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新学期編

星野時斗は思い出したい 後編

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「買った」

そういうと、俺は財布からあるものを出す。お父

さんがいうにこれを使えばほとんどのものを買える

そうだ。

「お、お前何者だよ」

「いっくん、やばいよこいつ。あんなやつ捨ててさ

っさと帰ろーよ」

そう言って二人組は姿を消した。

「時斗様!」

二人が姿を消してから五分後彩たちが迎えに来た。

事情を説明すると、

「忠邦様に確認します。少々お待ちください」

そういうと、連絡を始めた。連絡に行ったことを確

認して、俺は少女の元へと向かった。

「もう大丈夫だからな」

「、、、、、」

彼女はだいぶ弱っているらしく、髪の毛もボサボサ

だった。今度あの二人に会ったらどうしてくれよう

か。

「忠邦様が連れて来てもいい、とおっしゃっていた

ので、とりあえずその子を連れて一旦家に帰りまし

ょう」

流石、親父だ。

家に帰るとすぐにその子を連れて親父のところまで

行った。

「時斗、よくやったな。お前は正しいことをした。

よくぞ、その子を守ったな」

親父は満面の笑みだった。

「うん!僕はいつだって正しいことをするって誓う

よ!」

「ところで、そこの君はこれからどうしたいのだ

ね?あ、その前に名前を聞いてなかったね。君の名

前は、、、」

「!?あ、ありません。わ、私はどれいなので」

親父は奴隷という言葉を聞いて一瞬顔が恐くなっ

た。俺も一緒の気持ちだ。だから、、

「俺が名前をつけるよ!」

「ほぉ」

「え、そんな自分になんてもったいない」

「そんなことないよ!考えておくから、お風呂に入

ってきたら?」

「それもそうだな。彩、案内してやれ」

「かしこまりました。こちらでございます」

そう言って彩は少女を連れて行った。

そして、俺もそれを見届けて部屋に戻るのであっ

た。ちなみに学校は休むつもりだ。

30分後、少女が上がってきた。綺麗な栗色の髪の

毛を彩に整えてもらっていた。そこでやっと気づ 

いたが、かなりの美少女である。花のような。

「!?咲だ!君の名前は川竹咲だ!」

突然の大声に咲はビクッと体を縮こませる。

「時斗様、いい名前ではありませんか?」

彩はそういうとにこりと微笑む。

「あ、ありがとうございます」

咲も嬉しそうだった。

その三日後、親父は川場見家を町から追い出した。

なんでも、潰したのだという。だが俺はそのことに

興味がなかった。

その時同時に咲が、俺たちと一緒に暮らせると聞い

たからである。咲自身が、決めたことだった。

そして咲はメイドになった。時は流れ今に至る。

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