瞳の代償 〜片目を失ったらイケメンたちと同居生活が始まりました〜

Kei

文字の大きさ
1 / 15
第1章

しおりを挟む
セミが激しく鳴き始め、ムワッとした熱気が立ち込めるライブハウス。普段から賑やかなその会場は一転して騒然とした雰囲気に包まれていた。









覚えているのは視界を染め上げる赤と体に走った鋭い激痛。そして、俺の名を悲痛に叫ぶ親友の声。最後に一瞬何かを言おうとした口を見つめて俺の意識は遠のいていった。











事の発端は大学2年の試験が無事終わり、夏休みが始まってからすぐに起こった。それは数日前に遡る。
その日はバイトが終わり家に帰ってる途中、幼い頃からの親友、斎藤大貴から電話がかかってきた。

「大貴?どうした?」と第一声を発すると電話口から低い声が聞こえた。

『あ、水樹?今大丈夫か?』

「うん、へーきだよ。今バイトから帰ってる途中」

『……1人か?』

「?うん」

『はぁ、あれほど夜の道を1人で歩くなと行ってるのになんでお前は1人で帰ってるんだ  危ないだろ?』

「へーきだよ、まだそんなに暗くないし    それに俺男だよ?」
そう、聞いてわかる通り大貴は過保護だ。超が付くほどの。

『お前はそろそろ自分の顔を自覚しろ、ただでさえ一人暮らしなんだから。とにかく今後絶対に1人で歩くなよ!連絡くれれば俺が迎え行くから』と呆れたように言った。顔?俺の顔がどうしたんだ、平々凡々な顔してるのはわかってるよ!大丈夫

話題を変えなければ延々と説教が続いていってしまう。現に今もこれだから無自覚はとか、俺がどれだけ気を使っているかとかこんこんと話している。機嫌悪いのか?カルシウム食べろよ!

「ところでなんで電話してきたの?」

『あ、ああ。そうだった、忘れてた。水樹来週の日曜日暇か?夕方から俺の知り合いがやってるライブハウスで人気のバンドがライブやるらしいんだけど、そこのチケットもらっちまって。よかったら一緒に行かないか?』

ライブ?珍しいな大貴がそういうの誘ってくれるなんて。いつもは日が暮れる前にはアパートの扉前まで送って来るくせに、お前は彼氏か  ってそうじゃなくて

「ライブ!?行く行く!俺そういうの言ったことないんだよね!バンドとか楽しそー  絶対行くよ!」と即答した俺に対し大貴は少し笑いながら『よかった。お前がOK出さなきゃ1人で行くところだった』と言った。たしかに1人でライブはきついな

『日時とか集合場所はまたメールするな』

と話してからはコロコロと話題が変わり俺のアパートに着くまで続いた。何回か切っても大丈夫だよ、と言ったが部屋着くまで話してる、もう暗いし危ないだろと返された。

だからお前は彼氏か





部屋についてから先にシャワーに入り汗を流した。一人暮らしを始めてはや一年と半年。随分この暮らしにもなれてきた。料理は小さい頃からやってきたからなんとかなったがバイトと学業の掛け持ちがなんとも難しかった。都内のアパートは一人暮らし用とはいえなかなかな値段である。仕送りはあるとはいえあまりそれを使いたくなかった。一人暮らしは家族からの大反対を受けた中で、さっさと都内の大学に合格し有無を言わさず引っ越してしまった。最後まで兄は反対していたが今では親からの仕送りに負けないほどのお金を送ってもらっている。

そう、兄も負けず劣らず過保護である。6歳も離れているから仕方がないのかもしれないが、こちとらもう二十歳の立派な成人。何がそんなに心配なのやら。俺の親は母父ともに健在で今でもラブラブいちゃいちゃしている。母は五十代とは思えないほどの美人で未だに三十代と間違えられていたりする。父は渋めのダンディーなおじさまで中年太りなにそれ、な引き締まった体格をしている。身長は184cmと高く、俺は最近やっと170cmに届いた。断然俺は母親似だ。解せぬ。

そして兄弟は上に兄がいて、下に妹がいる三人兄弟である。仲は良く昔は3人一緒に風呂に入ったものだ。


そんなことを考えながら1人でシャワーを終わらせ火照った体をクーラーで冷ましながら夕飯作りを始めた。











ちなみに今夜の夕飯はアクアパッツアと鮭のクリーム煮である。








しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

劣等アルファは最強王子から逃げられない

BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。 ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。

側妻になった男の僕。

selen
BL
国王と平民による禁断の主従らぶ。。を書くつもりです(⌒▽⌒)よかったらみてね☆☆

うちの前に落ちてたかわいい男の子を拾ってみました。 【完結】

まつも☆きらら
BL
ある日、弟の海斗とマンションの前にダンボールに入れられ放置されていた傷だらけの美少年『瑞希』を拾った優斗。『1ヵ月だけ置いて』と言われ一緒に暮らし始めるが、どこか危うい雰囲気を漂わせた瑞希に翻弄される海斗と優斗。自分のことは何も聞かないでと言われるが、瑞希のことが気になって仕方ない2人は休みの日に瑞希の後を尾けることに。そこで見たのは、中年の男から金を受け取る瑞希の姿だった・・・・。

深夜零時

立樹
BL
早川准は、小野田万里と同居していた。 その万里が最近帰ってくるのが遅い。それに、お酒も飲んでいるようだった。 零時に帰ってきた万里に、同居を解消しようと提案され…。 寸劇です。

【BL】捨てられたSubが甘やかされる話

橘スミレ
BL
 渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。  もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。  オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。  ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。  特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。  でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。  理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。  そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!  アルファポリス限定で連載中

小悪魔系世界征服計画 ~ちょっと美少年に生まれただけだと思っていたら、異世界の救世主でした~

朱童章絵
BL
「僕はリスでもウサギでもないし、ましてやプリンセスなんかじゃ絶対にない!」 普通よりちょっと可愛くて、人に好かれやすいという以外、まったく普通の男子高校生・瑠佳(ルカ)には、秘密がある。小さな頃からずっと、別な世界で日々を送り、成長していく夢を見続けているのだ。 史上最強の呼び声も高い、大魔法使いである祖母・ベリンダ。 その弟子であり、物腰柔らか、ルカのトラウマを刺激しまくる、超絶美形・ユージーン。 外見も内面も、強くて男らしくて頼りになる、寡黙で優しい、薬屋の跡取り・ジェイク。 いつも笑顔で温厚だけど、ルカ以外にまったく価値を見出さない、ヤンデレ系神父・ネイト。 領主の息子なのに気さくで誠実、親友のイケメン貴公子・フィンレー。 彼らの過剰なスキンシップに狼狽えながらも、ルカは日々を楽しく過ごしていたが、ある時を境に、現実世界での急激な体力の衰えを感じ始める。夢から覚めるたびに強まる倦怠感に加えて、祖母や仲間達の言動にも不可解な点が。更には魔王の復活も重なって、瑠佳は次第に世界全体に疑問を感じるようになっていく。 やがて現実の自分の不調の原因が夢にあるのではないかと考えた瑠佳は、「夢の世界」そのものを否定するようになるが――。 無自覚小悪魔ちゃん、総受系愛され主人公による、保護者同伴RPG(?)。 (この作品は、小説家になろう、カクヨムにも掲載しています)

捨てられた生贄オメガ、魔王城で極上の『巣作り』始めます!~不眠症の魔王様、私のクッションで爆睡して溺愛モードに突入~

水凪しおん
BL
「役立たずのオメガ」として冷遇され、血も涙もない魔王への生贄として捨てられたリノ。 死を覚悟して連れてこられた魔王城は、寒くて硬くて、居住性最悪のブラック環境だった!? 「こんなところで寝られるか!」 極限状態で発動したオメガ特有の『巣作り本能』と、神業レベルの裁縫スキルが火を噴く! ゴミ同然の布切れをフカフカのクッションに、冷たい石床を極上のラグマットにリフォーム。 すると、不眠症で常にイライラしていた魔王ザルドリスが、リノの作った「巣」のあまりの快適さに陥落してしまい……? 「……貴様、私を堕落させる気か」 (※いいえ、ただ快適に寝たいだけです) 殺されるどころか、魔王様に気に入られ、気付けば城中がリノの虜に。 捨てられた生贄オメガが、裁縫一つで魔王城を「世界一のマイホーム」に変える、ほのぼの逆転溺愛ファンタジー!

残念でした。悪役令嬢です【BL】

渡辺 佐倉
BL
転生ものBL この世界には前世の記憶を持った人間がたまにいる。 主人公の蒼士もその一人だ。 日々愛を囁いてくる男も同じ前世の記憶があるらしい。 だけど……。 同じ記憶があると言っても蒼士の前世は悪役令嬢だった。 エブリスタにも同じ内容で掲載中です。

処理中です...