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家族になる
14. 王太子殿下とぶっちゃけトーク
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こんこん。
居室のドアがノックされ、先ほどお茶を出してくれた侍女が室内に入ってきた。
「王太子妃様、王太子殿下とボナパルト伯がお越しになっております。」
「ええ、通してちょうだい。」
あ、午前の会議が終わったのか。部屋に入ってきたアレクサンドル王太子殿下にカーテシーで挨拶する。
「ああ、君が噂の"創造主"様だね。はじめまして。学生時代は話したことなかったと思うけど、君は俺のことをよく知っているんだろう?無礼講でいいよ。俺も"神様"に敬語を使ってもらうのは気が引けるから。」
アベルがキョトンとしている。アマリリスは殿下にどこまで話したんだろう。それにアベルにどう説明しよう。
「リリが創造主ってなんのことですか?」
アベルが不思議そうに尋ねる。
「君結婚するのに聞いていないの?リリアーヌ嬢はこの世界を作った神様の生まれ変わりなんだよ。」
「ごめんね、アベル。あなたに話してなかったんだけど、私とアマリリスとネモフィラには前世の記憶があるの。あと多分あのロベリア嬢にも。前世で私達が住んでいた世界には、この世界と似た部分もあるけど、魔法がなくて、でも魔法以上に科学技術が発展していたの。実は私が発明したことになっている商品、例えばマニキュアとかカステラは前の世界に既にあったものなのよ。」
「え、ごめんついていけてない。どうしてそれでリリが創造主なの?」
「うーん、どう説明するのがいいかしら。ここは私が責任者として作った『乙女ゲーム』という物語の世界なの。」
「俺やボナパルト大佐のことも君が作ったんだろう?」
「ええ。メインキャラクターのヴィクトル ルミエール、アベル ボナパルト、テオドール サヴォイア、エミール オルレアン、リュカ、そしてあなた、アレクサンドル ルミエールの細かいキャラクター設定、要するに顔、身長、性格、家柄、属性、好物...なんかは私がすべて設定したわ。」
「ふーん。千里眼、超使いやすいからありがとね。コピー男とは格が違うわけよ。」
アレクサンドル王太子殿下の魔眼は千里眼、一方ヴィクトル殿下の魔眼は複製。剣技や体術を見るだけでコピーできるからある程度便利な特殊能力だが、所詮コピーはコピーだ。"人智を超えた"という観点から考えると千里眼の方が有用だろう。
「あと前からひとつ気になっていたんだけど、『魅了の呪い』に関してはリリアーヌ嬢は知らなかったんだよね?あれどういうことなの。」
「ゲームのシナリオライターは別にいたの。もしかすると魅了の呪いについては彼女が考えたものかもしれない。」
「なるほどね。」
アレクサンドル王太子殿下はとても賢い。だからアマリリスから以前説明を聞いて乙女ゲームが何たるか既にある程度理解している。一方アベルは訳がわからないという顔をしている。あとで説明してあげないとまずそうだ。
「でもさあ、ボナパルト大佐って前世のリリアーヌ嬢の理想を詰め込んで作った"キャラクター"なんでしょ。そりゃ好きになっちゃうよね。でもなんで子ども産んでから会おうとしなかったの?俺、今回引き合わせるの結構大変だったんだけど。」
「ちょ、ちょっと、殿下変なこと言うのやめてください。」
「まあいいや、とにかくおめでとうね。そういえば、午前中の会議の決定事項を伝えてもいい?」
アレクサンドル王太子殿下のペースに完全に飲まれている。殿下は私とアベルをひきわせるためにこの任務にアベルを当てたのか、アベルがマールにきた理由がようやく分かった。
「まず、レニエ子爵は贈賄罪と軍事魔道具の違法製造、密輸出について国家反逆罪で立件することにしたよ。裁判はこれからだけど、先に王命でレニエ子爵の爵位の剥奪、家のお取りつぶしが決定した。領地に関しては当面王家預かりとして直轄地にする。次にネール男爵は、君たちの商会への権利侵害、贈賄罪、軍事魔道具の密輸出について国家反逆罪、あと人身売買にも関わっていたようでね。これから裁判が行われる予定だけど、こちらも先に王命で爵位の剥奪と家のお取りつぶしが決まった。一族の方も軍事魔道具の密輸出や人身売買に関わっていたものが複数いて全員逮捕したよ。」
「ひとまずよかったです。」
「まあ裁判次第だけど、国家反逆罪は良くてただの死罪、悪くて公開処刑だから、命をもって償ってもらうことになるだろうね。」
「そうですか。」
金に困っていたとはいえ、それだけのことをしたのだから仕方ないだろう。
「あと商会の権利侵害だが、今まで侵害されてきた権利料の支払い命令も出た。こちらで試算したら、一年分でもかなりの額になってね。ネール男爵の商会が破産しても全額は支払われないと思うよ。」
「少しでも回収できるのであればありがたいですわ。」
ネール男爵、そんなに儲けていたのか!なんだか無性に腹が立ってきた。
「裁判は俺達の仕事じゃないから、これでボナパルト大佐のマールでの特命任務も終了だ。」
あ、そうだ。もともとアベルは第四騎士隊からマール沿岸警備騎士隊に派遣されているんだよね。
「で、ボナパルト大佐から騎士団本部にマール沿岸警備騎士隊への異動届が提出された。大佐が第四騎士隊であげた数々の功績も素晴らしいから惜しいんだけどね。ただ今回国家を揺るがす軍事魔道具の違法製造、そしてその密輸出の摘発はそれらを凌駕する功績だ。少将昇級とマール沿岸警備騎士隊隊長に推薦しておいたから。後日正式な辞令がでると思うよ。楽しみしていて。」
「アベルがマール沿岸警備騎士隊隊長ですか?!」
「実は今の隊長、前から早期退職したいって言っててね。適任の後任がいないから、退職を慰留にしていたんだ。君たちに伝える前に、連絡したら喜ばれたよ。」
隊長は騎士にしてはおっとりとした人だ。そういえば孫が産まれたからそろそろのんびりしたいってぼやいてたな。
「そうだ。結婚するならリリアーヌ嬢の実家にも挨拶に行ったほうがいい。ブロワ侯爵の話は聞いた?もう長くないと思うから。孫の顔も見せてあげなよ。」
ブロワ侯爵領は辺境の中の辺境だ。たどり着くまで峠を三つ超えないといけない。シモンを連れて馬車で行ったら片道で五日はかかる。向こうに王都に来てもらうにしても、状態が良くない父親に長距離の転移魔法は厳しいだろう。
「マール沿岸警備騎士隊隊長の任命まで手続きとかもろもろ少し時間がかかるし、こっちは一か月くらい休みをとってもらって大丈夫。君の商会だって信頼できる従業員はたくさんいるだろう?それにマール伯爵だっている。ハネムーンだと思っていってきなよ。」
簡単に言うなと思ったが、確かに父に顔を見せられるのはこれが最期かもしれない。
「お気遣いありがとうございます。検討いたします。」
「そうだ!せっかくだしお昼食べていきなよ。君たちの分も用意させたから。」
王太子宮には大小いくつかの食堂がある。一番大きいものはバンケットルーム、国賓として外国から人を招いた時や大規模なパーティーを開くための部屋だ。今日は王太子夫妻が私的ゲストと食事をとる際に使う、小さめの食堂に案内された。小さめといっても王太子宮だ。大ぶりのシャンデリアが日の光を浴びてキラキラしている。壁紙はアマリリスの好みのものに変えたのか、落ち着いた薄緑色だ。
部屋には既に小さなゲストが着席していた。ライラック姫とシモンだ。すっかり仲良くなったよう。シモンが立ち上がって、王太子夫妻に臣下の礼をした。
「シモン君、楽にしていいよ。ライラとシモン君はすっかり仲良しみたいだね。シモン君、将来ライラをお嫁さんにするのはどう?」
「ライラ、しもんくんのおよめさんになるー!」
明らかにシモンが困惑している。
「殿下、婚約の話はまだ早いです!」
「悪い話じゃないと思うんだけどなあ。ライラを君たちのところに臣籍降下させるなら、旧レニエ子爵領もつけちゃうよ。」
マール伯爵領は伯爵領としては小さめの領地だ。これは反逆に備えて王都に近い領地ほど小さく区切っているからだ。これから私がマール伯爵家を継ぐと、マール伯爵家にアルトワ子爵領が戻ってくる。これに旧レニエ子爵領も加わるとある程度の大きさの領地になってしまう。まあ王女の臣籍降下先であれば、反逆の心配はないという考えか。どちらにしてもかなり先の話だ。
「臣籍降下といえば、ブロワ侯爵領に行くなら、ヴィクトルとエリカ嬢が仲良くしているか確認してきてよ。これも特命だから!」
アレクサンドル王太子殿下が冗談なのか冗談じゃないのかよく分からないことを次々いうので終始困惑しながらも、楽しく昼食を食べ終えた。こう見えて国民からは聖人君子と慕われ、一部の側近からは血も涙もないと恐れられる王太子殿下だ。どれが本当の彼なのか、実はそのいずれでもないことを創造主である私は知っている。
居室のドアがノックされ、先ほどお茶を出してくれた侍女が室内に入ってきた。
「王太子妃様、王太子殿下とボナパルト伯がお越しになっております。」
「ええ、通してちょうだい。」
あ、午前の会議が終わったのか。部屋に入ってきたアレクサンドル王太子殿下にカーテシーで挨拶する。
「ああ、君が噂の"創造主"様だね。はじめまして。学生時代は話したことなかったと思うけど、君は俺のことをよく知っているんだろう?無礼講でいいよ。俺も"神様"に敬語を使ってもらうのは気が引けるから。」
アベルがキョトンとしている。アマリリスは殿下にどこまで話したんだろう。それにアベルにどう説明しよう。
「リリが創造主ってなんのことですか?」
アベルが不思議そうに尋ねる。
「君結婚するのに聞いていないの?リリアーヌ嬢はこの世界を作った神様の生まれ変わりなんだよ。」
「ごめんね、アベル。あなたに話してなかったんだけど、私とアマリリスとネモフィラには前世の記憶があるの。あと多分あのロベリア嬢にも。前世で私達が住んでいた世界には、この世界と似た部分もあるけど、魔法がなくて、でも魔法以上に科学技術が発展していたの。実は私が発明したことになっている商品、例えばマニキュアとかカステラは前の世界に既にあったものなのよ。」
「え、ごめんついていけてない。どうしてそれでリリが創造主なの?」
「うーん、どう説明するのがいいかしら。ここは私が責任者として作った『乙女ゲーム』という物語の世界なの。」
「俺やボナパルト大佐のことも君が作ったんだろう?」
「ええ。メインキャラクターのヴィクトル ルミエール、アベル ボナパルト、テオドール サヴォイア、エミール オルレアン、リュカ、そしてあなた、アレクサンドル ルミエールの細かいキャラクター設定、要するに顔、身長、性格、家柄、属性、好物...なんかは私がすべて設定したわ。」
「ふーん。千里眼、超使いやすいからありがとね。コピー男とは格が違うわけよ。」
アレクサンドル王太子殿下の魔眼は千里眼、一方ヴィクトル殿下の魔眼は複製。剣技や体術を見るだけでコピーできるからある程度便利な特殊能力だが、所詮コピーはコピーだ。"人智を超えた"という観点から考えると千里眼の方が有用だろう。
「あと前からひとつ気になっていたんだけど、『魅了の呪い』に関してはリリアーヌ嬢は知らなかったんだよね?あれどういうことなの。」
「ゲームのシナリオライターは別にいたの。もしかすると魅了の呪いについては彼女が考えたものかもしれない。」
「なるほどね。」
アレクサンドル王太子殿下はとても賢い。だからアマリリスから以前説明を聞いて乙女ゲームが何たるか既にある程度理解している。一方アベルは訳がわからないという顔をしている。あとで説明してあげないとまずそうだ。
「でもさあ、ボナパルト大佐って前世のリリアーヌ嬢の理想を詰め込んで作った"キャラクター"なんでしょ。そりゃ好きになっちゃうよね。でもなんで子ども産んでから会おうとしなかったの?俺、今回引き合わせるの結構大変だったんだけど。」
「ちょ、ちょっと、殿下変なこと言うのやめてください。」
「まあいいや、とにかくおめでとうね。そういえば、午前中の会議の決定事項を伝えてもいい?」
アレクサンドル王太子殿下のペースに完全に飲まれている。殿下は私とアベルをひきわせるためにこの任務にアベルを当てたのか、アベルがマールにきた理由がようやく分かった。
「まず、レニエ子爵は贈賄罪と軍事魔道具の違法製造、密輸出について国家反逆罪で立件することにしたよ。裁判はこれからだけど、先に王命でレニエ子爵の爵位の剥奪、家のお取りつぶしが決定した。領地に関しては当面王家預かりとして直轄地にする。次にネール男爵は、君たちの商会への権利侵害、贈賄罪、軍事魔道具の密輸出について国家反逆罪、あと人身売買にも関わっていたようでね。これから裁判が行われる予定だけど、こちらも先に王命で爵位の剥奪と家のお取りつぶしが決まった。一族の方も軍事魔道具の密輸出や人身売買に関わっていたものが複数いて全員逮捕したよ。」
「ひとまずよかったです。」
「まあ裁判次第だけど、国家反逆罪は良くてただの死罪、悪くて公開処刑だから、命をもって償ってもらうことになるだろうね。」
「そうですか。」
金に困っていたとはいえ、それだけのことをしたのだから仕方ないだろう。
「あと商会の権利侵害だが、今まで侵害されてきた権利料の支払い命令も出た。こちらで試算したら、一年分でもかなりの額になってね。ネール男爵の商会が破産しても全額は支払われないと思うよ。」
「少しでも回収できるのであればありがたいですわ。」
ネール男爵、そんなに儲けていたのか!なんだか無性に腹が立ってきた。
「裁判は俺達の仕事じゃないから、これでボナパルト大佐のマールでの特命任務も終了だ。」
あ、そうだ。もともとアベルは第四騎士隊からマール沿岸警備騎士隊に派遣されているんだよね。
「で、ボナパルト大佐から騎士団本部にマール沿岸警備騎士隊への異動届が提出された。大佐が第四騎士隊であげた数々の功績も素晴らしいから惜しいんだけどね。ただ今回国家を揺るがす軍事魔道具の違法製造、そしてその密輸出の摘発はそれらを凌駕する功績だ。少将昇級とマール沿岸警備騎士隊隊長に推薦しておいたから。後日正式な辞令がでると思うよ。楽しみしていて。」
「アベルがマール沿岸警備騎士隊隊長ですか?!」
「実は今の隊長、前から早期退職したいって言っててね。適任の後任がいないから、退職を慰留にしていたんだ。君たちに伝える前に、連絡したら喜ばれたよ。」
隊長は騎士にしてはおっとりとした人だ。そういえば孫が産まれたからそろそろのんびりしたいってぼやいてたな。
「そうだ。結婚するならリリアーヌ嬢の実家にも挨拶に行ったほうがいい。ブロワ侯爵の話は聞いた?もう長くないと思うから。孫の顔も見せてあげなよ。」
ブロワ侯爵領は辺境の中の辺境だ。たどり着くまで峠を三つ超えないといけない。シモンを連れて馬車で行ったら片道で五日はかかる。向こうに王都に来てもらうにしても、状態が良くない父親に長距離の転移魔法は厳しいだろう。
「マール沿岸警備騎士隊隊長の任命まで手続きとかもろもろ少し時間がかかるし、こっちは一か月くらい休みをとってもらって大丈夫。君の商会だって信頼できる従業員はたくさんいるだろう?それにマール伯爵だっている。ハネムーンだと思っていってきなよ。」
簡単に言うなと思ったが、確かに父に顔を見せられるのはこれが最期かもしれない。
「お気遣いありがとうございます。検討いたします。」
「そうだ!せっかくだしお昼食べていきなよ。君たちの分も用意させたから。」
王太子宮には大小いくつかの食堂がある。一番大きいものはバンケットルーム、国賓として外国から人を招いた時や大規模なパーティーを開くための部屋だ。今日は王太子夫妻が私的ゲストと食事をとる際に使う、小さめの食堂に案内された。小さめといっても王太子宮だ。大ぶりのシャンデリアが日の光を浴びてキラキラしている。壁紙はアマリリスの好みのものに変えたのか、落ち着いた薄緑色だ。
部屋には既に小さなゲストが着席していた。ライラック姫とシモンだ。すっかり仲良くなったよう。シモンが立ち上がって、王太子夫妻に臣下の礼をした。
「シモン君、楽にしていいよ。ライラとシモン君はすっかり仲良しみたいだね。シモン君、将来ライラをお嫁さんにするのはどう?」
「ライラ、しもんくんのおよめさんになるー!」
明らかにシモンが困惑している。
「殿下、婚約の話はまだ早いです!」
「悪い話じゃないと思うんだけどなあ。ライラを君たちのところに臣籍降下させるなら、旧レニエ子爵領もつけちゃうよ。」
マール伯爵領は伯爵領としては小さめの領地だ。これは反逆に備えて王都に近い領地ほど小さく区切っているからだ。これから私がマール伯爵家を継ぐと、マール伯爵家にアルトワ子爵領が戻ってくる。これに旧レニエ子爵領も加わるとある程度の大きさの領地になってしまう。まあ王女の臣籍降下先であれば、反逆の心配はないという考えか。どちらにしてもかなり先の話だ。
「臣籍降下といえば、ブロワ侯爵領に行くなら、ヴィクトルとエリカ嬢が仲良くしているか確認してきてよ。これも特命だから!」
アレクサンドル王太子殿下が冗談なのか冗談じゃないのかよく分からないことを次々いうので終始困惑しながらも、楽しく昼食を食べ終えた。こう見えて国民からは聖人君子と慕われ、一部の側近からは血も涙もないと恐れられる王太子殿下だ。どれが本当の彼なのか、実はそのいずれでもないことを創造主である私は知っている。
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