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第1章

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目が熱い。泣きすぎたかな、と右目に触れようとすると大貴が慌てて優しくタオルで涙を拭いてくれた。

「少し腫れてるな。冷やすものもらってくる。他に何か必要なものとかあるか?なんでも言ってくれ」と心配そうに見つめてくる大貴におれは疑問に思ったことをいくつか質問した。










この病院はライブハウスからほど近いところにあり、緊急搬送されて運ばれてきたようだ。家族全員に連絡がいったそうだがなにぶん距離があるためまだ着かない。明日の朝一で東京につき、お見舞いに来てくれると大貴から聞いた。


おれが片目なくしたことどう思うかな


とちょっぴり不安に思いなが窓の外を眺める。


あの後のライブ会場は騒然としていたそうだ。演奏を中止し混乱しているお客さんたちに説明をしてそのあとにも公演があったらしいが急遽中止になった。あのバンドのイケメンさんたちも呆然としていたがスタッフさんに促されて会場を後にしてマネージャーさんのような人と一緒に救急車近くまで来たそうだが救急隊員に止められ何より大貴が拒否してついては来なかったらしい。なぜか聞くとお前を傷つけた相手を近づけたくない。たとえわざとじゃなかったとしてもと優しく笑いながらおれの頭を撫でた。少ししたら謝罪に来たいと言っていたぞとおれを不安そうに覗き込みながら大貴は続けた。

?なんか距離近くないか?はっ、これが片目しか見えない距離感か!?


それにしても謝罪か、あのイケメンさんたちがこの病室に来る、、ちょっと緊張する。この1人部屋の病室も、入院費や治療代も全てあちらが請け負ってくれてるらしい。


「はぁ、」
それにしてもなかなか片目だけで物を見るのってすごい疲れるんだな。右目をぎゅっとつぶり手で覆う。それに範囲が狭い。左側が全く見えないから首を回してから見ないといけないし、こんなんで生活していけるかな。と考えていると扉をノックする音が聞こえ大貴が入るぞーと言って入ってきた。俺、いいよって言ってないのにノックの意味ある?


「ほれ、これ冷やすやつな。それと水買ってきた。飲めるか?」とペットボトルを差し出してきた。俺は普段通りにありがとと言い受け取ろうとペットボトルを掴むが手は宙をきり掴むことができなかった。

「あ、悪い」と大貴が俺の手を掴みペットボトルを握らせてくれた。

「…ほんとに距離感が難しんだね」とペットボトルを見つめながら呟いた。

「そう、みたいだな…。 なぁ、水樹。俺、水樹のために何ができるかってさっきからずっと考えてた」大貴を見ると強い意志を感じる瞳でこちらを見ている。

「?なに?、っていうかそんな責任感じなくていいって言ったじゃん。それにさっき言ったでしょ?もう謝んなくていいって。もし次そんなこと言ったら口きかないからね!」といつまでたっても申し訳なさそうにする大貴にプンプンと怒る。

すると大貴は焦ったように「あ、ああもう謝らない。そのかわり、もし水樹さえ良ければ一緒に、暮らさないか?その、俺が水樹の片目になって支えるから。せめて水樹が生活に慣れるまでは!…なぁ、どうだ?」と聞いてきた。


「大貴と、暮らす?俺が?でも、そんなの申し訳ないよ。それに……」と断ろうとすると大貴が被せるように言った。

「返事は、すぐに出さなくていい。まだ目が覚めたばかりだし考えなければいけないこともある。落ち着いてきたらまた聞くから」


「…うん、わかった。ありがと」とはにかみながら俯いた。


「ほら水飲んでもう少し寝た方がいい。疲れただろ?何か食いたいものあるか?先生は食べられるなら食べていいって言ってたぞ」

水を飲みながら考えるがいまいちお腹は空いていない。それよりも肉体的ではなく精神的に疲れたのか少しずつ眠たくなってくる。

「うぅん、いまはへーき。」
と言ってあくびをすると大貴が俺を寝かしつけ肩まで布団をかけてくれる。

「だいき」と呼ぶと、ん?と優しく答えてくれる。それに少し安心してゆっくりと微睡みの中に沈んでいった。











やっぱり大貴、距離感近いよな?片目が見えないからか?










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