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新学期編
星野時斗は思い出したい 前編
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「おはようございます。時斗様。朝ごはんの用意が
整っております。服はそこにおいてあるので着替え
ておりてきてくださいませ」
いつも通りの時間に俺のメイド、いや、お目付役で
ある、田山彩が起こしにくる。いつもの朝である。
ここ最近親父には、
「お目付役なしでも生活できる!」
と、言い張っているが、
「お前はまだ小四だろ?メイドさんに可愛がっても
らえよ?」
と、まるで相手にしてくれない。
朝ごはんを食べ終え、用意されたランドセルをも
ち、
「行ってきます」
そう言って玄関を出る。目の前に黒塗りの車。もち
ろんこれで登校、送ってもらうのである。
星野時斗、9歳の一日の始まりはいつもこの流れで
ある。
そんなある日、車が使えない日があった。車の下に
猫が入り込んだのである。
俺は、
「しょうがないから歩いて行くよ」
と言い、家を飛び出した。勿論心は踊っていた。
ルートはもう決めてある。いつも通らない道だ!
いつもより30分近く早く出たのだ。年に数回しか
ないこのチャンスを逃すわけにはいかない。
俺は走って小学校のあるはずの方向へ向かった。
「や、やばいな」
気がつくと知らない路地に来ていた。
すぐそこの大きな建物には笹山中学校と書いてあ
る。
ここどこだよっ!
こうなってしまうと少々惜しいが、彩に持たされた
電話で迎えに来てもらうしかない。
「もしもし、笹山中学校ってところで迷子になっち
ゃった。え?うん、わかった待っとくね」
彩によると、ランドセルに着いたじーぴーえすとい
うものですぐに発見して、迎えに来てくれるとのこ
とだった。
だが、もうすぐ来る拘束の時間を前に、もう少しだ
け満喫したいと思った俺は、そこらへんを散策する
ことにした。その時、、
「たす、けて」
かすれた声がして、とすん、と乾いた音を立て、少
女が目の前で倒れた。
「ど、どうしたんですか?」
とりあえず状況確認、目の前には少女、見たことは
ない、両手にとても重そうなビニール袋を持ったま
ま倒れていて、意識はかろうじてあるようだ。
そこまではいいのだが、
「おいおい、このチビ、もうくたばってやがる
ぜ?」
「ほんとだ、早く運べよ」
二人の野次馬、おそらく持たせている本人たちであ
る。
見た感じ小学五、六年生で、服装から、ここら辺の
セレブの子供だと分かった。
「何してるんですか?」
火を見るよりも明らかだが、万が一のため、確認を
する。
「親父に買い物頼まれたからよ、こいつに持たせて
んだ」
「そうそう」
「この子が可哀想とかは思わないんですか?」
「ふっ、おもしろいこというなぁ。庶民のくせして
川場見家に楯突いてんじゃねぇよ。ていうかこいつ
人じゃねぇし」
「お父さん奴隷って言ってたよな」
奴隷、川場見家、おそらくお金持ち同士で人身売買
をしたのだろう。小学四年生でもこのくらいはわか
る。
「へぇ、じゃあその子の価値はどのくらいなんです
か?」
「何こいつ。超面白いんだけど」
「一千万円だよ!お前に払えるわけないだ、、」
「買った」
整っております。服はそこにおいてあるので着替え
ておりてきてくださいませ」
いつも通りの時間に俺のメイド、いや、お目付役で
ある、田山彩が起こしにくる。いつもの朝である。
ここ最近親父には、
「お目付役なしでも生活できる!」
と、言い張っているが、
「お前はまだ小四だろ?メイドさんに可愛がっても
らえよ?」
と、まるで相手にしてくれない。
朝ごはんを食べ終え、用意されたランドセルをも
ち、
「行ってきます」
そう言って玄関を出る。目の前に黒塗りの車。もち
ろんこれで登校、送ってもらうのである。
星野時斗、9歳の一日の始まりはいつもこの流れで
ある。
そんなある日、車が使えない日があった。車の下に
猫が入り込んだのである。
俺は、
「しょうがないから歩いて行くよ」
と言い、家を飛び出した。勿論心は踊っていた。
ルートはもう決めてある。いつも通らない道だ!
いつもより30分近く早く出たのだ。年に数回しか
ないこのチャンスを逃すわけにはいかない。
俺は走って小学校のあるはずの方向へ向かった。
「や、やばいな」
気がつくと知らない路地に来ていた。
すぐそこの大きな建物には笹山中学校と書いてあ
る。
ここどこだよっ!
こうなってしまうと少々惜しいが、彩に持たされた
電話で迎えに来てもらうしかない。
「もしもし、笹山中学校ってところで迷子になっち
ゃった。え?うん、わかった待っとくね」
彩によると、ランドセルに着いたじーぴーえすとい
うものですぐに発見して、迎えに来てくれるとのこ
とだった。
だが、もうすぐ来る拘束の時間を前に、もう少しだ
け満喫したいと思った俺は、そこらへんを散策する
ことにした。その時、、
「たす、けて」
かすれた声がして、とすん、と乾いた音を立て、少
女が目の前で倒れた。
「ど、どうしたんですか?」
とりあえず状況確認、目の前には少女、見たことは
ない、両手にとても重そうなビニール袋を持ったま
ま倒れていて、意識はかろうじてあるようだ。
そこまではいいのだが、
「おいおい、このチビ、もうくたばってやがる
ぜ?」
「ほんとだ、早く運べよ」
二人の野次馬、おそらく持たせている本人たちであ
る。
見た感じ小学五、六年生で、服装から、ここら辺の
セレブの子供だと分かった。
「何してるんですか?」
火を見るよりも明らかだが、万が一のため、確認を
する。
「親父に買い物頼まれたからよ、こいつに持たせて
んだ」
「そうそう」
「この子が可哀想とかは思わないんですか?」
「ふっ、おもしろいこというなぁ。庶民のくせして
川場見家に楯突いてんじゃねぇよ。ていうかこいつ
人じゃねぇし」
「お父さん奴隷って言ってたよな」
奴隷、川場見家、おそらくお金持ち同士で人身売買
をしたのだろう。小学四年生でもこのくらいはわか
る。
「へぇ、じゃあその子の価値はどのくらいなんです
か?」
「何こいつ。超面白いんだけど」
「一千万円だよ!お前に払えるわけないだ、、」
「買った」
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