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新学期編

川竹咲はヤンデレである

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今なんて?

「わ、私です。四番です」

消え入りそうな声で杏が自己主張する。

「「、、、、」」

ふと辺りを見回すと、咲と日和の目が点である。

「まぁ王様命令だしな。杏、ちょっとの間我慢して

くれ」

そう言い俺は杏に抱きつく。

「ふぁ!?」

杏の顔が真っ赤になり、鼓動が伝わってきそうだ。

ていうか、俺も緊張してきた。

「むむむむむ」

日和がこっちを羨ましそうな顔で見てくる。

それとは対照に咲は、、、、

「時斗様。遺言はありませんか?」

やんでるううう!

「お、落ち着けって咲。あと二人の間だけだか

ら!」

「つ、次は私ですね」

すぐ前にいる杏が焦りながら喋る。

「三番は王様ゲームが終わるまで、二番に抱きつ

く」

ロクに考えることができなかったんのか、前と一緒

の命令だ。

「私三番なんだけど」

日和が言う。

それ以降二番が出ない。俺の顔を、冷や汗がつた

る。俺はまだ見ていないのだ。

恐る恐る札を見る。

俺の脳は停止した。嘘だろおおおおお!

「に、二番だ」

諦め、報告する。

日和が飛びついてきた。当然これで俺は二人に囲ま

れる形となった。

やばいっ!これはやばいって!

咲はと言えば、

ぎぎぎぎ、、、ぎぎぎぎぎ。

包丁を研いでいた、、、、、、。

「ちょ!落ち着けって。咲!」

「さ、咲さん!落ち着いて!つ、次は私ですね!」

日和!早く終わらせろ!

「咲さんは三番にのしかかる!」

何言ってんじゃぼけええ!

てか咲個人名ダメだろ!しかも俺の札思いっきり見

てから言っただろ!

「三番誰ですか?、、、、、、」

「ひぃ。お、俺だ」

咲の顔が途端に明るくなる。

「そうですか!、、えいっ!」

掛け声と同時に咲が俺に上から抱きついてきた。

やばいっ!全方面から色んな感触が!?

「王様ゲーム終わりっ!ちょっとトイレ!」

俺は走って部屋を出て、ホテルからも飛び出した。

「はぁ、はぁ、疲れた」

そして五分ほどが過ぎた頃だった。

何やら騒がしい声が聞こえてきた。

「あんた最近調子のってんでしょ!」

「身の程をわきまえろよ」

「ん?いじめか?」

合宿でいじめがあったりすると、来年からなくなる

可能性の一つとなる。

止めに行くか。

声のいる方に行き、草陰から様子を見る。

「あんたちょっと助けてもらっただけで私たちから

逃げれると思ってんの?」

「そうそう、俺たちのおもちゃがなくなっちまうだ

ろ?」

「ハハは。そうだな」

「今までは体に手出ししなかったけど今日行っとく

か?」

見る限り男子三人、女子二人に、いじめられっ子一

人といったところか。

「いいな。こいつ顔はいいもん」

「美乃梨。真紀。こいつ押さえててや」

「いいよー」

「あんたいいねぇ。こいつらに処女捧げられるんだ

よー」

「やめてっ!」

なんかヒーロー気取りで嫌だけど、行くか。

「なぁ、ちょっと待ってくれよ」





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