戦姫のトロイメライ~断罪される未来が視えたので先に死んだことにしました

志熊みゅう

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第四幕 ボルタ遺跡

5. 条件

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「――リアス、呪いが解けたの?!体は大丈夫?」 

「ああ。解けた同時に一気に回復魔法をかけたから、もう平気だ。」

 聞きたいこと、やらなくちゃいけないことが、いっぱいあるはずなのに。気づいたら、抱きついていた。

「――よかった。本当に。」

 涙が溢れ出して、止まらない。リアスが私を優しく抱き寄せ、頭をなでている。

「心配かけた、エディット。とりあえず、ここを早く出た方がいい。お目当てのものは確認できたし。多分上もそろそろ限界だろう。」

「お目当てのもの?」

「ああ。あれが死の太陽の動力源だよ。」

 先ほどの怪しげに輝く虹色の球体を指さして、リアスが言った。

「あれが……。」

 思わずゴクリと唾を飲む。

「今の俺たちだけで、あれを止めることができない。体制を整えて出なおした方がいいだろう。」

「分かりました。」

「エディットこのまま、俺に掴まっていて。魔法で上まで飛ぶから。アラエ・ヴェントルム――風の翼。」

 ふわりと身体が浮いて、さっき落ちてきた穴に向かう。あっという間に、魔獣の間にたどり着いた。

「テオドル、動力源はこの下だ。一旦引き返すぞ。」

「しょ、所長。呪い解けたんですね。」

「その話はあとでする。今は、隠遁魔法で姿を隠して地上を目指せ。」

「分かりました。」

「レクイエム・イグニス!――炎の鎮魂歌。」

 リアスの詠唱と共に、炎が波動のように広がる。炎の鎮魂歌は地獄の業火と比べ、効果範囲が狭い。その場にいた魔獣だけを焼き払った。

「行くぞ。」

 リアスに手を引かれ、階段を駆け上がって、地上を目指す。私は普段走らないから、すぐに息が上がった。

「はぁ……はぁ……。」

「所長ここまでくれば、あの部屋の魔物は追ってきません。罠もありますから、ゆっくり行きましょう。」

 サリーン男爵が言った。

「分かった。」

「リアス、あなたそういえば靴はいてないけど、足は痛くないの?」

「あ、足は防御魔法かけているから。大丈夫。」

 そんなことできるんだ。思わず感心してしまう。

「お熱いですね~。二人で落ちていった時はどうなるかと思いましたけど、まさかあの危機的な状況で、愛を確かめ合うなんて。」

 またしてもロビンが口を挟んで来た。いきなり変なことを言われて、顔が火照っていくのが分かった。

「――だまれ、ロビン。」

「ロビン、どういうことです?」

「あ、あれ?ユカライネン第一補佐官は呪いの解呪条件について、何も聞いていないんですか?」

「解呪条件?」

 そういえば、最後までリアスは呪いを解き方を教えてくれなかった。

「心から愛している相手から、愛を告げられ、口づけを交わす。そんなロマンティックな呪いです。あれ本当は、少年じゃなくて、赤ちゃんにする呪いだったんですよ。所長が一部の魔力を分霊器に移したから、6歳児の姿になったんです。ちゃんと言葉が喋れる年齢でよかったですね~。」

 あ、愛を確かめ合うだって!?火照りを通り越して、顔から火が出そうだ。心臓も口から飛び出しそう。

「ロビン、ぶっ飛ばすぞ。」

 リアスも照れくさいのだろう。握る手が汗ばんでいるのが分かった。
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