戦姫のトロイメライ~断罪される未来が視えたので先に死んだことにしました

志熊みゅう

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第二幕 トヴォー王国

15. 呪い

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 トヴォー王国には王位継承権を持つ三人の王子がいる。

 正妃の息子である第一王子・ユーリウス殿下、第三王子・エリアス殿下、そして側妃の息子である第二王子・カスペル殿下だ。正妃は亡国エット公国の公女で、カスペル殿下の母は国内の有力貴族の令嬢だ。第一王子のユーリウス殿下は生まれつき体が弱く王位を継ぐのは難しいと噂されている。このため一部の貴族がカスペル殿下の側について、ことあるごとに正妃の子である第一王子、第三王子に謀略をしかけるようになった。エリアス殿下がリアス・ベックマンとして隣国に留学していたのは、兄である第一王子の立太子が済むまで、自身の身を守るためだった。

 実は三兄弟の中で、神眼を発現しているのは、第三王子のエリアス殿下だけらしい。王は神眼持ちで魔術に長けたエリアス殿下に王位を継承させたいと、王太子指名を前に心を変えた。そのため、リアスは国に呼び戻された。去年、魔法大会に出たのは国内外にその強さを誇示し、国民の支持を集めるため。しかし、第二王子陣営に王太子指名の情報が漏れ、刺客を送り込まれたのだという。

 私の未来視から、初めの攻撃は呪い返しで反撃したそう。だけど、そこで相手が死んだと思って気を抜いたのがよくなかった。相手は魔道具の効果で即死ではなかったのだ。魔女は最期に己の命を代償として、エリアスに封印の呪いをかけた。

「実は、そのピンキーリング、俺の魂の一部を移してあるんだ。」

「はぁ?どういうこと?そんな話、聞いてないんだけど。」

「お前強いし未来視もあるから、分霊するなら一番安全な場所かなと思って。魔女の呪いを受けた時、魔力をそちらに移行させたおかげで、俺の力は完全には封印されなかった。」

「そのような経緯で、中途半端に魔力や生命力が封印されたので、何とも中途半端な御姿になられたわけです。」

「中途半端っていうな。それにしてもあの女、俺のことを馬鹿にしやがって。」

「――多分所長では、呪いを解くことができないと思って、あんな解呪条件を設定したんでしょうね。」

 そう言われると、ますます解呪条件が気になるんだけど。なんで教えてくれないんだろう?

「エディット、それよりお前が死んだと聞いて、ものすごく焦ったぞ。いつでも亡命して来いとは言ったけど、一体何があったんだ?」

 私も、近況報告を兼ねて、これまでの経緯を説明した。

「あの皇子、やっぱりバカだな。」

「馬鹿ですね。ただあそこまで愚かだとは思いませんでした。」

「くく。元婚約者とは思えない口ぶりだな。」

「ええ。元婚約者なんて他人ですからね。でもどうして私がエディット・ユングリングだって気づいたんですか?せっかく髪の毛も、瞳の色も変えていたのに。やっぱり決勝で不死鳥を召喚したからですか?」

 私は茶色の髪を一束、指でからめとりながら言った。

「いや、エディット。あんなド迫力な氷魔法を操る令嬢が、二人も三人もいたら世界が滅ぶよ。」

 サリーン男爵も隣でコクコク頷いている。

「エディット様の他の試合も拝見させて頂きましたが、氷魔法の威力は群を抜いてました。僕との試合で使って頂いたのは光栄ですが、さすがに驚きました。」

 氷魔法を試合で使ったのは準決勝だけ。ほんのちょっと使ったつもりだったのに、見る人が見ると分かるんだな。気を付けないと思った。
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