運命の番はお尋ね者

志熊みゅう

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 風邪が治って、薬局に復帰すると、レーヴィは毎日、何か都合を作っては、私の顔を見に薬局に訪れた。ある日はポーションを買い、ある日は私に花を届け、またある時はミロを預かって遊んでくれた。特に助かったのは、満月の夜だ。やはり、狼獣人の特性は我々猫獣人には分からないこともある。一晩、レーヴィが預かってくれるのだが、最近はパパのところに行けると、ミロがうれしそうにしている。昔はあれだけ満月を嫌がっていたのに。

 また少し閉鎖的なところがあるキッサ村に、彼はすぐに馴染んだ。冒険者マインドから困っている人を見過ごせないらしく、よく人助けもしている。村の爺婆が「いい男じゃないか、早く結婚したらどうだい。」などと声をかけるようになった。

 それとダンジョンのスタンピードは、奥にまだ未到の部屋があり、その部屋の封印が解けかけているのが原因だった。レーヴィたち上級冒険者によって、無事踏破され、スタンピードも治まった。

 スタンピードが治まると、冒険者たちはまたそれぞれのテリトリーに帰っていた。でもレーヴィは村に残った。彼クラスの冒険者なら、村の初級~中級レベルのダンジョンよりも、もっと難易度の高いダンジョンで依頼を片付けた方が割がいいはずである。易しい依頼を数こなして、報酬を得るのも悪くはないが、少しもったいない気がした。

「あなたの実力なら、もうこの村に残る必要はないんじゃないの?」

「俺はあのダンジョンのスタンピードを止めるためにこの村に来たけれど、今はここにいるのは君たちがいるからだ。ソニヤ、愛している。」

「ねえ、前から気になっていたんだけど、薬の効果であなたも番の匂いを感じないはずよね?番の匂いがしないのに、私のどこが好きなの?」

 特に何かをした覚えがない。毎日「愛している」「好きだ」と言いに来る彼が純粋に疑問だった。

「よく考えずに運命の番を求めて王都に来る行動力とか、一人で子どもを産んで育てているたくましさとか、何を考えているのか一目でわかるこの灰色の耳とか、全部かな?」

「ふふふ。何それ!全然褒めてない。」

 それから、私はレーヴィを夕飯に誘ったり、一緒に薬草を取りに行ったり、少しずつ私は彼に気を許していった。彼がこの村に来て一年が経った頃だった。一週間ほど隣町に行くと、レーヴィが村を留守にした。いつの間にか、生活の一部になっていたレーヴィが薬局に来ないと、なんとなく拍子抜けして寂しかった。

「ただいま、ソニヤ。今からちょっといいかい?」

 一週間ぶりに戻ってきたレーヴィに思わず駆け寄った。そのまま手をつないで、近所の湖の畔に行った。澄んだ水面が周囲の木々を映している。彼はポケットから何やら取り出して跪いた。

「ソニヤ、君が薬を飲んでいても俺の気持ちは少しも変わらない。君が好きだ。どうか俺と結婚して欲しい。」

「レーヴィ、私もあなたが好き。どうぞこれからよろしくお願いします。」

 一年前に結婚して欲しいと言われた時とは全然違う。私も彼と一緒にいたい、心からそう思った。結婚の報告をすると、ヘンリ兄さんは感慨深げで、ミロは大喜びだった。

「これでパパとママと毎日一緒だね。」

 村の人たちの祝福の中、私たちは村の小さな教会で式を挙げた。

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