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第二幕 トヴォー王国
8. 決勝
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準決勝第二試合はシェルストレーム辺境伯が圧勝した。つまり、最終決戦の相手は彼だ。
「シェルストレーム辺境伯の雷獣、カッコよかったわね!彼の魔法属性は、土魔法と雷魔法。でも、今の試合を見ていると、雷魔法の方が得意みたいね。確か、去年の大会はエリアス殿下に負けて準優勝じゃなかったかしら?私、参加していないから、よく知らないんだけどね。」
精霊を実際に使役して戦闘に活かせるものは、ほんの一握り。かなりの実力者のはずだ。
「あの雷獣、キラキラしていて、すごくカッコよかった。早く近くで見たい!」
越してきてまだ時間が経っていないせいか、この国の権威よりも、初めて見る精霊への興味が勝る。少しの休憩を挟んで、いよいよ最終決戦のアナウンスがあった。
「決勝戦。スヴェン・シェルストレーム辺境伯、エディー・ユカライネン伯爵令嬢 入場。」
シェルストレーム辺境伯は武勇に優れているというだけあって、短髪の金髪、筋骨隆々でたくましい。顔の古傷も勲章といった趣だ。シェルストレーム辺境伯は試すような目でこちらを見ている。
「――間近で見ると随分と華奢な小娘だな。魔力量と体格が合っていない。あんた魔力暴走起こしたことあるだろう?」
「うるさいわね。」
痛いところを突かれて、思わず言葉に棘が孕む。
「まあいい。予選は逃げ回って勝ち上がったそうだが、決勝はそうはいかないからな。」
「ええ、望むところだわ!」
サリーン男爵同様、実力者なら予選の私の動きは既に分析されているだろう。ならば戦術を変えるまでだ。
「では、これより試合を開始する!両者準備はいいか。はじめ!!!」
「アルクス・テラエ!――土の要塞。」
先に、辺境伯が動いた。ゴゴゴという地鳴りと共に土の要塞がそびえ立った。この要塞に足を踏み入れると、自動で地面が爆発する仕組みだ。ゴーレムの侵入を防ぐための防壁だろう。辺境伯は土の要塞の上に仁王立ちにしている。
「ベスティア・フルミニス――来たれ雷獣。」
トラにも似た金色に輝く聖獣が彼のもとに召喚され、待ってましたとばかりに会場が沸いた。精霊は術者の魔力が続く限り、こちらに攻撃を仕掛けてくる。一人で、精霊と術者両方の攻撃を捌くのは至難の業だ。彼は準決勝でも精霊を使役し、戦況を自分に有利に持って行き勝利を納めている。――瞬時に作戦を練る。精霊に対抗するには、やはり精霊だ。
「ではこちらも精霊を召喚させて頂きます。フェニクス・イグネア!――炎の不死鳥。」
召喚陣から、きらきらとした火の粉が飛び散る。そこから燃えるような不死鳥が姿を現す。まさかの精霊対決に観客のボルテージはマックスだ。
「お、お前。炎魔法なんて使ってなかっただろう?!」
明らかに相手が動揺している。私は氷魔法が得意で、氷龍の召喚に長けている。けれど、炎の精霊も召喚できる。これは昔、炎魔法が得意なリアスが精霊召喚に手こずっているのを見て、一泡吹かせてやろうと思って、頑張って契約したものだ。まあその後すぐ、リアスは炎の最上位精霊・炎龍と契約したんだけど。
よし、ここから揺さぶりをかけていくか。
「フランマエ・インフェルニ!――地獄の業火。」
土の要塞が炎に包まれる。燃え盛る炎の中、不死鳥と雷獣はお互いいがみ合い、派手に雷と炎を浴びせ合っている。無詠唱の隠遁魔法で姿を消した。
「アラエ・ヴェントルム――風の翼。」
風の力で宙を舞い、要塞の上のシェルストレーム辺境伯を上空から攻撃する。
「イグニス!――火炎。」
立て続けに火炎を放ったが、相手はこちらの位置を正確に見抜いているのか、一発も当たらない。逆に辺境伯は雷撃を放ち返してくる。
「お嬢ちゃん、いい作戦だが、俺に隠遁魔法は効かないぞ。辺境には同じような術で潜んでいる魔獣が溢れているからな。」
本来相性がいいわけではない炎の精霊召喚は負担が大きすぎる。魔力量にはまだ余裕があるが、でも少し制御が甘くなっている気がした。限界を超えると、魔力を暴走させてしまう。その前に試合を決めなければ。
「そうですか。じゃあもっと攻撃範囲の大きい魔法に変えます。行くよ、フェニクス。」
不死鳥が天高く舞いあがる。精霊とタイミングを合わせて魔法を放つ。
「トゥルボ・マグヌス!――巻き上がれ、竜巻。」
竜巻に不死鳥の吐き出した炎を絡めとり、天高くそびえ立つ炎渦となった。そのまま巨大な炎渦が、土の要塞を飲み込んだ。そしてパッと見分からなかったが、辺境伯のペンダントが作動したようだ。
「勝者!エディー・ユカライネン伯爵令嬢!!」
審判が高らかに叫んだ。――やった優勝だ。
「シェルストレーム辺境伯の雷獣、カッコよかったわね!彼の魔法属性は、土魔法と雷魔法。でも、今の試合を見ていると、雷魔法の方が得意みたいね。確か、去年の大会はエリアス殿下に負けて準優勝じゃなかったかしら?私、参加していないから、よく知らないんだけどね。」
精霊を実際に使役して戦闘に活かせるものは、ほんの一握り。かなりの実力者のはずだ。
「あの雷獣、キラキラしていて、すごくカッコよかった。早く近くで見たい!」
越してきてまだ時間が経っていないせいか、この国の権威よりも、初めて見る精霊への興味が勝る。少しの休憩を挟んで、いよいよ最終決戦のアナウンスがあった。
「決勝戦。スヴェン・シェルストレーム辺境伯、エディー・ユカライネン伯爵令嬢 入場。」
シェルストレーム辺境伯は武勇に優れているというだけあって、短髪の金髪、筋骨隆々でたくましい。顔の古傷も勲章といった趣だ。シェルストレーム辺境伯は試すような目でこちらを見ている。
「――間近で見ると随分と華奢な小娘だな。魔力量と体格が合っていない。あんた魔力暴走起こしたことあるだろう?」
「うるさいわね。」
痛いところを突かれて、思わず言葉に棘が孕む。
「まあいい。予選は逃げ回って勝ち上がったそうだが、決勝はそうはいかないからな。」
「ええ、望むところだわ!」
サリーン男爵同様、実力者なら予選の私の動きは既に分析されているだろう。ならば戦術を変えるまでだ。
「では、これより試合を開始する!両者準備はいいか。はじめ!!!」
「アルクス・テラエ!――土の要塞。」
先に、辺境伯が動いた。ゴゴゴという地鳴りと共に土の要塞がそびえ立った。この要塞に足を踏み入れると、自動で地面が爆発する仕組みだ。ゴーレムの侵入を防ぐための防壁だろう。辺境伯は土の要塞の上に仁王立ちにしている。
「ベスティア・フルミニス――来たれ雷獣。」
トラにも似た金色に輝く聖獣が彼のもとに召喚され、待ってましたとばかりに会場が沸いた。精霊は術者の魔力が続く限り、こちらに攻撃を仕掛けてくる。一人で、精霊と術者両方の攻撃を捌くのは至難の業だ。彼は準決勝でも精霊を使役し、戦況を自分に有利に持って行き勝利を納めている。――瞬時に作戦を練る。精霊に対抗するには、やはり精霊だ。
「ではこちらも精霊を召喚させて頂きます。フェニクス・イグネア!――炎の不死鳥。」
召喚陣から、きらきらとした火の粉が飛び散る。そこから燃えるような不死鳥が姿を現す。まさかの精霊対決に観客のボルテージはマックスだ。
「お、お前。炎魔法なんて使ってなかっただろう?!」
明らかに相手が動揺している。私は氷魔法が得意で、氷龍の召喚に長けている。けれど、炎の精霊も召喚できる。これは昔、炎魔法が得意なリアスが精霊召喚に手こずっているのを見て、一泡吹かせてやろうと思って、頑張って契約したものだ。まあその後すぐ、リアスは炎の最上位精霊・炎龍と契約したんだけど。
よし、ここから揺さぶりをかけていくか。
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土の要塞が炎に包まれる。燃え盛る炎の中、不死鳥と雷獣はお互いいがみ合い、派手に雷と炎を浴びせ合っている。無詠唱の隠遁魔法で姿を消した。
「アラエ・ヴェントルム――風の翼。」
風の力で宙を舞い、要塞の上のシェルストレーム辺境伯を上空から攻撃する。
「イグニス!――火炎。」
立て続けに火炎を放ったが、相手はこちらの位置を正確に見抜いているのか、一発も当たらない。逆に辺境伯は雷撃を放ち返してくる。
「お嬢ちゃん、いい作戦だが、俺に隠遁魔法は効かないぞ。辺境には同じような術で潜んでいる魔獣が溢れているからな。」
本来相性がいいわけではない炎の精霊召喚は負担が大きすぎる。魔力量にはまだ余裕があるが、でも少し制御が甘くなっている気がした。限界を超えると、魔力を暴走させてしまう。その前に試合を決めなければ。
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審判が高らかに叫んだ。――やった優勝だ。
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