。じっと

しているのが怖くなった俺は校門から入ってすぐの

ところにあるクラス分けの表に目を向けた。

「おお」

星野時斗の名前の下に真立雪があった。

星野のほ、と、真立のま、は考えてみれば近い。に

しても一緒のクラスとは、ついてるな。

「まぁそれは置いといて、一番の問題はこれからど

うするかだな」

教室に向かうか?それとも体育館?教員室に謝りに

行くか?そもそも入学式はどこでやっているのだろ

う。思考に陥っていると、

「あ、時斗様!早かったんですね。もう入っちゃっ

たのかと思ってましたよ」

幻覚が聞こえてきた。勿論俺を様付けとか一人しか

いないんだが、家でメイドの修行をしているはず

だ。

「なんで無視するんですか。時斗様」

「なんでお前いんだよ咲」

「忠邦様に学校に通う許可をいただいたんです」

何あげちゃってんの!?親父!?咲に甘すぎやしな

いか?

「今日からまた一緒ですね。私嬉しいです」

俺の思考は停止した。とりあえず状況を整理してみ

よう。

①俺は川竹咲と同じ高校だ。メイドなのに親父から

許可をもらった、と。

この際これはどうでもいいか。

②真立雪と一緒のクラスだ。アンド彼女には恐れら

れている。

これは心が痛い。だがそれと同じぐらい嬉しいな。

③学校に遅刻している。それも20分。

これだぁぁぁぁ!

「おいっ!咲、俺たち遅刻してんだぞ!やばくねぇ

か!?」

「そういえばそうでした!時斗様が来る20分前ぐ

らいに生徒達と親は体育館に向かってましたよ。ど

うしましょう!」

こいつもかぁーーー!まぁ俺を待っていてくれたん

だから文句言えないんだがな。

とにかく、これは本格的にまずいな。入学式が始ま

ってから、今で30分。途中で入るのは流石に緊張

する。しかも目立つ。

と、後ろから

「君たちは何をしているのかなぁ?」

話しかけられてしまった。




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