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新学期編

真立雪は関係を知りたい

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「トーキートーさーまー。おはようございまー

す。あなたの咲ですよ」

その声で目を覚ました俺は、体を起こそうとしても

体が動かないことに気づき、咲に乗られたことを自

覚する。

久々にやられたな。

昨夜理奈ちゃんからの電話の後、週末のデートのこ

とで頭がいっぱいになってしまい、夜更かしてしま

ったのである。

「時斗様。私はいつでも大丈夫ですよ?」

「なにがだよっ!」

そう言って咲から逃れ、朝ごはんを食べ、爺に送っ

てもらった俺は、睡眠不足でほぼ閉まってるまぶた

を強引にこじ開けながら三組に向かうのであった。

「ねぇねぇ時斗君。今週の土曜日うちの妹と遊びに

行くの?」

学校に行くと、雪がいきなり喋りかけてきた。緊張

は溶けたらしい。

「あ、あぁ、理奈がお礼したいって」

「へぇ?あの子がそんなに真剣に、、、もしかし

て、、、」

ん?なんかすげぇ顔で考えてるんですけど!?

「はーい、みんなー席についてねー」

先生が来て、授業が始まるのであった。

「えーっと、ここのこれがこーなって、、、」

先生が授業をしているが、耳に入らない。なぜな

ら、

「じぃー」 

「じぃー」

なんで二人とも俺をみてんの!?

咲は熱い視線を、これはどうもならんな。

雪は、、、なんの視線!?

「おい、雪?雪さーん?」 

だめだ。聞いてない。集中しすぎかよ。

「ちょっと!時斗くん聞いてる!?」

俺が先生に怒られてしまった。いや、俺が怒られる

のかよ!

「ねぇ時斗君、理奈とどうやって知り合ったの?」

昼休みに寝ている俺のところまで来ると、雪は俺に

質問した。

「あれ?理奈ちゃんから聞いてないのか?昨日

な、、、」

そう言って話すこと15分、土曜日のデート。いや

お礼の話まで行き着いた。我ながら良い説明だっ

た。

「へぇ、助けられた時に、、わけね」

ん?

俺は鈍感主人公でも、難聴主人公でもないつもりな

のだが、今の雪の言葉は全く聞こえない。

「なんか言ったか?」

「いいえ、なにもないわ土曜日、理奈のことよろし

くね」

「あぁ」

「おのぉ、時斗様?土曜日とはなんのことです

か?」

「!?咲か。びっくりしたぁ。土曜日に昨日助けた

理奈ちゃんが、、、、」

っと!あぶねぇぇぇぇ!こんなこと聞いたら咲が何

しでかすか分かったもんじゃねぇ。

「えーっとね、理奈が時斗君と一緒にお出かけする

のよ」

雪いいいいい!

「時斗様?」

咲が小首を傾げる。目がマジだ。人殺せるんじゃな

いか!?

「え、えっとな、これには事情が、、、」

やばいっ!誤魔化さないと!

「えー?時斗君女の子とデートするのぉー?」

先生である。被害が広まっちまったぁ!

だが、気付いた時には時すでに遅し。俺の周りに

は、病んでる目の美少女と、興味本位の目をした野

次馬二人。と、おおよそ最悪の事態が起きていた。

「「「「、、、、、、」」」」

気まずい。

「あ、あのぉ。!?」

三人が一斉にこっちを向く。こぇぇ。

俺はできるだけ分かりやすく理奈ちゃんとの連絡

について話した。










 
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