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20.冒険者Ⅲ
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「おいおい俺らにも見せろよな、訓練所内だったら俺らが見えないだろが!」
野次馬の冒険者たちがはやし立てる。
訓練所は外部から見えないのか?
「うるせー!てめぇらには関係ない、こいつをぶっ殺すだけだ」
ライツは怒りの為か顔が真っ赤だ。
「駄目ですよー殺人はあまり良くないですよー」
受付嬢が全く止める気のなさそうな声を上げて、とりあえず止めたと言う事をアピールするためだけのように感じた。
殺人をあまり良くない程度で終わらすとか……怖すぎるだろう?
「私は坊やが負けるのに90ゴルドかけるよ」
ニコーラは戦士でビキニアーマー着ているから、その筋肉質な身体を晒している。赤毛の美人でノンケが見たら欲情するだろうが、俺には全く興味が無い。
「僕もライツに50ゴルドだな」
ギャンはすかした顔をしてニヤニヤしながらこちらを見ている。ギャンの見た目は銀髪でカッコイイが、少し意地が悪そうな吊りあがった目をしている。
革で出来た胸当てを付けていて、確か職業は剣士。剣士のスキルは『剣士の一撃』要は使うとクリティカルヒットを出せる。
「コリンもライツさんに10ゴルドをかける」
緑色の髪をしたコリン。世間一般的には美人の認識ぐらいの顔だろう。魔法使いで確かスキルが『魔法使いの奇跡』で魔法の効果を倍増できる。
黙って見ているリコは、可愛い顔をしている美少女で、青色の髪をしている。
探索者と言う職業で『探索者の瞳』と言うスキル持ちで敵の位置や罠がわかるという能力だ。便利だからゲーム的には仲間にしたほうがいいだろう。
……だがしかし、こいつらは仲間にする気は全くない。
こんなリアルの世界で、女キャラなんか必要ないし仲間としては要らない。リコのスキルは役には立つが、俺にはそのスキルと同じ効果を持つアイテムをすでに持っているので必要ない。
唯一の男であるギャンは仲間にするとニコーラがおまけで付いてくる。ニコーラは暴力的なので一緒にはいたくない。そして一度仲間になると、仲間から追い出せないので消すためには殺すしかない。
ゲームの中ならともかく、こんなリアルな状態なのにワザと殺すのは気が引ける。
そしてそこまでしてギャンは欲しいわけではない。顔はいいが俺のタイプではない。
それとギャンは、一周目の時ならば仲間がいなくて戦える武器もアイテムも無いから仲間としてはかなり重宝するが、二周目以降は平凡な能力とつかえないスキルですぐに倉庫番になるキャラだ。
「バカだなあいつに誰もかけないのか? カケになんねぇーぞ」
「誰もかけねぇーよあんなガキにはガッハハハハハ」
名前も知らない中年男性のNPC達が言っている。顔的にも性格的にも仲間にする気が全く起こらないNPC達だ。
俺が欲しいのはこのライツだけだ。
チンピラみたいな風貌だが、顔はなかなかいい顔立ちをしていて頬にある傷さえもいいアクセントになっている。
ゲーム上では仲間にすることが出来なかったから、絶対にゲットしてやるぞ。
訓練所に着く。
中に入ると20畳ほどの広さで、石畳が敷かれ岩で囲まれている。
5メートルほどの高さの天井があり、ドアを閉めると密室空間で外部からのは見えなくなっている。
俺が珍しそうにキョロキョロしていると、ライツ怒鳴ってきた。
「なにキョロキョロしてんだ! 死に場所の確認か? ここでぶち殺してやるからな!」
「そっちを殺す気はないよ、まだ殺人をするつもりは無いからね」
俺は壁に立てかけてあった木剣を手に取ると、ライツにも掘り投げる。
だがしかし、ライツはその木剣を手で叩き落とす。
「真剣勝負だ、こんななまっちょろいことするか!」
鞘から剣を抜く。
「だから、俺は武器も持ってないのに自分だけ真剣と鎧を着て恥ずかしくないのですか? いい大人なのにね」
俺がやれやれだぜとばかりに手を上に向けると、顔を真っ赤にする。
「貴様……」
ライツは落とした木剣を拾うと、俺を木剣で斬りかかってくる。
カッツン
俺は必死でそれを受け止めると、後ろに逃げる。
ゲゲッ、強い。
ライツはめちゃくちゃに力がある。
レベル差が関係ないじゃん!
……と言うか、これって俺が負けるぞ。
レベルが俺の方が上だから、圧倒的に勝てるかと思ったら全然甘かった。
いや……俺の見かけは15歳になったばかりの少年で、ゼンの手伝いをする以外の筋肉はついてない。
どちらかというと育った環境の所為か、ヒョロヒョロの痩せている身体をしている。
それに比べて、目の前のライツは筋肉質で太い腕をしている。どう見ても栄養状態もいいし、筋トレはしているような肉体だ。魔物との戦闘をして鍛え抜かれた身体をしている。
そういえばダカンが言っていたことがある。
魔物を倒すことでレベルアップして強くなるが、他にも強くなる方法があると言っていた。
それが筋肉だ。
肉体を鍛えればその分強くなるが、それはステータスには反映はされていない。
だからゼンとかはレベルが低いが、それなりの重い物とかを持ち上げていたりしていた。
「おらっ」
俺はライツからの攻撃を受け止めるのが精一杯で、必死に逃げる。
ヤバイ、何とかレベル16のステータスのおかげで受けているが、このままだと大怪我するか死ぬぞ。
「痛っ」
今、腕を斬りつけられた。
木剣とは言え、こっちは鎧を着ていないから当たりどころが悪ければ、間違いなく怪我どころか死んでしまうぞ。
ヤバイ。
「からかって悪かったな、成人になったばかりの子供相手に大人気ないぞ」
「うるせぇ、ぶっ殺してやる」
カラン
俺の木剣を巻き取るようにして、弾き飛ばす。
やべっ!
「大人を舐めるとどうなるか教えてやる」
目をギラギラさせたライツが、ジリジリと俺を壁際に追い詰める。
うわぁー、元々性格の悪いキャラで、後々逆恨みして敵になって襲ってくるような奴だ。
本当に殺される!
まだセーブもしていない。
ここのゲームにコンティニューも無いから、セーブをしてなかったらスタートから始めるしかない。
……いやスタートから始まればいいが、このゲームは死亡からの復活はない。
「そろそろ死ぬ準備出来たか!」
ライツの残虐そうな目で俺を睨みつけていた。
野次馬の冒険者たちがはやし立てる。
訓練所は外部から見えないのか?
「うるせー!てめぇらには関係ない、こいつをぶっ殺すだけだ」
ライツは怒りの為か顔が真っ赤だ。
「駄目ですよー殺人はあまり良くないですよー」
受付嬢が全く止める気のなさそうな声を上げて、とりあえず止めたと言う事をアピールするためだけのように感じた。
殺人をあまり良くない程度で終わらすとか……怖すぎるだろう?
「私は坊やが負けるのに90ゴルドかけるよ」
ニコーラは戦士でビキニアーマー着ているから、その筋肉質な身体を晒している。赤毛の美人でノンケが見たら欲情するだろうが、俺には全く興味が無い。
「僕もライツに50ゴルドだな」
ギャンはすかした顔をしてニヤニヤしながらこちらを見ている。ギャンの見た目は銀髪でカッコイイが、少し意地が悪そうな吊りあがった目をしている。
革で出来た胸当てを付けていて、確か職業は剣士。剣士のスキルは『剣士の一撃』要は使うとクリティカルヒットを出せる。
「コリンもライツさんに10ゴルドをかける」
緑色の髪をしたコリン。世間一般的には美人の認識ぐらいの顔だろう。魔法使いで確かスキルが『魔法使いの奇跡』で魔法の効果を倍増できる。
黙って見ているリコは、可愛い顔をしている美少女で、青色の髪をしている。
探索者と言う職業で『探索者の瞳』と言うスキル持ちで敵の位置や罠がわかるという能力だ。便利だからゲーム的には仲間にしたほうがいいだろう。
……だがしかし、こいつらは仲間にする気は全くない。
こんなリアルの世界で、女キャラなんか必要ないし仲間としては要らない。リコのスキルは役には立つが、俺にはそのスキルと同じ効果を持つアイテムをすでに持っているので必要ない。
唯一の男であるギャンは仲間にするとニコーラがおまけで付いてくる。ニコーラは暴力的なので一緒にはいたくない。そして一度仲間になると、仲間から追い出せないので消すためには殺すしかない。
ゲームの中ならともかく、こんなリアルな状態なのにワザと殺すのは気が引ける。
そしてそこまでしてギャンは欲しいわけではない。顔はいいが俺のタイプではない。
それとギャンは、一周目の時ならば仲間がいなくて戦える武器もアイテムも無いから仲間としてはかなり重宝するが、二周目以降は平凡な能力とつかえないスキルですぐに倉庫番になるキャラだ。
「バカだなあいつに誰もかけないのか? カケになんねぇーぞ」
「誰もかけねぇーよあんなガキにはガッハハハハハ」
名前も知らない中年男性のNPC達が言っている。顔的にも性格的にも仲間にする気が全く起こらないNPC達だ。
俺が欲しいのはこのライツだけだ。
チンピラみたいな風貌だが、顔はなかなかいい顔立ちをしていて頬にある傷さえもいいアクセントになっている。
ゲーム上では仲間にすることが出来なかったから、絶対にゲットしてやるぞ。
訓練所に着く。
中に入ると20畳ほどの広さで、石畳が敷かれ岩で囲まれている。
5メートルほどの高さの天井があり、ドアを閉めると密室空間で外部からのは見えなくなっている。
俺が珍しそうにキョロキョロしていると、ライツ怒鳴ってきた。
「なにキョロキョロしてんだ! 死に場所の確認か? ここでぶち殺してやるからな!」
「そっちを殺す気はないよ、まだ殺人をするつもりは無いからね」
俺は壁に立てかけてあった木剣を手に取ると、ライツにも掘り投げる。
だがしかし、ライツはその木剣を手で叩き落とす。
「真剣勝負だ、こんななまっちょろいことするか!」
鞘から剣を抜く。
「だから、俺は武器も持ってないのに自分だけ真剣と鎧を着て恥ずかしくないのですか? いい大人なのにね」
俺がやれやれだぜとばかりに手を上に向けると、顔を真っ赤にする。
「貴様……」
ライツは落とした木剣を拾うと、俺を木剣で斬りかかってくる。
カッツン
俺は必死でそれを受け止めると、後ろに逃げる。
ゲゲッ、強い。
ライツはめちゃくちゃに力がある。
レベル差が関係ないじゃん!
……と言うか、これって俺が負けるぞ。
レベルが俺の方が上だから、圧倒的に勝てるかと思ったら全然甘かった。
いや……俺の見かけは15歳になったばかりの少年で、ゼンの手伝いをする以外の筋肉はついてない。
どちらかというと育った環境の所為か、ヒョロヒョロの痩せている身体をしている。
それに比べて、目の前のライツは筋肉質で太い腕をしている。どう見ても栄養状態もいいし、筋トレはしているような肉体だ。魔物との戦闘をして鍛え抜かれた身体をしている。
そういえばダカンが言っていたことがある。
魔物を倒すことでレベルアップして強くなるが、他にも強くなる方法があると言っていた。
それが筋肉だ。
肉体を鍛えればその分強くなるが、それはステータスには反映はされていない。
だからゼンとかはレベルが低いが、それなりの重い物とかを持ち上げていたりしていた。
「おらっ」
俺はライツからの攻撃を受け止めるのが精一杯で、必死に逃げる。
ヤバイ、何とかレベル16のステータスのおかげで受けているが、このままだと大怪我するか死ぬぞ。
「痛っ」
今、腕を斬りつけられた。
木剣とは言え、こっちは鎧を着ていないから当たりどころが悪ければ、間違いなく怪我どころか死んでしまうぞ。
ヤバイ。
「からかって悪かったな、成人になったばかりの子供相手に大人気ないぞ」
「うるせぇ、ぶっ殺してやる」
カラン
俺の木剣を巻き取るようにして、弾き飛ばす。
やべっ!
「大人を舐めるとどうなるか教えてやる」
目をギラギラさせたライツが、ジリジリと俺を壁際に追い詰める。
うわぁー、元々性格の悪いキャラで、後々逆恨みして敵になって襲ってくるような奴だ。
本当に殺される!
まだセーブもしていない。
ここのゲームにコンティニューも無いから、セーブをしてなかったらスタートから始めるしかない。
……いやスタートから始まればいいが、このゲームは死亡からの復活はない。
「そろそろ死ぬ準備出来たか!」
ライツの残虐そうな目で俺を睨みつけていた。
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