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夏休み明け、周囲がどう私を迎えるか、恐ろしくもあった。でも、せっかくレイモン殿下や妃教育から解放されたのだ。ポジティブにとらえようと思った。ヴァイオリンにドレス、ヘアアクセサリー――前回帰省した時の何倍もの荷物を寮の自室に持ち込んだ。王立アカデミーは三年制。残り二年の学園生活を楽しむしかない。
初日は、気合を入れて、髪はダウンスタイル、小さな蝶のヘアアクセサリーをたくさん髪に散らせた。制服は少しアレンジして、袖にレースを付けた。学生たちが私を見て振り返る。もちろんこんなことは初めてだ。早速、美貌の子爵令嬢・ミラベルとすれ違った。公爵令嬢のベアトリスと今日も一緒だ。嫌味ったらしく、クスクス笑いながら、話しかけられた。
「あーら、ソフィ様、夏休みの間にどうされたんですか?あの"ひっつめ髪"はやめたんですか?せっかく素敵なヘアスタイルでしたのに。」
ミラベル嬢と話すのは、ちゃんと話すのはこれが初めてのはずだが、隣に公爵令嬢のベアトリスがいるせいか、随分と強気だ。
「こら、ミラベル。殿下に『二流』だと言われ、婚約破棄されたのが悔しくて、頑張ってらっしゃるんだから、そんなこと言ったら、かわいそうですよ。まあいくら頑張っても、今度こそ殿下はわたくしを選んで下さると思いますけど。」
そんな性格だから、婚約者の最終選考で落ちたのだろうと思ったが、それは言わないことにした。
「まずベアトリス様、お言葉ですが、私、殿下への未練は毛頭ございません。ご安心下さいませ。あと我がラルカンジュ家は公爵への陞爵が決まっております。今後は公爵家同士らしいお付き合いをお願いしますわ。それとミラベル嬢、私はあなたへの発言を許可しておりません。今後一切話しかけないで頂けますか?」
公爵へ陞爵すると聞いて、周りがざわめいた。今まで我々の学年で殿下に次いで家格が高かったのは公爵家の彼女だった。取り巻きを引き連れ、いつも鼻高々偉そうにしていたのに、その序列が初めて崩れたのである。
「――あら、そうでしたか。存じ上げず申し訳ありません。い、行くわよ!ミラベル。」
気に食わないという顔をして、ベアトリスたちはその場を立ち去った。彼女から家柄を差し引けば、ただの性格の悪いわがまま令嬢だ。あの調子では、仮にレイモン殿下の婚約者に選ばれても、いつかあの皇妃と揉めるだろうなと思った。
イメチェン後の私は、銀髪の美しさが話題になり、ファンクラブなるものまで出来た。その会長だという一年生の女子に、ひと月でミラベルのファンクラブの人数を越したと報告された。すれ違う度に悔しそうにミラベルから睨まれるのは、とても気分が良かった。
あとレイモン殿下がこちらをじっと見ていることがあった。今度は金遣いの荒い令嬢だとでも思って、小馬鹿にしているのだろう。もう関係のない人だ。その視線には気づかなかったことにした。
初日は、気合を入れて、髪はダウンスタイル、小さな蝶のヘアアクセサリーをたくさん髪に散らせた。制服は少しアレンジして、袖にレースを付けた。学生たちが私を見て振り返る。もちろんこんなことは初めてだ。早速、美貌の子爵令嬢・ミラベルとすれ違った。公爵令嬢のベアトリスと今日も一緒だ。嫌味ったらしく、クスクス笑いながら、話しかけられた。
「あーら、ソフィ様、夏休みの間にどうされたんですか?あの"ひっつめ髪"はやめたんですか?せっかく素敵なヘアスタイルでしたのに。」
ミラベル嬢と話すのは、ちゃんと話すのはこれが初めてのはずだが、隣に公爵令嬢のベアトリスがいるせいか、随分と強気だ。
「こら、ミラベル。殿下に『二流』だと言われ、婚約破棄されたのが悔しくて、頑張ってらっしゃるんだから、そんなこと言ったら、かわいそうですよ。まあいくら頑張っても、今度こそ殿下はわたくしを選んで下さると思いますけど。」
そんな性格だから、婚約者の最終選考で落ちたのだろうと思ったが、それは言わないことにした。
「まずベアトリス様、お言葉ですが、私、殿下への未練は毛頭ございません。ご安心下さいませ。あと我がラルカンジュ家は公爵への陞爵が決まっております。今後は公爵家同士らしいお付き合いをお願いしますわ。それとミラベル嬢、私はあなたへの発言を許可しておりません。今後一切話しかけないで頂けますか?」
公爵へ陞爵すると聞いて、周りがざわめいた。今まで我々の学年で殿下に次いで家格が高かったのは公爵家の彼女だった。取り巻きを引き連れ、いつも鼻高々偉そうにしていたのに、その序列が初めて崩れたのである。
「――あら、そうでしたか。存じ上げず申し訳ありません。い、行くわよ!ミラベル。」
気に食わないという顔をして、ベアトリスたちはその場を立ち去った。彼女から家柄を差し引けば、ただの性格の悪いわがまま令嬢だ。あの調子では、仮にレイモン殿下の婚約者に選ばれても、いつかあの皇妃と揉めるだろうなと思った。
イメチェン後の私は、銀髪の美しさが話題になり、ファンクラブなるものまで出来た。その会長だという一年生の女子に、ひと月でミラベルのファンクラブの人数を越したと報告された。すれ違う度に悔しそうにミラベルから睨まれるのは、とても気分が良かった。
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