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こんなはずでは
5. 廃嫡王子
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今回のスタンピードの発生源はまだ特定できていない。そのため、まず第四騎士隊は被害があった集落と異常な魔獣の群れが観測された集落に向かい、聞き取りと魔獣の痕跡調査を中心にした現地調査を進めている。
殿下は城と城下町の結界だけではなく、調査に訪れた各集落にも結界を張ってくれているそうだ。ありがたい。とってもありがたい。あと父の右腕と足に簡単な治癒魔法を試してくれた。うまく治癒しなかったけど。もともとうちの治癒魔導士も辛うじて一命取り留めたって言ってたから、これは仕方ない。治癒魔法は人体の構造と同様に高度で複雑だ。本当に高度な治癒魔法が扱えるものは王都にも数人しかいないと聞く。
――ふと気づいた。皆からポンコツポンコツって言われているけど、魔獣の浄化もできて、結界も張れて、簡単な治癒魔法も使える。殿下ってもしかしてお買い得物件なのでは?
「廃嫡王子ねぇ…。フィリップ、あの王子様、私のお婿さんになってくれないかしら?」
「な、何を言っているんですか?お嬢様とうとう気が狂ったんですか?仮にもヴィクトル殿下は王子ですぞ。」
「でも、廃太子になって王宮に居場所がないから、従軍しているんでしょ?あの事件のせいで、どこの家もヴィクトル殿下を婿に取りたがらないとも聞いたわよ。私だって一応侯爵令嬢だから王族を配偶者に迎える資格はあってよ。」
「ですが、お嬢様。彼には人間的な部分に問題が。」
「知ってる。呪いにかかる前から色々な女の子に手を出してたんでしょ?あと俺様で傲慢でポンコツって有名ね。でも結界が張れて、魔獣が倒せて、私兵を束ねて、少し領地経営を手伝ってもらえれば上出来よ。彼、ぴったりじゃない?それに私は、愛人を一人二人囲うことに文句を言うほど狭量ではないわ。」
「いやお嬢様、一人、二人で済めばいいのですか……。」
「十人でも二十人でも私との間に跡取りができれば問題ないわ。」
「し、しかしお嬢様……。」
フィリップはずっと首を傾げて、いかにも納得いかなそうな雰囲気だった。どうしても皆が言うほど、ヴィクトル殿下を悪い人間だとは思えない。私がおかしいのかな?
殿下は城と城下町の結界だけではなく、調査に訪れた各集落にも結界を張ってくれているそうだ。ありがたい。とってもありがたい。あと父の右腕と足に簡単な治癒魔法を試してくれた。うまく治癒しなかったけど。もともとうちの治癒魔導士も辛うじて一命取り留めたって言ってたから、これは仕方ない。治癒魔法は人体の構造と同様に高度で複雑だ。本当に高度な治癒魔法が扱えるものは王都にも数人しかいないと聞く。
――ふと気づいた。皆からポンコツポンコツって言われているけど、魔獣の浄化もできて、結界も張れて、簡単な治癒魔法も使える。殿下ってもしかしてお買い得物件なのでは?
「廃嫡王子ねぇ…。フィリップ、あの王子様、私のお婿さんになってくれないかしら?」
「な、何を言っているんですか?お嬢様とうとう気が狂ったんですか?仮にもヴィクトル殿下は王子ですぞ。」
「でも、廃太子になって王宮に居場所がないから、従軍しているんでしょ?あの事件のせいで、どこの家もヴィクトル殿下を婿に取りたがらないとも聞いたわよ。私だって一応侯爵令嬢だから王族を配偶者に迎える資格はあってよ。」
「ですが、お嬢様。彼には人間的な部分に問題が。」
「知ってる。呪いにかかる前から色々な女の子に手を出してたんでしょ?あと俺様で傲慢でポンコツって有名ね。でも結界が張れて、魔獣が倒せて、私兵を束ねて、少し領地経営を手伝ってもらえれば上出来よ。彼、ぴったりじゃない?それに私は、愛人を一人二人囲うことに文句を言うほど狭量ではないわ。」
「いやお嬢様、一人、二人で済めばいいのですか……。」
「十人でも二十人でも私との間に跡取りができれば問題ないわ。」
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フィリップはずっと首を傾げて、いかにも納得いかなそうな雰囲気だった。どうしても皆が言うほど、ヴィクトル殿下を悪い人間だとは思えない。私がおかしいのかな?
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