41 / 80
第二幕 トヴォー王国
14. 魔法研究所
しおりを挟む
魔法研究所へ就職するために、私は一人で王都のタウンハウスに移り住むことになった。研究所の臨時職員とはいえ、所長付きの第一補佐官、高級官吏と同程度のお給料ももらえる。初日は正装をと言われたので、支給されたローブに王冠瑠璃勲章を付けて、研究所に赴く。
「エディー・ユカライネン第一補佐官。お待ちしておりました。辞令交付のために所長の部屋にご案内します。」
「ありがとうございます、サリーン首席研究長。」
研究室の廊下は、魔法草や薬品の匂いで満ちている。廊下の奥からは詠唱の声も聞こえる。たくさんの研究員がここで働いているようだ。この国、いやこの世界随一魔法研究施設に胸が高鳴った。
「所長、エディー・ユカライネン第一補佐官をお連れしました。」
サリーン男爵は、黒い扉の前で立ち止まり、中に声をかけた。
「入れ。」
ん?子どもの声?
「では失礼します。」
部屋に入ると、白い髪の毛に赤い眼の少年がちょこんとデスクに腰掛けていた。あ、魔法大会でこちらにぶつかってきた白髪の少年だ。
「闘技場でお会いしたサリーン男爵の親戚のお子さんですね!かわいい!!で、エリアス殿下はどちらです?」
サリーン男爵が眼鏡のブリッジに手を当て、気まずそうな顔をしている。
「ここだよ!ここ。俺がエリアス。お前、何も説明してないの?」
「私から説明して、行き違いがあるといけないので、簡単にしか説明していません。」
サリーン男爵が、申し訳なさそうに告げる。
「あの、エリアス殿下は私と同い年と聞いているんですけど……。」
恐る恐る私の口を挟む。
「お前もお前だよ。わかんねーの?」
「え、どういうことでしょう?」
「――リアスだよ。リアス。リアス・ベックマン。」
「え!?」
どんな呪いを受けたのかは知らないが、幼少期のリアスと言われれば、髪の毛の色以外は違和感がない。驚いて、目をぱちくりさせる。
「お前の未来視通り、第二王子の手の内の赤髪の魔女に襲撃された。知っていたから、やり返したんだけど、倒したと思った隙に厄介な呪いをかけられた。」
ああ、しゃべり方も仕草もリアスだ。かわいらしい少年に似つかわしくない不遜な態度がおかしくて、思わず噴き出した。
「お、お前笑うんじゃねー!」
「いや、だって。見た目が子どもなのに、態度がリアスだから。……くっくっ。」
「おい!」
「で、呪いはどうしたら解けるんです?さっさと解いちゃいましょう。」
「そ、それは……。」
リアスはさっきまで威勢がよかったのに、顔を赤らめて下を向いた。そんなに恥ずかしいことなのか?
「実は解呪条件は……。」
「テオドル、言うな!たぶん……逆効果になる。」
サリーン男爵が何かを察したのか、深く頷く。
「え、でも教えてもらわないと、解けないでしょう。」
どういうこと?私は食いついた。
「すみません。ただこれは私も同意見です。代わりに所長が呪いにかけられた経緯についてご説明します。」
「エディー・ユカライネン第一補佐官。お待ちしておりました。辞令交付のために所長の部屋にご案内します。」
「ありがとうございます、サリーン首席研究長。」
研究室の廊下は、魔法草や薬品の匂いで満ちている。廊下の奥からは詠唱の声も聞こえる。たくさんの研究員がここで働いているようだ。この国、いやこの世界随一魔法研究施設に胸が高鳴った。
「所長、エディー・ユカライネン第一補佐官をお連れしました。」
サリーン男爵は、黒い扉の前で立ち止まり、中に声をかけた。
「入れ。」
ん?子どもの声?
「では失礼します。」
部屋に入ると、白い髪の毛に赤い眼の少年がちょこんとデスクに腰掛けていた。あ、魔法大会でこちらにぶつかってきた白髪の少年だ。
「闘技場でお会いしたサリーン男爵の親戚のお子さんですね!かわいい!!で、エリアス殿下はどちらです?」
サリーン男爵が眼鏡のブリッジに手を当て、気まずそうな顔をしている。
「ここだよ!ここ。俺がエリアス。お前、何も説明してないの?」
「私から説明して、行き違いがあるといけないので、簡単にしか説明していません。」
サリーン男爵が、申し訳なさそうに告げる。
「あの、エリアス殿下は私と同い年と聞いているんですけど……。」
恐る恐る私の口を挟む。
「お前もお前だよ。わかんねーの?」
「え、どういうことでしょう?」
「――リアスだよ。リアス。リアス・ベックマン。」
「え!?」
どんな呪いを受けたのかは知らないが、幼少期のリアスと言われれば、髪の毛の色以外は違和感がない。驚いて、目をぱちくりさせる。
「お前の未来視通り、第二王子の手の内の赤髪の魔女に襲撃された。知っていたから、やり返したんだけど、倒したと思った隙に厄介な呪いをかけられた。」
ああ、しゃべり方も仕草もリアスだ。かわいらしい少年に似つかわしくない不遜な態度がおかしくて、思わず噴き出した。
「お、お前笑うんじゃねー!」
「いや、だって。見た目が子どもなのに、態度がリアスだから。……くっくっ。」
「おい!」
「で、呪いはどうしたら解けるんです?さっさと解いちゃいましょう。」
「そ、それは……。」
リアスはさっきまで威勢がよかったのに、顔を赤らめて下を向いた。そんなに恥ずかしいことなのか?
「実は解呪条件は……。」
「テオドル、言うな!たぶん……逆効果になる。」
サリーン男爵が何かを察したのか、深く頷く。
「え、でも教えてもらわないと、解けないでしょう。」
どういうこと?私は食いついた。
「すみません。ただこれは私も同意見です。代わりに所長が呪いにかけられた経緯についてご説明します。」
54
あなたにおすすめの小説
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
【完結】二度目の子育て~我が子を可愛がったら溺愛されました
三園 七詩
恋愛
私は一人娘の優里亜の母親だった。
優里亜は幼い頃から体が弱く病院でほとんどの時間を過ごしていた。
優里亜は本が好きでよく私にも本の話をしてくれた。
そんな優里亜の病状が悪化して幼くして亡くなってしまう。
絶望に打ちひしがれている時事件に巻き込まれ私も命を落とした。
そして気がつくと娘の優里亜が大好きだった本の世界に入り込んでいた。
転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎
水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。
もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。
振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!!
え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!?
でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!?
と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう!
前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい!
だからこっちに熱い眼差しを送らないで!
答えられないんです!
これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。
または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。
小説家になろうでも投稿してます。
こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
侯爵家の婚約者
やまだごんた
恋愛
侯爵家の嫡男カインは、自分を見向きもしない母に、なんとか認められようと努力を続ける。
7歳の誕生日を王宮で祝ってもらっていたが、自分以外の子供を可愛がる母の姿をみて、魔力を暴走させる。
その場の全員が死を覚悟したその時、1人の少女ジルダがカインの魔力を吸収して救ってくれた。
カインが魔力を暴走させないよう、王はカインとジルダを婚約させ、定期的な魔力吸収を命じる。
家族から冷たくされていたジルダに、カインは母から愛されない自分の寂しさを重ね、よき婚約者になろうと努力する。
だが、母が死に際に枕元にジルダを呼んだのを知り、ジルダもまた自分を裏切ったのだと絶望する。
17歳になった2人は、翌年の結婚を控えていたが、関係は歪なままだった。
そんな中、カインは仕事中に魔獣に攻撃され、死にかけていたところを救ってくれたイレリアという美しい少女と出会い、心を通わせていく。
全86話+番外編の予定
ストーカー婚約者でしたが、転生者だったので経歴を身綺麗にしておく
犬野きらり
恋愛
リディア・ガルドニ(14)、本日誕生日で転生者として気付きました。私がつい先程までやっていた行動…それは、自分の婚約者に対して重い愛ではなく、ストーカー行為。
「絶対駄目ーー」
と前世の私が気づかせてくれ、そもそも何故こんな男にこだわっていたのかと目が覚めました。
何の物語かも乙女ゲームの中の人になったのかもわかりませんが、私の黒歴史は証拠隠滅、慰謝料ガッポリ、新たな出会い新たな人生に進みます。
募集 婿入り希望者
対象外は、嫡男、後継者、王族
目指せハッピーエンド(?)!!
全23話で完結です。
この作品を気に留めて下さりありがとうございます。感謝を込めて、その後(直後)2話追加しました。25話になりました。
悪役令嬢に転生したと気付いたら、咄嗟に婚約者の記憶を失くしたフリをしてしまった。
ねーさん
恋愛
あ、私、悪役令嬢だ。
クリスティナは婚約者であるアレクシス王子に近付くフローラを階段から落とそうとして、誤って自分が落ちてしまう。
気を失ったクリスティナの頭に前世で読んだ小説のストーリーが甦る。自分がその小説の悪役令嬢に転生したと気付いたクリスティナは、目が覚めた時「貴方は誰?」と咄嗟に記憶を失くしたフリをしてしまって──…
【完結】勘当されたい悪役は自由に生きる
雨野
恋愛
難病に罹り、15歳で人生を終えた私。
だが気がつくと、生前読んだ漫画の貴族で悪役に転生していた!?タイトルは忘れてしまったし、ラストまで読むことは出来なかったけど…確かこのキャラは、家を勘当され追放されたんじゃなかったっけ?
でも…手足は自由に動くし、ご飯は美味しく食べられる。すうっと深呼吸することだって出来る!!追放ったって殺される訳でもなし、貴族じゃなくなっても問題ないよね?むしろ私、庶民の生活のほうが大歓迎!!
ただ…私が転生したこのキャラ、セレスタン・ラサーニュ。悪役令息、男だったよね?どこからどう見ても女の身体なんですが。上に無いはずのモノがあり、下にあるはずのアレが無いんですが!?どうなってんのよ!!?
1話目はシリアスな感じですが、最終的にはほのぼの目指します。
ずっと病弱だったが故に、目に映る全てのものが輝いて見えるセレスタン。自分が変われば世界も変わる、私は…自由だ!!!
主人公は最初のうちは卑屈だったりしますが、次第に前向きに成長します。それまで見守っていただければと!
愛され主人公のつもりですが、逆ハーレムはありません。逆ハー風味はある。男装主人公なので、側から見るとBLカップルです。
予告なく痛々しい、残酷な描写あり。
サブタイトルに◼️が付いている話はシリアスになりがち。
小説家になろうさんでも掲載しております。そっちのほうが先行公開中。後書きなんかで、ちょいちょいネタ挟んでます。よろしければご覧ください。
こちらでは僅かに加筆&話が増えてたりします。
本編完結。番外編を順次公開していきます。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる