戦姫のトロイメライ~断罪される未来が視えたので先に死んだことにしました

志熊みゅう

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第三幕 エーヴェルトの墓所

6. トロール

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 足の速いスヴェンについて行くのは大変だったが、しばらく森の中を走るとスヴェンが止まった。

「――言われた場所はこの辺のはずだ。この洞窟が奴らの巣だろうな。」

 全身の感覚を研ぎ澄まして、魔力の残滓を追う。遠くないところにいる。そう思った瞬間だった。ごおおおと轟音が後ろからして、大木が飛んできた。

「これは、随分なご挨拶だな。」

 振り返ると大小さまざまなトロールが十体ほどいた。小さいのは子どもだろうか?

「おそらく別の森から群れで越してきたのだろう。全員まとめてやっつけるしかない。」

「はい。」

「ベスティア・フルミニス――来たれ雷獣。」

「アルクス・テラエ!――土の要塞。」

 私たちを守るように土の要塞が立ち上がる。雷獣がまずは一番小さいトロールにかぶりついた。電撃がトロールに走る。耳をつんざくような絶叫と共にその場にトロールが倒れた。

 すると、隣にいた大きなトロールがこちらに向かって突進してきた。先程のトロールの母親か?知能が低いトロールにも、あの雷獣を使役しているのが、スヴェンだと分かるらしい。うむ、どうしたものか。ここは森の中だ。大幅に大気の温度を下げて樹木を枯らしてはいけないし、炎系の魔法は山火事になる可能性がある。闘い方を考えないといけない。

「グラディウス・グラキアーリス――氷の刃!」

 空から降ってきた氷の刃が、砂の城を登ろうとする母親のトロールを串刺しにした。トロールが地響きのような唸り声を上げて倒れた。

「よし、いいぞ。戦闘狂令嬢。」

 他のトロールたちも、木を引っこ抜いて投げたり、岩を投げてくる。

「サジッタ・フルミニス――雷の矢!」

「フリゲ!――凍れ!」

 私たちは、魔法の展開範囲に気を付けながら、トロールの群れを一体ずつ倒していった。

「よし、これで全部か。一応この中も見ていくか。」

 スヴェンが洞窟を指さした。

「そうですね。一体でも残っていると厄介ですから。」

「グロブス・イグニス!――火の玉。」

 小さな火の玉を宙に浮かべて、洞窟に入っていく。中を進んでいくと、洞窟にいくつか手彫りの絵が描いてあることに気づいた。奥には祭壇の跡のようなものも見える。

「ここにはトロールはいなそうだな。」

 スヴェンは絵には興味無さそうで、そのまま引き返そうとした。

「これ、遺跡じゃないですか?ここに壁画があります。これ何の絵だろう?」

 大きな太陽と、逃げ惑う民衆?日程には余裕があるし、日を改めて、日中調査に来てみるか。

「ん?下手くそな絵だな。さっきのトロール共が描いたんじゃないか。」

「いや、これは古い時代のものだと思います。今回の調査対象に加えます。」

「これが遺跡ねえ~。」

 スヴェンは訝しげに洞窟を見渡した。最奥までトロールがいないことを確認して、私たちは洞窟を後にした。
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